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「正道」を歩み 患者に寄り添う

「正道」を歩み 患者に寄り添う


山本 謙吾 (やまもと・けんご)
1983年東京医科大学医学部卒業。米ロマリンダ大学留学、
東京医科大学病院副院長などを経て、2021年から現職。
東京医科大学整形外科学分野主任教授兼任。


 9月、東京医科大学病院の病院長に就任した山本謙吾氏。都内有数のオフィス街でもある西新宿で、特定機能病院として高度医療を提供する同病院を、今度どう率いていくのか。具体的な方策や将来像を聞いた。



立地を生かし企業への周知強化

 東京医科大学の創立100周年の記念事業として2019年に全面建て替えをして開院した新病院は、地上20階、地下2階建て。新宿副都心の好立地に904病床を有する。

 約4000人が働く組織を率いる上で、病院長が一番に果たすべき役割は「全職員がそれぞれのパワーを発揮できる配置や環境を整えること」と山本氏は即答する。今後は働き方改革への対応も見据えて、休職者のサポートにも注力し、職員が長く働き続けられる職場を目指していく。

 対外的には、医療連携を重視する。高度医療の実践を使命とする病院として、特に入院や手術が必要な患者の紹介につなげていく考えだ。「これまでも連携先を増やす試みをしてきましたが、今後の経営を考えると、入院や手術につながる患者さんを紹介していただけるような医療機関をさらに掘り起こす必要があると考えています」

 新宿という立地を生かし、周辺の大企業に病院の機能を紹介して集患につなげ取り組みも始めた。職員が企業を個別訪問し、健診の受診案内や予約診療センターなど院内の各センターの特色を紹介している。21年に開設した予約診療センターでは、企業などで働く多忙な人向けの予約枠を設けた。完全予約制で待ち時間も短く、再受診する人が増えているという。


入退院支援を強化 多職種でサポート

 目指すのは「患者さんに優しい医療」。ロボット支援下手術など最先端の医療は必要だが、最先端ばかりを突き詰めるべきではない、とも考えている。「急いで進むと大切なことを見落とす可能性がある。職員には、患者さんの痛みや苦痛に寄り添うという原点を大切にしようと話しています」

 「優しい医療」の実践のため、病院長就任後に入退院支援に着手した。背景には、低侵襲医療に取り組み、平均在院日数の短縮を実現した実績がある。患者と家族から短期間で退院後の生活の準備をすることは難しいという声が上がっていたことを受け、全病棟に退院支援看護師と医療ソーシャルワーカーを配置した。 
  
 「医師だけでなく多職種で関わることで患者さんやご家族の本音が出やすく、退院後に入る施設などにつてより希望をくんだ紹介ができるようになったと実感しています」。経営面でも、入退院支援加算1を算定できるようになった。


回り道でも「正道」歩む姿勢を

 スピード重視の現代で、医療の細分化も進み、より早くゴールに到達しようとする傾向が強くなることを危惧している。自身の整形外科医としての歩みの中では、時に回り道をしたことが自らの向上につながったと捉えている。そのため、若い職員たちには、専門外を含めて幅広い教育を受けて着実に力を付けてほしいと考えている。「論語の『行くに径(こみち)に由らず』の言葉のように、近道をせずしっかりと正道を歩いてほしいと願っています」

 組織の長として、とにかく相手の話をよく聞くことを心掛けているという。「トップは即断即決で決めるのが仕事と言われることもありますが、唯我独尊にならず対話を深めたいですね」

 コロナ禍で先行きが不透明な部分が多いからこそ、調和を重んじ、着実に一歩を進める。患者を第一に考える山本氏が指し示す「正道」は、病院を次の100年へと導く大きな礎となる。


東京都新宿区西新宿6-7-1 ☎03-3342-6111(代表)
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/

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