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あらゆる疾患に対応できる呼吸器外科医を育てたい

あらゆる疾患に対応できる呼吸器外科医を育てたい

熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器外科学分野
教授(すずき・まこと)

1989年千葉大学医学部卒業。
米テキサス大学留学、千葉県がんセンター呼吸器科、千葉大学医学部附属病院呼吸器外科などを経て、
2010年から現職。

 熊本大学大学院呼吸器外科学分野が実施する肺がんの手術件数は年々増え続けており、2018年は225症例。外科医不足、若手医師の育成が課題となっている。その現状について、鈴木実教授に話を聞いた。

―肺がん手術の現状は。

 国内では呼吸器外科の手術の約50%が肺がん手術です。私たち熊本大学大学院呼吸器外科学分野も、肺がん手術の割合が手術全体の6割を占めています。

 比較的早期で見つかったものは低侵襲手術、局所進行性の肺がんは開胸手術で行い、その割合は8対2くらいです。肺がんと診断された人の約6割は、手術ができないステージ3期後半から4期。手術ができる人の多くは1期です。

 早期の小さな肺がんはレントゲンで見つかりにくいため、発見が遅れることが多くあります。CT検査をすればよいのですが、日本人にはあまりなじみがありません。今後は、CT検査を住民検診などに取り入れていく必要があるのではないかと思っています。

 地域連携においては、県内の呼吸器外科がある施設にはすべて、私たちの教室から医局員を派遣していますので、県内の肺がん手術はほぼフォローできていると思います。他の施設からも派遣の要請がきており、呼吸器外科医が足りない状況です。

―外科医不足への対応は。

 熊本大学医学部医学科の定員は、1学年115人。その中で熊本県出身者は毎年30人程度です。この人たちは熊本に残る傾向にありますが、ほかは他県に出てしまいます。その30人も内科や眼科、整形外科など各科に分かれますから、呼吸器外科に入局してくるのは、毎年1人か2人です。

 一方で、当院の肺がん手術の年間症例数は、年々増え続けています。働き方改革の推進で時間的な制限もありますから、現在は、手術室を2部屋使い同時進行で手術を実施。医師はどちらかが早く終われば、もう一方の手術に入るような対応をしています。

 長期的に見れば、熊本大学の呼吸器外科専門医は年々増えてきています。現在、研修生や大学院生として学んでいる人たちが育ってくれば、医師の数が充実し、関連病院への医師派遣なども、よりスムーズになるでしょう。

 2020年は当大学病院に手術室が増設される予定です。全科ができるだけ効率よく手術ができるよう、手術室の有効利用について、相談していく予定です。

―呼吸器外科医の魅力は。

 呼吸器外科の手術は、どんなアプローチでどのくらいの範囲を切除するかなどが症例によって異なります。患者さんは高齢者が中心で、高血圧や感染症などの合併症がある人も多いため、幅広い疾患を診るスキルも必要です。

 術者の技量を問われる場面が多くプレッシャーも大きい。その中で、やりがいを感じる場面は多くあり、それが呼吸器外科医の一番の魅力だと思います。

―医師の育成は。

 若手医師にはできるだけ早いタイミングで手術を経験してほしい。そのために「見る・練習する・手術する」の三つの段階を踏んでもらうようにしています。

 まず、胸腔鏡手術でモニターに映し出される術野を見ること。それによって術者の手術手技を学びます。次に人の模型やウエットラボでの練習。その後、先輩医師の指導を受けながら手術に臨んでもらいます。

 特に意識しているのは学生に手術の魅力を伝えること。外科医不足の流れを止めるには、それが大切だと思っています。

 今後も、さまざまな疾患に幅広く対応する力と専門性を併せ持った呼吸器外科医を育てていきたいですね。増加する肺がん患者のために社会貢献という意識も持って頑張ってほしいと思います。

熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器外科学分野
熊本市中央区本荘1─1─1
☎096─344─2111(代表)
http://kumadai-thoracic.com/

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