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「質と安全」を突き詰め 来たるべき課題に備える

「質と安全」を突き詰め 来たるべき課題に備える

 西村  誠明 病院長 (にしむら・しげあき)
1980年岡山大学医学部卒業。岡山中央病院、
岡山大学医学部第三内科非常勤講師、
高知県立中央病院などを経て、2012年から現職。


 将来的に起こり得ると考えられる課題に対して、いつから、どのような準備を始めておくべきか。「医療の質」と「医療安全」を柱とする愛媛県立中央病院の西村誠明病院長は「変化のスピードは想定以上に早い」と話す。同院の策とは─。

―近年の状況をどのように見ていますか。

 がん医療と救急医療が当院の柱であることは、これまでと変わりません。ドクターヘリの運航の頻度、高度救命救急センターが受け入れる重症患者さんの数なども、一定の水準で推移しています。

 私たちの基本的な役割は変わらないものの、高齢化の影響が予想を超えるスピードで広がっていることを実感しています。例えば松山市の周辺地域に暮らす患者さんの動き。以前は「できる限りの医療を受けたい」と希望され、松山市へやってくる患者さんが目立ちました。

 若い方々の減少も相まって、近年は自分たちの地域で可能な範囲の医療を受ける。当院の入院患者さんの内訳や郡部からの紹介件数などを見ても、そんな意識へと向きつつあることが分かります。

 20年ほど先には、国内の医療需要の低下が顕著になると予測されています。そこを見すえた病院づくりや地域医療のあり方を、すでにイメージして進めておかなければなりません。

 2004年から当院が毎月開いている「」の意義も高まるでしょう。医師、保健師、リハビリテーション領域の方、健診センターの職員など、多様な職種が集まります。

 始まった当初は最新の治療法の紹介などを中心にしていましたが、少しずつかかりつけ医の先生方が普段の診療で活用できるポイント、注意すべきことを伝える内容へと転換していきました。スムーズな連携を第一に考えた結果です。


―重視していることは。

 従来から取り組んできた「医療の質」と「医療安全」の向上をさらに突き詰めていきたいと思います。組織を継続的に改善し、全体を底上げするTQM(Total Quality Management)活動を軸に「ムダ」を徹底的に取り除きます。

 また、DPCデータの活用も積極的に推進しています。疾患の正しい分類、それに基づく適切な治療の方針や予後の予測など、年々データ分析の精度が向上しています。

 ここで大事なのは、当院は「他の病院と比較してどのような位置づけなのか?」を知ることです。当院と同程度の規模、診療対象をもつDPC特定病院群(旧DPCⅡ群病院)が実践できていることなら、当院にもできるはずでしょう。

 データを根拠とする、効率的で説得力のある医療につながります。経験値だけに頼らず、標準化を図る。言い換えれば「誰が担当しても医療の質を担保できる」ということです。

 患者さんと医療者の双方を守る医療安全に不可欠であり、また、働き方の改革にも貢献します。クリニカルパスの使用率を上げたり、入退院支援室が手術のスケジュールを管理したりといった取り組みによって、時間外労働は徐々に短縮されています。もちろん、まだ短くできる余地はありますから、引き続き改善に努めます。


―働き方について職員の意識の変化は感じますか。

 「いざ」という場面においては、やはり患者さんのことを第一に考え、自分の目で診て判断する。その気持ちを大切にしてもらいたいと思っています。

 そのためにはオンとオフを切り替えて、体を休める時間を確保することが大切です。最近は多くの診療科で、勤務時間が終わったらムダに残ることなく帰宅するスタッフの姿を見かけます。非常にうれしいことだと思います。

 医師の働き方改革が及ぼすさまざまな影響が取り沙汰されていますが、私としては、ぜひ「プラスの働き方改革」を実現したいですね。


愛媛県立中央病院
愛媛県松山市春日町83
☎089─947─1111(代表)
http://www.eph.pref.ehime.jp/epch/

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