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「日常生活を取り戻す」そのためのアイデアとは?

「日常生活を取り戻す」そのためのアイデアとは?


大山 治 院長(おおやま・おさむ)

1981年聖マリアンナ医科大学卒業。
聖テレジア病院(現:鎌倉リハビリテーション聖テレジア病院)、
社団法人巨樹の会(現:一般社団法人巨樹の会)蒲田リハビリテーション病院などを経て、
2012年から現職。

 病院名が表すように、緑が多く残るベッドタウンにある。周囲に点在する急性期病院と連携し、急性期直後からの回復期リハビリテーションを担う。「自宅での生活」「社会復帰」という患者の日常を取り戻すためには何が必要か。常にアイデアを絞り、前に進む。

―地域における役割は。

 急性期病院などと連携して、治療を終えた患者さんがご自宅での日常生活に戻れるよう支援します。若年から壮年の方には、仕事にも復帰していただくことで地域への社会貢献を果たしたいと考えています。

 患者さんの6~7割は高齢者。交通外傷や脳血管疾患などは主に若年から壮年期で、仕事をお持ちの方もいらっしゃいます。どのような重症の患者さんであっても、断らずにお受けするのが基本方針です。

 中には、1日9単位(3時間)のリハビリでも、思うような結果が得られない患者さんもいらっしゃいます。でも、実際にリハビリを受けていただかなければ、ご本人もご家族も実感できません。リハビリでどこまでできるようになるのかを知っていただくことも、私たちの大切な仕事だと考えています。

 その上で、家に帰る際に何が必要なのか、ご家族の協力はどうすればいいのか。また、どのような介護サービスを導入すればスムーズに生活できるのかを一緒に考えます。必要があれば担当者がご自宅に伺い、手すりが必要な場所や自立した排泄のためのトイレの提案など、家屋の調査も行います。

 自宅に戻るのが難しい場合には、患者さんのご希望に沿って退院後に生活する場所を判断します。後方連携のパスを活用して療養型の病院や施設などもご紹介しますが、あくまでも患者さんの選択が第一です。


―患者のサポートで工夫している点は。

 それぞれの状態に合わせて患者さんが自宅での生活に戻れるよう、摂食・嚥下(えんげ)やNST(栄養サポートチーム)、運動器、パーキンソン病など、さまざまなチームを院内で編成します。

 栄養のサポートでは、一人一人の基礎代謝や身体の状態、さらに糖尿病や高血圧なども考慮に入れてNST委員会で検討。日常生活が可能な「体をつくる」ためのプログラムを実践します。車の運転が必要な患者さんにはドライブシミュレーターを導入しています。

 高次脳機能障害や認知症を精査し、適性が認められればシミュレーションを行います。結果を担当医と作業療法士、私の3人で検討。OKなら運転免許センターで実車訓練を受けるための診断書を書きます。

 また、退院後の通所リハビリや訪問リハビリにも力を入れています。一般的に訪問リハビリは理学療法士が行くことが多いのですが、当院では言語聴覚士も同行します。日常生活においては、言葉のリハビリも欠かせません。


―今後のビジョンを

 毎月イベントを開催しているほか、夕食後にカラオケや足湯を楽しんだり、フェイシャルケアをサービスで提供したりする「ナイトリハ」など、できるだけ「日常生活に近づける」試みを展開しています。今後もスタッフとアイデアを出し合って、実行に移していきたいですね。

 また訪問リハビリに関しては、スタッフの数がそろえば、範囲を広げて充実させたいと考えています。リハビリを通じて地域に貢献することが私たちの目標です。そのためには、当院と連携している医療機関の先生方と顔の見えるお付き合いをして、なるべく早期に患者さんを受け入れ、リハビリをスタートすることが重要です。傾向として介入するタイミングが早いほど、リハビリが効果を発揮しやすいのです。

 いずれ連携している先生方を招いて、リハビリの現場をご覧いただく機会なども設けたいですね。


医療法人社団東京巨樹の会 みどり野リハビリテーション病院
神奈川県大和市中央林間2─6─17
☎046─271─1221(代表)
http://www.midorino-hp.jp/

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