九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「選ばれる病院」を目指し 県境を越えた信頼関係を

「選ばれる病院」を目指し 県境を越えた信頼関係を

 阿部 道雄 院長(あべ・みちお)
1991年熊本大学医学部卒業、1999年同大学院卒業。同附属病院第2外科、
済生会熊本病院、国保水俣市立総合医療センター診療部長などを経て、2019年から現職。

 熊本県の南端、鹿児島県との県境に位置する国保水俣市立総合医療センター。「医療に県境はない」と言うのは、4月に就任した阿部道雄院長だ。「この場所」にあるからこそ果たすべき役割がある。新院長が描く未来を語ってもらった。

―地域性について教えてください。

 ここ芦北医療圏は熊本と鹿児島の県境。人口は4万5000人ほどです。他の医療圏までは距離がありますから、当院は24時間の救急医療体制で住民を守る、地域の要でなければなりません。当院には水俣市、芦北町、津奈木町はもちろんのこと、県境を越えて鹿児島県出水市や伊佐市からの入院患者さんも、2割から3割弱いらっしゃいます。

 人口は出水市や伊佐市の方が多いのですが、この地域の医師が当院に患者さんを紹介してくださるケースも少なくありません。まさに「医療に県境はない」と言えるでしょう。

 また、当地域では高齢化も進んでおり複数の診療が必要な方が多く、単純な医療連携では対応が難しい患者さんもいらっしゃいます。そのため医師会の先生方との協力関係の強化も必要だと感じています。

 医療で地域を支えていくには一定程度の施設規模を維持することが必要です。そのためには、若い医師にとって当院が「修業の場」としての魅力を備えていることが必要なことから、内科、外科、整形外科など専門医資格の取得支援、働きやすい職場環境づくりなどに努めています。

―どのような医療を展開したいとお考えですか。

 まず、当医療圏ではこれまで重症の救急患者の受け入れ体制が十分でなかったことから、状態によっては熊本市や八代市の病院へ搬送しなければなりませんでした。 

 そこで当院では2019年度にHCU10床を整備。6月から本格稼働の予定です。今後はHCUの稼働によって当地域内で対応可能な症例が増えるでしょう。

 また、HCUの整備を機に、これまで限られていた外科や整形外科、脳神経外科分野の手術の症例数も、当院の意欲あふれる医師の力によって増やしていきたいと考えています。

 当院ではメディカルスタッフのサポートも大きな力となっています。私がこの病院に赴任した当時感じたのは、医師とメディカルスタッフの関係がとても良好で、仕事に集中できる環境だということでした。現在でもスタッフ間のコミュニケーションをはじめ、各部署における技術向上への取り組みも活発です。この風土は、今後もぜひ維持していきたいですね。

―病院を取り巻く変化とどう向き合っていきますか。

 医療機関はその機能を維持し続けなければならないと思います。どう維持するかを考え、実行するのが私の役目です。

 現在、地域医療の現場は人口の減少、少子高齢化の進展など、今後の経営を脅かす非常に苦しい状況に立たされており、当院も例外ではありません。もし芦北医療圏で当院の経営が立ち行かなくなれば、患者さんは受診のために遠くまで行かなくてはならず、定住どころか地域の人口減少に拍車をかけることになりかねません。

 当院は理念の一つに「健全経営」を掲げています。「健全な経営があってこそ病院を維持できる」と私たちは考えているからです。しっかりとした教育環境や勤務環境を整えて、しかるべきスタッフを配備する。いま求められている医療を適正に提供できる状況をつくる。その上で収益を上げていく。これらの両立が大切だと確信しています。

 決して無理をするつもりはありません。病院のスタッフ、地域の先生方、県境を越えて培ってきた信頼関係、これらが良い状態で保たれてこそ、地域住民に安心できる医療が提供できると考えます。これからも住民に「選ばれる病院」でありたいと思っています。

国保水俣市立総合医療センター
熊本県水俣市天神町1─2─1
☎0966─63─2101(代表)
http://minamata-hp.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる