九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「峠の手前で完結する医療」を目指して

「峠の手前で完結する医療」を目指して

JA北海道厚生連 帯広厚生病院 菊池 英明 院長(きくち・ひであき)
1978年北海道大学医学部卒業、
同第2内科、帯広厚生病院消化器内科主任部長、同副院長などを経て、2012年から現職。

 農家一戸当たりの平均耕地面積42ヘクタール、食料自給率1100%(カロリーベース、十勝総合振興局調べ)。道内トップの大規模農業を展開する道東の十勝エリア。その中心都市、帯広で70年以上〝農業王国〟の医療を支えてきた帯広厚生病院が、2018年、移転新築を果たした。

―スケールの大きな病院ですね。

 敷地面積約7万6000平方メートル、病院は鉄筋コンクリート造り10階建て、東側に外来棟、西側に自家発電装置2台を設置するエネルギー棟が接続しています。

 延べ床面積は約6万5000平方メートル、駐車場は約900台分。診療科は24科。1階に救命救急センター、3階に手術室、4階に総合周産期母子医療センター、5階から一般病棟となり、9階に緩和ケア病棟を開設。病床数651床のうち個室335床。屋上にはヘリポートを設置しています。

 十勝エリアは日本最大の医療圏であり、2次医療圏と3次医療圏が同一という全国唯一の地域。当院は救命救急センター、道地方・地域センター病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院などの指定を受ける中核病院。従来にも増して、地域の期待に応える医療を提供していきます。

 移転新築の直接的なきっかけは、老朽化と、増築を繰り返したことによって内部構造や動線が複雑化して診療運営が非効率的になり、患者さん、職員に多大な負担をかけるようになったこと。建設に際しては、明快なゾーニングによるとシンプルな動線と、効率的な診療を導く合理的な内部構造の実現に力を注ぎました。

 例えば、外来患者さんの動線は南口のメインエントランスから北口の救急・時間外エントランスまで、院内を一直線に縦断するホスピタルモールを主軸とし、ここを水平移動するだけで外来各科にアクセスできます。診療の効率化については、北口1階の救急ヤードと屋上ヘリポートをエレベーターで直結し、必要な処置室や機器を合理的に配置。スムーズな搬入・搬送や時間ロスのない診断・治療を可能にした救命救急センターが代表例になります。

 患者さんの利便性の向上にも配慮しました。モールの起点に、一切の手続きをワンストップで行える総合支援センターを開設したほか、経済的不安など、さまざまな悩みを有する患者さんやご家族のために専門職員が出向いて個室で対応する相談窓口を新設。

 また診察進行状況、調剤状況などが携帯端末に配信されるWebサービスも導入。さらに職員専用エリアの確保や専用エレベーターの設置、抗がん剤調製ロボットの導入など、職員の職場環境の向上に資する設計や設備も随所に施しています。

―新病院として重点的に取り組んでいることは。

 三つあります。まず先進的医療の提供。手術室と心・脳血管エックス線装置を組み合わせたハイブリット手術室の新設や、がん細胞へのピンポイント照射が可能な放射線治療用動体追跡システムなどを導入しました。二つ目は療養環境の向上。病室個室率50%をはじめ、緩和ケア病棟の開設、外来化学療法室の拡充なども行っています。

 三つ目は災害に強い病院の実現。全館免震構造とし、最大出力3500キロワットの自家用発電装置の設置、飲料水の地下水利用などにより、災害時でもライフラインを自主確保して病院の機能を維持します。

 十勝エリアは日高山脈や大雪山に囲まれ、札幌や旭川など他都市に移動するには山脈を越えなければなりません。時間も費用もかかるため、エリア内で必要十分な診療が受けられる医療体制の実現が、地域住民の昔からの願いでした。当院も1945年の開院以来、〝峠の手前で完結する医療〟を目標とし、今後もその点に変わりはありません。地域住民に喜ばれる医療の実現に努力していきます。

JA北海道厚生連 帯広厚生病院
北海道帯広市西14条南10―1
☎0155―65―0101(代表)
http://www.dou-kouseiren.com/byouin/obihiro/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる