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「実践」と「教育」で地域医療と大学が連携

「実践」と「教育」で地域医療と大学が連携

指定管理者 国立大学法人 宮崎大学
院長(こんどう・かずひろ)

1983年宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業。
都城市郡医師会病院、スウェーデン・カロリンスカ研究所、
宮崎大学医学部附属病院准教授などを経て、2015年から現職。

 宮崎市の郊外に位置する田野町で、長年にわたり地域住民を支えてきた宮崎市立田野病院。深刻な医師不足などで一時存続が危ぶまれたが、2015年に宮崎大学が指定管理者として参入。病院体制の立て直しを図り、2019年4月に丸4年を迎えた。

―大学が指定管理に入った効果は。

 存続させる体制づくりが急務でしたが、医師数については、常勤医を2人増やして5人体制でスタート。現在は常勤医6人に、循環器内科や膠原病内科などの医師は非常勤で入ってもらっています。安定した医師数は確保できているのではないでしょうか。

 一方、宮崎大学医学部では地域医療に関わる、臨床教育の場が欲しいと思っていました。田野町は宮崎市とはいえ、山間部も多く、公共交通機関も発達していないなどの理由から、地域医療のニーズが高いエリアと言えます。宮崎大学医学部としては、地理的に近い場所で医療を実践できる場を得られたことは大きいと言えるでしょう。

 病院の存続のためには、地域医療に興味を持って、かつ宮崎に貢献してくれる若い医師を一人でも多く育成することが必要です。地域医療に携わるには「思いやりの心」、個人の事情やライフスタイルに合わせた医療を提供できる「柔軟な姿勢」を持って、地域に溶け込むことが大事。それが学べる環境がここにあります。ぜひ一緒に地域医療を盛り上げてほしいですね。

―「実践」「教育」の二本柱を掲げる理由は。

 地域医療の実践にあたり、必要不可欠なのが「総合診療」。地域の病院は医療資源が限られていますから、「何でも診る」といった姿勢が必要です。そこで2週間に1回ほど、互いの専門分野について学ぶ勉強会を開くほか、病棟の患者について全員でカンファレンスを行い、治療の方針を立てるようにしています。

 教育に関しては、地域医療を学ぶ場として貴重な拠点になっています。研修医のほかに、医学部医学科5年生が2週間ずつ、5、6人のグループで実習に参加。同学部看護学科3年生も受け入れています。

 医学科5年生は在宅への訪問診療や、当院が経営する隣接の介護老人保健施設「さざんか苑」への診療などにも帯同させています。在宅での点滴の様子や老老介護の現実を見て、多くのことを感じているようです。学生のうちからこのような現場実習ができるのは、全国でも珍しいそうで、先日は文部科学省からの視察もありました。

 在宅での「看取(みと)り」も行っています。医療と介護は別の分野だと思われがちですが、実は重なっています。高齢者になれば次第に介護の比重が大きくなり、やがて「看取り」のときを迎えます。退院後、希望して自宅に帰ったはずの患者さんが、救急車で運ばれて、病院で最期を迎えることにならないよう、ご家族や救急隊員との連携を密にしています。

―「外来医療の機能分化」の役割は大きいですね。

 高度医療機関の円滑な運営という面だけでなく、地域の病院として高齢の患者さんの負担を軽くするという側面もあります。高齢になるといくつも症状を抱え、各専門の診療科にかかっていたら、医療費がいくらあっても足りません。高齢の患者さんの生活を守るためにも、まず総合的に診る病院、医師がいること。そして本当に必要な場合に、専門の診療科につなげる連携が重要になってくると思います。

 また多職種連携の構築にも取り組んでいます。地区内の医療機関、介護施設や地域包括支援センターなど約20の事業者と一緒に「たこの会」というグループを結成しています。嚥下(えんげ)など現場に即した講演を開催するなど、多方面から地域全体を見守っていけたらと思います。

指定管理者 国立大学法人 宮崎大学 宮崎市立田野病院
宮崎市田野町南原1―6―2
☎0985―86―1155(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/tano/

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