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「多職種協働」を掲げ地域の医療を担う

「多職種協働」を掲げ地域の医療を担う

社会福祉法人恩賜財団 済生会みすみ病院 山口 隆一郎 事務長(やまぐち・りゅういちろう)
1991年明治生命保険相互会社(現:明治安田生命保険相互会社)入職。
済生会熊本病院企画課、同総務室長などを経て、2017年から現職。

 豊かな自然に囲まれ、地域医療に貢献する済生会みすみ病院。広範囲に及ぶエリアの医療ニーズに応えながら、地域の課題と向き合い病院運営に取り組むポリシーと現状はどのようなものか。事務長の山口隆一郎氏に話を聞いた。

―医療圏における役割は。

 宇土半島の最西部に位置し、宇城医療圏と天草医療圏の一部をカバーする役割を担っています。

 当院の半径20㌔圏内に総合病院はありません。宇土半島は天草の玄関口と言われており、地域の要望なども考慮し、ケアミックスの医療を提供しています。

 この地域の高齢化率は全国平均を超えており、当院の患者さんの平均年齢も80歳を超えています。整形外科や循環器内科、消化器内科を受診する患者さんが多いのが特徴です

 専門的な治療が必要な患者さんは、多くのケースで済生会熊本病院や熊本大学病院など、熊本市内の医療機関への移送が必要です。

 当院の敷地内には国立病院だった時代に作られたテニスコートがあります。ヘリポートとして利用できますので、ドクターヘリでの搬送に活用しています。

―病院の理念について。

 「・福祉を通じて安心して生活できる地域創りに貢献します」というのが当院の理念です。

 国立療養所三角病院が統廃合されることになり、2003年、済生会が受け継ぎ「済生会みすみ病院」として再出発しました。

 その背景には地元の方々から医療機関の存続を願う強い要望があったこと。そして、済生会が掲げる「社会的弱者を支援する」という理念がありました

 私たち済生会みすみ病院では、福祉活動にも力を入れています。地域の中でさまざまな取り組みを展開することは、すべてにおいて病院運営に役立つのではないかと思います。

 福祉活動の一環として「出前・健康講座」を実施しています。この講座ではスタッフが公民館やその他の場所に出向き、病気予防や健康増進に関する話をしたり、エクササイズを指導したりします。

 年間で約70回、週に1回程度のペースで開催しています。地元の方々の健康に対する関心はとても高く、「また開催して欲しい」といった好意的な声も寄せられています。脳卒中やリハビリテーション、栄養面に関する講座が、特に反響が大きいと感じています。

 済生会が推進している生活困窮者支援事業「なでしこプラン」も、当院の大事な取り組みの一つです。福祉サービス利用者に対するインフルエンザの予防接種や、過疎地域の要介護状態の方の無料送迎、障害者の就業支援、また、刑余者出所時の無料健康診断事業にも携わっています。

―「多職種協働」の実践は。

 大きく院内向け、院外向けの二つの意味があると考えています。当院が立地する地域では、医師や薬剤師を募集しても、なかなか集まりにくいという現状があります。

 そこで、現在当院に勤務しているさまざまな職種が協力し、タスク・シフティングを実施。可能な範囲でそれぞれの業務の移管を進めています。

 もう一つの側面としてすべての職種が横断的に関わりをもつことを目指し、多様なプロジェクトを企画して実行に移しています。年に1度開催する健康フェスタや、地域における清掃ボランティア活動、地域行事への参加などがあり、職員たちは意欲的に参加しています。

 当院の庄野弘幸院長は「職員を大切にする」ことを重視しています。地域を元気にするには職員が元気でなければなりません。

 院外活動が職員間の円滑なコミュニケーションや前向きな働き方につながる部分もあるでしょう。今後も継続し、さらなる効果に期待したいと思っています。

社会福祉法人 恩賜財団 済生会みすみ病院
熊本県宇城市三角町波多775─1
☎0964─53─1611(代表)
https://www.sk-misumi.jp/

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