九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

〝土着〟を意味する「ロコ」をコンセプトに

〝土着〟を意味する「ロコ」をコンセプトに


副理事長(えぐち・ゆういちろう)

1994年佐賀医科大学医学部(現:佐賀大学医学部)卒業。
埼玉医科大学消化器科、佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター特任教授、
国立感染研究所客員研究員などを経て、2020年から現職。

 佐賀平野のほぼ中央、小城市にある江口病院。約100年の歴史を持つ法人の副理事長に2020年4月、江口有一郎氏が就任した。今後の病院経営を聞いた。

画家〝たけ〟さんが描く絵が院内各所に

 2018年に新築移転した〝新〟江口病院。背にする佐賀平野の地平線と調和する外観デザインは、新たなランドマークともなっている。院内各所には画家「たけ(河村武明)」さんが描いたイラストがあり、来院者の目を楽しませる。

 「学会に出席するため訪れた京都で、何気なく個展会場に立ち寄り、初めて彼の絵を目にしました。脳梗塞の後遺症で聴覚や発声機能などを失い、ミュージシャンをあきらめなければならない状態の中で、機能する左手で描き始めた絵だと知り、ぜひ当院にも展示したいと思いました」

 江口副理事長も数年前、小脳梗塞を発病し1週間、生死の境をさまよった経験を持つ。「不安と恐怖に満ちた世界から生還した同志として、私と彼は気持ちが通い合い、エンドレスで新作を院内に描いてもらうことになりました」

佐賀プロジェクトの総責任者として

 家は代々医者の家系。佐賀医科大学医学部(現:佐賀大学医学部)を卒業後、同大内科講座を経て、埼玉医科大学消化器・肝臓内科へ国内留学。肝移植で有名な藤原研司教授に師事し、大きな影響を受けた。

 「忘れられない光景があります。教授回診時、顔色もすでに失われた末期がんの患者さんに先生は〝今日は肌つやがいいですね、きっと食事もおいしく食べられますよ〟と声をかけました。その夕方、患者さんは久しぶりに院内食に箸をつけ『生きている喜びを感じた』とうれしそうに看護師に語ったそうです」

 数多くの臨床や研究を行った後、再び佐賀医科大学へ。2012年に佐賀県の「肝がんワーストワン汚名返上プロジェクト」の総責任者として佐賀大学医学部特任教授に就任、啓発活動に全力を投じた。

 「佐賀は2019年に全国ワースト脱却を果たしました。ワーストの理由は江戸末期、長崎港が開かれて医術と共にウイルスが流入し、鍋島(佐賀)藩の医師らが汚染した器具を使用して感染を広めた可能性がある、と言われています。私の高祖父はその鍋島藩の医師の1人。罪滅ぼしの気持ちも込め取り組みました」

経営者の意識を一人ひとりが持つ

 プロジェクトの使命を果たした後、父・尚久理事長が経営する江口病院へ。当初は、大学病院との違いに戸惑った。

 「健康診断などで診療が必要な状態にあることを自覚せず来院された方が、検査などで診療が必要であることが発見された場合、医師から必要な質問を投げかけられても、答えに窮することもあります。その中で、診療の方向性を探らなければならない難しさは、患者さんの治療目標が当初から明確な大学病院の診療では経験のないことでした」

 新たに「ロコメディカル総合研究所」も開設した。「目的は肝炎医療コーディネーターの現状を調査し、活動を支援する研究促進と、佐賀大学と連携した肝炎啓発の母体とすること。さらに病院経営の研究を、京セラの稲盛和夫さんなどが提唱する〝フィロソフィ〟という視点から行うことも考えています」

 病院運営の軸は〝土着〟に変わりないと言い切る。「この地で100年。土着を意味するハワイ語〝ロコ〟をコンセプトに地域の医療ニーズに応えてきました。スタッフ一人一人が病院経営者という意識をいっそう高めながら、新たな歴史をつくりたいと思います」

医療法人ロコメディカル 江口病院
佐賀県小城市三日月町金田1178-1 ☎0952-73-3083(代表)
https://www.eguchi-hospital.com

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる