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「病院長会議」でタッグ 迅速に立ち向かう

「病院長会議」でタッグ  迅速に立ち向かう

掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター
宮地 正彦 企業長・院長(みやち・まさひこ)

1980年名古屋大学医学部卒業。
米ジョンズ・ホプキンス大学留学、名古屋大学医学部外科学第一講座講師、
愛知医科大学医学部外科学講座特任教授などを経て、2017年から現職。

 静岡県西部にある中東遠総合医療センターは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大当初から神奈川や東京に近い県東部の患者も受け入れてきた。県内の感染症指定医療機関の一つとして、他院や行政との情報共有を図る体制づくりに尽力する企業長・院長の宮地正彦氏に思いを聞いた。

―コロナにどう対応してきましたか。

 第1波から他地域の患者さんを受け入れており、職員も覚悟を決めてくれたことから、2020年4月の段階で重症を10例、中等症は17例受け入れる方針を立てました。最大で10台の人工呼吸器を運用することになり、若手医師と看護師の教育を急ぐとともに、シミュレーションを重ねました。

 一番困ったのは、情報を早急につかめないことです。県東部の患者の受け入れを検討する際は現地の状況が分からず、予測が立てにくかった。第3波が発生し、「このままでは年は越せない」と県病院協会や重点医療機関に必要性を訴えて立ち上げたのが、「新型コロナウイルス感染症重点医療機関等連絡調整会議」、通称「病院長会議」です。

―「病院長会議」の特長は。

 県内全ての感染症指定医療機関を含めた病院の病院長約15人のほか、県の対策本部や感染症の専門家でつくる組織で、20年12月17日に第1回の会議を開催しました。病院間で患者データを共有したことで、各医療機関が逼迫(ひっぱく)しているか、まだ余裕があるかといった状況を把握しやすくなりました。

 活用したのは、事前アンケートです。1週間で重症、中等症のベッドを何床増やせるかをあらかじめ尋ねておき、会議は討議ではなく決定の場にする。さらに、決まったことは数日以内に実行に移すことを徹底しました。参加者がこの組織の重要性を理解してくれて、腹を割って話し合うことができた結果、実効性のある方策を次々に打ち出すことができたと思っています。

 これまで5回の会議を開き、広域搬送のルールやホテル療養の収容基準などが整理され、入り口の対策はおおかた整いました。次はコロナ患者をいかに効率的に他院に移せるか、出口戦略を考えていく段階になります。5月の大型連休明けに再び感染者が増えることが予想され、それまでに流れをつくることが重要だと考えています。

 アフターコロナにおいても、同様の組織を活用しない手はありません。今後も定期的に開催すべきという声もあり、例えば医師不足の静岡にどう人材を集めるかといった長期的な課題について、それぞれの現場の声を共有して対策を進めていけたらと思っています。

―この1年で変化した点や、展望は。

 病院の組織としての機動力や職員の使命感は確実に高まったと実感しています。コロナに臨機応変に対応してきたことで、病棟の再編成などこれまで難しかった課題に切り込んでいける土壌ができました。よりステップアップできる可能性が見えてきています。

 運営面では、20年4~5月は25%近くの減収で、今でも稼働率は15%ほど落ち込んでいます。原因の一つは、コロナ禍において当院で診るべき患者さんを絞ったこと。平均在院日数は10日前後だったのが、1日以上短くなりました。すぐに元に戻せばいいというわけではなく、急性期病院の役割を全うすることも重要です。この先は収益がマイナスにならないよう入院や手術、紹介患者を増やす努力を続けていきます。

 幸いにして、感染拡大前から着手していた手や肘のけがや病気を治療する手外科などで収益が上がっています。約1年後には心臓外科も新設する予定で、中東遠だけでなく、志太榛原などより広範囲で救急医療をサポートします。コロナと共存しながらも、やるべき医療に向き合い、揺るぎない病院に成長していきます。

掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター
静岡県掛川市菖蒲ケ池1―1
☎0537―21―5555(代表)
https://www.chutoen-hp.shizuoka.jp/

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