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あなたらしく誰かのために

あなたらしく誰かのために


中澤 達 病院長(なかざわ・たつ)

1991年東京大学医学部卒業、2000年同大学院博士課程修了。
同大学助手、ワシントン大学主任研究員、北里大学大学院教授などを経て、2020年から現職。
東京大学医学部臨床指導医、同外科学非常勤講師。

 年間約1500件の分娩を扱い、がん医療にも力を入れる聖母病院。1年間、副院長を務めてきた中澤達氏がこの春、病院長に着いた。激動の時代に、病院のかじ取りを任された新病院長と、その取り組みを紹介する。

即時に判断 論理的に訂正

 外科医でありながら医療経営にも携わる「パラレルキャリア」の道を選択。ハーバード・ビジネス・スクールで医療経営を学び、2017年からは北里大学大学院教授(医療マネジメント)も務めた。医療経営を熟知する新病院長は、新型コロナ感染拡大のさなかでの就任にも「壁にぶつかることもありますが、それらが想像を大きく超えるものではありません」と語る。

 経営判断の際に重視するのは、「正しいか」「論理的であるか」ということ。さらには、判断スピードを早くすることを心がける。「直感で決めるのと3日間睡眠を削って悩むのと、何も変わらない。むしろ悩んでいる3日間で別の案件が入り、3日後の判断は、即決よりクオリティーが下がる可能性もある。だから、いろいろなことを瞬時に判断したいと思っています」

 「病院全体の支出を抑えるためには?」「職員のモチベーションの維持・向上のために何ができる?」…。

 コロナ禍で、意思決定すべき事柄が立て続けに入る。勝率は、「結果的に10勝5敗ぐらい」。「当然、勝ち越した方がいい」と言うが、直感で正しい道を選びとる力と同じぐらい、大事だと思っているのが、判断の誤りがわかったら、できるだけ早く、論理的根拠を持って修正すること。「言ったことの撤回にロジックは必要ですが、一度決めたら判断を変えないということの方が間違っているでしょう」

サンクスカードに週休3日制度

職員用の通路に掲示された
「サンクスカード」

 2020年度のスローガンは「あなたらしく、誰かのために」。まず始めたのが、職員が他の職員に対して書く「サンクスカード」だ。感謝する相手と内容を書き、ボックスに投函。集まったカードは院内に掲示される。

 感謝すること、されることを通じて、「自分らしさ」「その人らしさ」を考えるきっかけになる。「新型コロナの影響で、研修など職員が集まる機会が大幅に減りました。カードを契機にコミュニケーションが生まれています」。スローガン実現のための仕組みが、動き始めている。

 10月には「週休3日制度」を開始した。常勤の正職員が対象で、育児や介護といった事情がある場合、週4日の勤務を可能とする。「10人ほどの枠を設け、2021年3月までをトライアル期間としています。問題点を精査した上で、必要事項を正式な労働契約に盛り込み、2021年4月から完全実施の計画です」

 職員が働き続けやすい環境の整備として考えたが、別の効果も期待する。「休日が増えることで、社会的な活動に参加したり、育児・介護を通じて何かを感じたりすることも増える。見識が広がり、人生が豊かになることで業務にも生きてくるのではないでしょうか」

 4月から、メールアドレスを職員全員に貸与し、週1回、病院長通信をメールで配信。テレビ会議システムを活用した病院長講話の実施、経営に関わる数字の公表など、新しい仕掛けを次々考え、実行する。「経営は利潤の追求という側面もありますが、コストカットして売り上げを伸ばすだけではおもしろくない。職員の心に響く施策、情報を出し、一緒にワクワクしながら、新しいことに挑戦していきたいですね」

社会福祉法人聖母会 聖母病院
東京都新宿区中落合2ー5ー1 ☎03ー3951ー1111(代表)
https://www.seibokai.or.jp/

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