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「救急車を断らない」地域完結型の医療の充実を

「救急車を断らない」地域完結型の医療の充実を


安 隆則 病院長(やす・たかのり)

1986年秋田大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校留学、
琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学准教授、
獨協医科大学日光医療センター副院長などを経て、2019年から現職。
同心臓・血管・腎臓内科主任教授兼任。

 獨協医科大学日光医療センターは、2006年開院。急性期医療、高度医療、リハビリテーションを中心に、地域医療支援病院としてさまざまな取り組みを行っている。そのかじ取りを担う安隆則病院長の目指す医療とは。

―「救急車を断らない病院」を実現されています。

 月に約150台、年間2000台ほどの救急車を受け入れています。救急対応は、昼間はファーストコール、セカンドコール、サードコールまでローテーションを決めており、夜間は内科、外科の医師を1人ずつ配置しています。
 
 救急部の部長を兼ねていた副院長時代の2018年に、救急車を断らないための「見える化」を実施しました。救急車の受け入れ件数、患者さんの様子、電話対応、受け入れを断った場合はその理由なども含めて、毎日院内に配信。それにより、理由なく救急車を断ることができなくなります。

 特に当直勤務を任された若い医師たちは、患者さんへの対応について、翌朝すぐに先輩医師に相談し始めるなど、この取り組みによって全員のモチベーションに変化が生まれました。

 その結果、応需率は格段にアップ。「見える化」の効果は極めて大きかったと考えています。

 この救急の「見える化」の実績をさらに広げたいと、病院長に就任した2019年には各病棟の病床稼働率の「見える化」にも着手。救急もあるので、基本的に病床稼働率は90〜95%程度と指示しました。こちらも常に、この数字の範囲で推移しており、成功しています。

―「地域完結型医療」の取り組みは。

 急性期から慢性期まで「切れ目のない医療」を展開するために、一つの病院だけでなく、地域全体で取り組みたいと考えています。

 まず当院では、患者さんが寝たきりにならないよう、急性期の段階からリハビリテーションや食事指導を取り入れるようにしています。 例えば、心不全の患者さんに対しては、塩分の摂取量を守ること、運動を定期的にする習慣づくりなどを指導。その後、地域のかかりつけの先生にお戻ししてからも数カ月に一度、当院に通っていただく「二重の主治医」とも言える体制を整えています。

 日光市は人口減少が進んでおり、病院同士が協力していかないと地域医療が立ち行かなくなります。そこで、日光市や市内にある多くの医療機関がさまざまな協議を重ね、2019年4月、地域医療連携推進法人「日光ヘルスケアネット」を発足させました。

 参加医療機関で医療機能の分担を進め、患者さんの入退院の適正化や、在宅医療の充実化を図っていこうと仕組みづくりを進めています。これらの取り組みがスムーズに動くことで、「地域完結型」の医療が実現できるのではないかと考えています。

―さらなる取り組みは。

 当院は研修施設として、セミナーを多数開催。地域の開業医の先生方にも参加を呼びかけています。

 2019年からは、それまで院内対象だった病理医と臨床医による議論の場「CPC(臨床病理検討会)」を院外の先生にも開放しました。院内の医師たちの刺激にもなっており、地域医療の充実と質向上につなげたいと考えています。

 もう一つ大きな目標に「日本・アジアの人を〝とりこ〟にする医療サービスの提供」を考えています。学生時代にカンボジアにボランティアに行った経験があり、いつか力になりたいと思っていました。

 さまざまな交流はすでに始めており、インドネシアや中国から医師が見学に来ています。観光客対象のインバウンドに限らず門戸を開き、「ここで治療を受けたい」と思っていただけるような質の高い医療とサービスを展開したいと思います。

獨協医科大学 日光医療センター
栃木県日光市高徳632
☎0288―76―1515(代表)
https://www.dokkyomed.ac.jp/nmc/

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