九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「透析リハビリ」で自立した生活をサポート

「透析リハビリ」で自立した生活をサポート


院長(おさじま・あきひこ)

1984年産業医科大学医学部卒業。
山陰労災病院腎臓内科副部長、産業医科大学病院腎センター講師、
医療法人財団はまゆう会王子病院副院長などを経て、2014年から現職。

 1976年にクリニックとして開設してから45年。医療法人財団はまゆう会新王子病院は、人工透析とリハビリテーションに力を注いできた。現在も患者のADL(日常生活動作)改善のため、多彩な取り組みを展開。その実現に不可欠な人材の確保にも心を砕いている。

─病院の特徴は。

 当院は慢性腎臓病疾患の治療と人工透析、リハビリを柱とする医療機関です。透析の患者数は現在、360人ほど。慢性腎臓病は初期段階から腎不全で透析に至って終末期を迎える、いわゆる「看取(みと)り」までが対象です。保存期腎不全という透析に至る前の段階でも、進行を防いだり、あるいは改善させたりすることに力を入れています。

 透析に限らず腎臓病治療はチーム医療の最たるものだと捉えており、看護師だけでなく栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、ケースワーカーといった各部門が緊密に連携しながら進めています。

 患者さんが高齢化しており、ここ数年特に難しさを感じているのは認知症の方への対応です。透析中に手などを動かしてしまう恐れがあり、対応するにはスタッフを手厚く配置することが不可欠。離職率を下げるため、例えば看護師は入職してから3カ月間、看護部長が悩みを聞き取るようにしています。

 50年近く透析を続ける患者さんもおり、スタッフは週3回も顔を合わせていることが他の診療科と大きく異なる点ではないでしょうか。不安やストレスからか時には心ない言葉をかけられることもあり、患者さんと良好な関係を築いていくためにスタッフのメンタル面のフォローに心を配っています。

─力を入れていることは。

 当院は1976年に黒崎クリニックの名称で開設し、89年には医療法人財団はまゆう会に組織改編。2000年に相生リハビリテーションクリニックを別に開設しました。現会長である市丸喜一郎先生に先見の明があり、当時からリハビリに対して積極的でした。

 現在は、患者さんの体力と筋力の向上を目指す「透析リハビリ」を推進しています。100人ほどが各自のライフスタイルや志向に合わせて透析前後や透析中、透析日以外に取り組んでいます。

 透析患者は一般の方に比べると筋肉量が早く減少する傾向にあります。透析中にベッドに横たわっている4〜5時間のうち、1時間でも理学療法士の指導で手足をしっかりと動かし続ければ、長期的な観点で見るとADLの改善につながると考えています。

 リハビリには栄養状態の管理も欠かせません。栄養状態が悪いとリハビリが続かず、効果も上がらないためで、当院では管理栄養士が定期的に料理教室を企画。患者さんやご家族を対象にしてタンパク質や塩分を控えるなどしたメニューの作り方を指導しています。

 また、透析患者は血行障害などを起こしやすいためフットケアにも注力しています。形成外科の医師が2週間に1回、脚の傷の治りが遅かったり色調が悪かったりする患者さんを診察しています。

─今後の取り組みは。

 心臓や骨などに合併症を抱えている患者さんが増えています。当院で治療を完結することは難しく、地域の医療機関とさらに密に連携を深めていかなければなりません。

 また、当院では透析患者のライフラインとなるシャントの狭窄、閉塞などのアクセストラブルの件数が漸増しています。現在は血管外科の医師に週1回非常勤で来てもらっていますが、よりタイムリーに対応できるよう、PTA(血管拡張術)やシャント造設・再建術に習熟した常勤医を確保する必要があると考えています。腎・透析医も高齢化しており、若くてアクティブな常勤の腎・透析医の確保も急務です。

医療法人財団はまゆう会 新王子病院
福岡県北九州市八幡西区鉄王2─20─1
☎093─641─1239(代表)
http://www.hamayuukai.or.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる