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「自分が何をしたいのか」を若き医師に問い続ける

「自分が何をしたいのか」を若き医師に問い続ける

広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院
田妻 進病院長(たづま・すすむ)

1980年山口大学医学部卒業。
米クリーブランドクリニック消化器科留学、
広島大学医学部第一内科(現:消化器・代謝内科学)准教授、
広島大学病院総合内科・総合診療科教授などを経て、2019年から現職。

広島大学総合内科・総合診療科教授、臨床実習教育研修センター長などを務める田妻進氏が、従来の役職に加えて、2019年春、JA尾道総合病院の病院長に就任した。医師として、研究者として、さらに教育者として歩んできたこれまでの経験から導き出された、若き医師たちへの思いとは。

代謝分野の研究や医師教育に尽力

 消化器内科で脂質代謝異常や胆汁疾患などを専門としてきた田妻氏。臨床分野だけでなく、特に黄疸などの研究分野に力を注いできた。

 「臨床実習で最初に担当したのが黄疸の患者さんだったことから黄疸に興味を持ち、特にビリルビン代謝を研究していました。体質性黄疸の基礎研究者は多くないのですが、黄疸とも関連性の深い胆汁酸の研究をしていた故・梶山梧朗先生が私の恩師です。ちなみに梶山先生は当院の院長を務められたことがあり、当院とはそうしたご縁もあります」

 こうした研究に加えて、田妻氏の活動のもう一つの柱が人材教育だ。初期臨床研修が必修化された折に、広島大学の卒後臨床研修センター長にも就任。以来初期臨床研修に携わり、2017年には医師国家試験の作成委員長を務めるなど、一貫して医師養成分野で尽力してきた。田妻氏は、若い医師が学んでいく上で、自らの感性を生かし、自ら考えていることを大切にしてほしいと語る。

 「自分の感性に基づき、自分はどんなことに関心があるかにまず気づき、知ろうとすること。診断一つとっても、なぜそう診断したのか。その診断が一般的な理論と比べてどんな共通点や相違点があるのか。その問いを繰り返しながら症例を確認し、自らの答えに裏付けがあるか確証を得ていくことが必要なのです」

総合診療専門医の育成とその可能性

 さらに田妻氏は、2016年から日本専門医機構総合診療専門医検討委員会に所属。総合診療専門医の育成にも携わっている。

 「総合診療専門医には、地域の家庭医として活躍していく方向と、病院の中で自分の専門領域を限定せずに患者を診ていく、二つの方向があります。全科をそろえることが難しくなる日本の病院で、後者の数が必要になることが予測されるため、ライセンスが必要だと考え、病院総合診療医を専門医として位置づけました」

 いま米国ではこの領域の学会員が6万人。日本病院総合診療医学会は80人からスタートし、10年で1700人になったところだ。

 「私はこうしなさいというような指導はせずに、まず自分が何をしたいのかを聞くようにしています。分野を限定せず患者さんを幅広く診たいという医師や、専門を極めた上でより広く患者さんを診ることに興味を抱いた医師などが徐々に集まってきています」

医療人に愛される魅力ある病院づくり

 JA尾道総合病院は、広島東部地区の拠点病院として、多くの研修医や専門医を受け入れ、診療、教育、研究の3分野の充実を図っている。

 「就任当初から現場にできるだけ足を運んで、病院内で起きていることを把握するように心がけています。医師だけでなく、メディカルスタッフとも顔を合わせて話を聞くことで、いま起きている問題を知ることができます。高いレベルの医療を提供するためには、意見交換の場を持つことが欠かせません。困ったことがあれば手助けして、一部の人だけが疲弊することのないよう病院のシステムをつくらなければならないと考えています」

 クロスアポイントメント制度を活用し、広島大学病院教授職と兼任してきた田妻氏。10月からは院長に専任する。「目標は、スタッフが〝ここで働きたい〟と感じる、医療人に愛される病院をつくっていくこと。それが患者さんにとっても良い病院づくりにつながっていくと信じています」

広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院
広島県尾道市平原1―10―23 ☎0848―22―8111(代表) http://onomichi-gh.jp/

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