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「手術の限界」に 挑み続ける

「手術の限界」に 挑み続ける

京都大学大学院医学研究科 肝胆膵・移植外科学
教授(はたの・えつろう)
1989 年京都大学医学部卒業。
米ノースカロライナ大学留学、兵庫医科大学消化器外科学講座・
肝胆膵外科主任教授などを経て、2021 年から現職。


 肝胆膵(すい)外科を専門に歩み、4月に教授に就任した波多野悦朗氏。生体肝移植や膵島移植など移植医療をけん引してきた歴史を持つ教室をどう運営していくのか。


集学的治療を実践 手術の限界に挑む

 就任から半年間は兵庫医科大学の教授を兼任しており、10月から専任になった。肝胆膵外科に加えて、移植外科、小児外科と幅広い領域に携わり、改めて責任の重さを感じているという。

 「他の施設では手術が難しい患者さんが集まってくるので、手術適応外、移植適応外となれば、患者さんにとって非常にショックが大きい。『最後の砦(とりで)』としての役割を果たすために、『手術の限界』に挑戦することが重要な使命だと考えています」

 肝胆膵外科では、予後不良の難治がんとされている肝胆膵がんや、肝転移を伴う大腸がんの患者を診療。移植外科では末期肝疾患に対する肝移植や、糖尿病患者への膵島移植などを行う。

 肝胆膵がんについては、化学療法に加えて分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬を手術と組み合わせ、集学的治療で患者さんを治癒に導くことが重要と捉え、「腫瘍内科や放射線科の先生とより密接に情報交換しながら、手術のタイミングを考えていきます」と語る。

 術前・術後治療で治癒する人を一人でも増やすためには、単施設ではなく多施設で臨床試験を行い、インパクトのある結果を生み出す必要がある。京都大学と関連病院で臨床試験を立ち上げていたのに加えて、関西の主要な肝胆膵外科、消化器外科の施設で「関西肝胆道オンコロジーグループ(KHBO)」という枠組みを共同で立ち上げた。

 臨床試験を実施し、肝細胞がんの薬物療法についての論文発表、免疫チェックポイント阻害薬についての臨床試験など、さまざまな試みを進行させている。

 自身の任期9年を前中後期に区切り、それぞれの期間に成果を国内、アジア、最終的には世界中に発信することを目指す。


主治医グループで若手働きやすく

 就任後、若手が働きやすい環境をつくるために、チーム医療を推進する改革に着手している。「主治医グループ」を3、4組編成し、その上位に准教授・講師による肝胆・移植・膵臓・小児のグループを置き、准教授らが責任を持って若手を指導する仕組みを導入した。

 「昔は土日も患者さんの様子を見に行かなくてはならなかったですが、主治医グループを編成してからは、グループのうちの1人が担い、病状が安定している場合は当直医に任せています」。当直翌日には半日休暇を与える制度も新たに設けており、浸透しつつあるという。


多様性を尊重 活躍の場を創出

 大きな目標として、若手が活躍できる場の創出を掲げる。「高度な技術を短期間の修練で習得することは難しいので、まず中堅の医師たちには、若手に10、20年後にこうなりたいと憧れられるような存在になってほしい」と願う。

 そのためには技術の習得や医療への姿勢だけでなく、オンオフを切り替え、家族を大切にするワークライフバランスを身に付けてもらうことが大事だと考えている。また、コロナ禍で若い人が内向き志向になりつつあることを懸念し、「できるだけ積極的に海外へ出て、日本を外から見るように後押ししたい」と語る。

 ハイリスクな場面でチーム医療を実践するために、今後はより周囲とのコミニケーションを重視する。教室員の個性や多様性を尊重する風土で、一丸となって前進していく。



京都大学大学院医学研究科 肝胆膵・移植外科学
京都市左京区聖護院川原町54 ☎075-751-3111(代表)
http://hbptsurgery.kuhp.kyoto-u.ac.jp/

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