九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「時間軸型医療」 実現に向けて

「時間軸型医療」 実現に向けて


学長(そぶえ・げん)

1975年名古屋大学医学部卒業。
米ペンシルバニア大学留学、愛知医科大学第四内科助教授、
名古屋大学大学院医学系研究科神経内科教授、
同大学大学院医学系研究科長・医学部長などを経て、2020年から現職。
学校法人愛知医科大学理事長兼任。

 2014年の新病院開院など11年を費やしたキャンパス再整備が完了。ソフト面の再開発を推し進めることで、一層の発展を目指す愛知医科大学。2022年の創立50周年に向けての思いは。

独自の中期計画で意識を変えていく

 学校法人愛知医科大学理事長に就任したのは2019年。翌2020年の春、学長兼任となった。それまで、名古屋大学総長補佐や医学部長などを歴任。この間には、国立大学法人化に伴う中期計画策定などに携わってきた。全国に六つある国立高度専門医療研究センターの業務実績評価にも関わっている。

 当時を振り返って、「組織のミッションを完遂し、イノベーションを起こすために、みんなの意識を変える〝テコ〟にしようとつくられたのがこの中期計画。法人化から十数年たって、大学の雰囲気はガラリと変わりましたね」と話す。

 「ポリシーがより重要となる私立大学で、独自性を生かした改変を行っていく」、そのビジョンをまとめたのが、2019年から6年間に及ぶ愛知医科大学独自の中期計画だ。発展のキーワードは、「自己実現」「連携」「独自性」。さらに、経営基盤の強化、教育・研究活動の充実と発展、人材育成、卓越した大学力の涵養(かんよう)、地域医療・地域貢献の促進の五つが、戦略として導き出された。

 これらを推進するため、理事長直轄の経営戦略推進本部を新設。「部署を横断的にマネジメントしつつプランを実行していきます」。今後、外部評価システムも取り入れながら詳細な目標と計画を策定していく。

「時間軸型医療」で地域連携に踏み込む

 経営戦略推進本部は、前身である医療連携推進事務室に働き方や財政基盤、教育などの各改革プロジェクトがひもづけられ、バージョンアップした。その経緯から、改革案の一つ目に挙げられているのが、地域医療連携プロジェクトだ。

 考え方の土台となっているのは、以前から温めていたという「時間軸型医療」構想だ。「急性期を終えた後、地域で暮らす患者さんを、長い時間軸でどう支えるか、です」。慢性期には、神経難病なら認知症、心筋梗塞なら心不全など別の病態の危険性が高まる。再発予防、進行予防にも踏み込んだ、それぞれに特異な医療ができないだろうか。「そこで目指したいのが神経難病、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、がん、リウマチなどの進行期、慢性期を勘案した疾患ごとの地域医療システムの構築です」。現在、実現に向けて、周辺病院を順次訪問。患者の紹介・逆紹介にとどまらない連携のあり方を模索している最中だという。

 脳神経内科学の専門家として長年、アルツハイマー病、パーキンソン病など神経変性疾患の発症解明と治療法の開発に携わってきた祖父江学長。時間軸に立脚した医学の重要性も、病態の変化を追う中で実感したことの一つだという。「疾病構造の変化や慢性化への対応策を、真剣に考えるときがきています」

慢性期と救急を担う 医師を育てる

 祖父江学長が考える地域医療の柱は二つ。時間軸型医療につながる慢性期の支援と、もう一つが救急だ。「さらに充実させるため、救急部門はもとより各診療科の支援体制や、後方病院の連携の整備をさらに進めていく予定です」

 地域医療の担い手となる医師の育成にも本腰を入れたい考えだ。「救急を診られることと、慢性期のサポートができること。この二つは、今の医学教育で不足気味です。大学として先進医療はコアな部分ですが、救急や慢性期に対応できるドクター教育も、より充実させていきたいですね」

愛知医科大学
愛知県長久手市岩作雁又1-1 ☎0561-62-3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

メニューを閉じる