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「新しい役割」を見すえ呼吸器を軸に強みを打ち出す

「新しい役割」を見すえ呼吸器を軸に強みを打ち出す

   谷本 安 院長(たにもと・やすし)
1985年岡山大学医学部卒業、同第二内科入局。米クレイトン大学アレルギー疾患センター留学、
岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科講師、南岡山医療センター統括診療部長などを経て、
2017年から現職。

 「呼吸器疾患の診療を軸に、オンリーワンの部分をより明確に打ち出していきたい」と言う谷本安院長。就任からもうすぐ丸2年。強みの集約化などを進めてきた。院長が描く「いまとこれから」の南岡山医療センターについて聞いた。

―近年の状況について教えてください。

 「専門医療の維持・発展」と「早島町を中心とした地域への貢献」が当院の2本柱。それは今後も変わらず推進します。

 2018年9月、当院と岡山大学病院が県の「アレルギー疾患医療拠点病院」に選定されました。アレルギー疾患に対する医療の質の均てん化に向けて、これからさまざまな活動に関わっていくことになります。

 拠点病院が担う主な役割は、重度のアレルギー疾患の診療や医療機関の連携体制の構築、医療者や市民を対象とした情報提供、専門的な知識と技術を有する人材の育成などです。

 国立成育医療研究センター(東京都)、国立病院機構相模原病院(神奈川県)が全国的な拠点です。今年1月、国による「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略」が策定されたこともあって、各地で疫学研究や基礎研究、臨床研究などが進むでしょう。当院も、多施設共同研究などに参画する機会が増すと思います。

 この戦略では「先制的医療」や「層別化医療」といったキーワードが示されています。重症化を防いだり、疾患の連鎖を抑制したりといった対策の確立を目指すとともに、さらにその先にあるのは、あらかじめリスクを把握して「発症させない」医療。

 食物アレルギーに対する乳幼児期のスキンケアの重要性が提唱され、経口免疫療法、スギ花粉やダニのアレルギーには舌下免疫療法と、この領域の医療も刻々と変化しています。拠点病院として、まずはこうした知識を医療者、地域の人々にしっかりと届けていきたいと考えています。

―結核の診療についてはいかがでしょうか。

 当院は岡山県健康づくり財団附属病院(岡山市)とともに、県の「結核診療連携拠点病院」に指定されています。国内の結核患者は減少傾向にあり、岡山県でも着実にり患率が低下しています。

 しかし、WHО(世界保健機関)の定義では、世界的に見ればいまだ「中まん延国」(10万人当たりのり患率が20以上100以下)の位置付けです。

 毎年1万8000人近くがり患している疾患です(結核予防会「結核の常識2018」)。国は2020年の東京オリンピックを迎えるまでに「低まん延国」(同10以下)入りを目指しています。

 「あと一息」という段階なのですが、なかなか思うような結果が得られず足踏みしている現状もあります。課題は大きく二つ。高齢者、そして外国人労働者や留学生の増加です。

 結核患者の中心は高齢者です。若いころ結核菌に感染し、加齢で免疫力などが低下して発症します。また、主にアジア圏の国の人が母国で感染し、日本で発症するケースも目立ちます。

 特に高齢者は症状がはっきりしないことも少なくないため、発見が遅れて施設での集団感染なども起こり得ます。引き続き、もしもの事態に備えます。

―将来的なイメージを教えてください。

 当院が有する呼吸器領域の経験の蓄積を生かして、肺移植などの移植医療、再生医療とも関わっていけたらと思っています。

 例えば、移植手術を受けた患者を受け入れ、呼吸器リハビリテーションなどの提供で在宅復帰を後押しする役割が考えられます。

 また、神経難病に対するiPS細胞を用いた創薬が進む中、臨床試験に関連する入院などでも当院の専門性が発揮できるでしょう。こうした新たな病院の可能性が生まれるのではないかと想像しています。


独立行政法人 国立病院機構 南岡山医療センター
岡山県都窪郡早島町早島4066
☎086─482─1121(代表)
https://minamiokayama.hosp.go.jp/

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