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「頼れる画像診断」、ベンチャー設立目指す

「頼れる画像診断」、ベンチャー設立目指す

筑波大学医学医療系臨床医学域 ・IVR科
中島 崇仁 教授(なかじま・たかひと)

1997年群馬大学医学部卒業。
共立蒲原総合病院放射線科、米国立衛生研究所・国立がんセンター留学、
群馬大学医学部附属病院放射線部准教授などを経て、2020年11月から現職。

本当のチーム医療とは

 私が筑波大学に赴任して驚いたことは、レジデントの教育システムが確立していることです。筑波大学附属病院では、毎日複数の診療科や多職種が集まって、病院のどこかでカンファレンスが行われています。

 カンファレンスの場では、当科のレジデントの医師が上手に画像の解説をします。毎回、カンファレンスの前に、先輩の医師が丁寧に指導してくれており、レジデントの画像のプレゼン能力はどの大学にも負けないと思います。

 しかし、これだけ良い教育環境にありながらも、筑波大学出身の放射線診断医はごく少数です。これは、茨城県が全国でも最下位レベルの医師不足が原因ではないかと考えています。患者さんと対面で診療する医師が不足しており、サポート役に回る放射線診断を担う人材まで手が回らないのではないかと。

 筑波大学附属病院で行われているようなチーム医療が茨城県全体に浸透できるようにするためには、頼れる画像診断を広めなければいけないと感じています。


起業経験生かし 画像ネットワークの構築

 群馬では15年前に大学発ベンチャーの形で、県内の主な医療機関をネットワークで結んで、遠隔画像診断を行う会社を立ち上げました。この会社は今でも大学の放射線診断医と一体となって、地域の画像診断に貢献しています。

 会社ができる前は週に数回、病院に行って読影するだけでしたので、主治医からはもっと早く結果を知らせて欲しいとの要望がありました。今では画像のネットワークを介して、すぐに画像のコンサルタントを受けることができるようになりました。

 県内の他の病院から患者さんが大学病院に搬送されてくる緊急IVRについても、事前に画像ネットワークを使って症例の適応や治療手技について検討することができるようになっています。

 筑波大学でも県内外の医療機関からの医療画像のコンサルタントや遠隔画像診断をシステムの構築や運営の面からサポートする大学発ベンチャーの設立を目指しており、筑波大学附属病院がさまざまな医療機関や患者さんに貢献できるようにしたいと考えています。

多様な働き方に対応 「パパドクター」も

 放射線診断医はいろいろな働き方ができる診療科です。遠隔画像診断システムを使えば、自宅や海外でも画像診断を行えます。放射線科医は活躍している女性の医師も多いですが、多様化した働き方で全ての放射線診断医が患者さんのために貢献できます。出産や育児をする女性の医師に優しいだけでなく、筑波大学ではすでに育児をするパパドクターもたくさんいます。

 若手医師には海外留学をお勧めしたいと思いますが、その際に問題となる画像診断レベルの低下と給与面での問題についても、遠隔画像診断で解決できると考えています。

診療科名にあるIVR 光免疫療法届けたい

 当科は放射線診断・IVR科と全国の放射線科でも珍しく、IVR(インターベンショナル・ラジオロジーの略)が診療科名に入っています。

 ちょうど10年前、私は米国の国立衛生研究所に留学させていただきましたが、その時に私の在籍していたラボ(小林久隆主任研究員)から発表された「光免疫療法」という新しい治療方法が私の筑波大学赴任の直前に早期認証制度を利用して保険収載されました。

 今後はさまざまながんへの適用拡大が期待されるところですが、私たちはIVRの技術を使ってたくさんの患者さんに光免疫療法が届けられるように研究開発に携わっていきたいと考えています。

筑波大学医学医療系臨床医学域 ・IVR科
茨城県つくば市天王台1-1-1 ☎029-853-7668(代表)
http://tsukuba-radiology.info/

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