九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「子どものためなら何でもしよう」を実践

「子どものためなら何でもしよう」を実践

社会医療法人 真美会 中野こども病院
荒木 敦院長(あらき・あつし)

1985年関西医科大学医学部卒業。米アイオワ大学神経内科客員研究員、
大阪府済生会野江病院小児科部長などを経て、2019年から現職。

 小児科医の中野博光氏が1966年に開設した「中野こども病院」。全国でも数少ない民間の小児科専門病院だ。「子どものためなら何でもしよう」という理念を日々実践するため、新院長が進める新たな取り組みとは。

地域に根差す小児科

 「病院のことは知っていましたが、着任して改めてその責任の重さを感じています」と表情を引き締める荒木敦院長。

 大阪市東部に位置する旭区にある中野こども病院には、府内全域から患者が訪れる。閑静な住宅街の一角にあり、シックな外観の病院建物は周囲になじむ。旭区は地域の特産品や団体を「旭区ブランド」として毎年認定。今夏、同院もその一つに初めて選ばれた。「地域にとって自慢できる病院になってきたのかもしれません」と笑顔を見せる。

 外来延べ患者数は年間約6万1000人。病床数79床に対し年間の入院患者数は約3千800人。365日24時間の小児救急を実施し、救急車の受け入れ台数は年間約2000台超。少子化社会の影響とは無縁の右肩上がりの実績だ。
 
 小児科ならではのにぎやかな待合室。そこでは「保育士」と首に名札を掛けた女性が子どもたちに目を配る。今年4月から外来に保育士を配置する。

 もともと病棟を中心に保育士19人を配置し、患児の世話を担当。保育士と看護師が仕事を分担することで、医療の質が上がったという。合わせて臨床心理士、栄養士など多職種の虐待防止チームも活動。入院中に親や子どものSOSに気付くこともあるようだ。

 外来の保育士は「診察までの待ち時間に世話をしたり、親に声掛けをしたりして安心してもらう。経営的には厳しいかもしれませんが『子どものためなら何でもしよう』という理念からも必要でした」

 敷地内では病児保育も実施。その需要は年々増加し、2018年は年間約2000人を超える利用があった。「おそらく国内の病児保育の施設でもかなり上位ではないでしょうか」

神経発達外来の患者が増加

 荒木院長の専門は小児神経分野だ。院長になった現在も「神経発達外来」で小児神経専門医として臨床に当たる。小児神経専門医の数は少なく、同院の診療体制も、もっと充実させていく必要がある。

 同外来では自閉スペクトラム症や注意欠如多動症といった発達の偏りである「神経発達症」が増加している。
これまで毎月50人前後だった患者数が、荒木院長の外来がスタートしてからは約300人に上る。

 「神経発達症は子どもたち自身も困っていることが少なくない。周囲が早く気付き、不安のない環境をつくることが大事」だと言う。

働き方改革も考慮主治医チーム制導入

 現在、常勤医が10人。小児科医が減少する中、研修先としても人気のようだ。「小児科の研修ができる所が少ないため、当院が受け入れ施設となっている側面もある」

 小児科医は女性が多く、働き方改革も考慮して「主治医チーム制」を導入した。複数の主治医であれば、休みの取得も比較的柔軟に対応できる。また、若手医師の夜間勤務ではペアでベテラン医師が待機。夜間勤務の翌日は必ず休む体制も徹底する。

 今後の課題については「医療的ケア児のトランジションの問題と医療の質向上への取り組み」と考えている。質向上のために、週1回の医局会やステップアップセミナーを始め、自らも講師として話をする。「中野こども病院の取り組みが全国に知られることで、小児科医療の質の向上に貢献できれば―」。挑戦する日々が続く。

社会医療法人 真美会 中野こども病院
大阪市旭区新森4―13―17 ☎06―6952―4771
https://nakano-kodomo.or.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる