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「地域住民と共に生きるための伴走者」

「地域住民と共に生きるための伴走者」

公益社団法人 信和会
院長(なかがわ・ゆみこ)

1990年滋賀医科大学医学部卒業。
北海道勤労者医療協会勤医協中央病院内科、京都民医連洛北診療所所長、
京都民医連第二中央病院(現:あすかい病院)副院長などを経て、2019年から現職。

 2018年12月、3年余りにわたる改装工事を終えて、南棟が生まれ変わった。翌2019年4月には、「京都民医連あすかい病院」と病院名を改称。同じく4月、副院長であった中川裕美子氏が院長となり、経営のバトンが引き継がれた。

地域住民を支え病院は住民に支えられ

 初代院長の安井信雄氏が安井医院を開設したのは1937年。「金はある時に払えばええ」と優しく語りかけ、経済的に困窮した患者を支え、地域住民の厚い信頼を得ていたという。

 その理念を受け継ぎ、現在地に移転した後は、京都民医連第二中央病院として運営。地域のニーズに応えようと2011年に介護老人保健施設を開設するなど、急性期病院から亜急性期、回復期へと機能を見直した。老朽化が進んでいた建物の改装という課題もあったが、ようやく新たなスタートを切った。

 病院の副院長として10年近く実務に携わってきただけに、中川院長の新病院への思いはひとしおだ。

 「医師確保が難しく、経営的に厳しい時代もありました。医療と介護を支えるという方針転換は地域に貢献できるものだと思います。改装については、新たな土地を見つけて移転する方が費用も安かったのですが、住民のことを考えて私たちはこの地で頑張ろうと決断しました」

 民医連には友の会制度といういわば患者会のような制度があり、病院運営に関する意見を会員から募る。現在、あすかい病院の会員は1万人に近づく勢いだ。

 「建物がきれいになってから、多くの患者さんが笑顔で『良かったね』と声をかけてくれます。接遇面で褒められることも増えました」とうれしそうに語る。

女性が働きやすい職場はすべての人にも優しい

 男女雇用機会均等法が制定されたのは1985年。しかし、結婚、出産を経て医療界で働き続けることは決して楽ではなかった。

 リウマチ膠原病(こうげんびょう)の治療や研究に熱心に取り組んでいたものの、出産直後に「夜中に呼び出されたら病院に来るように」という指示はこたえた。「病院を退職した職員の方が、育児を支えてくれたことは大きかった」と振り返る。

 39歳の時に診療所長に着任。住民との交流が深まることで、地域医療の魅力を知った。一方で、仕事と育児の両立の悩みはつきない。しかし「女性が生き生きと働ける医療現場は、男性にとっても働きやすいのではないか」と気付き、環境を改善しようと疑問を投げかけ、提案も続けた。

 管理職の立場になると、女性医師でも参加しやすいようにカンファレンスの時間を早めたり、育休産休などを取得しやすい勤務制度の推進に努めた。

 こうして30年をかけて少しずつ職場を変えてきたことが、実を結び始めた。口コミで働きやすい職場であることを知った女性医師たちが、入職を希望するようになったのだ。しかし、医療界が変わるためには「女性の管理職が増えることが大事」と言う。

〝あすかいさん〟と親しんで呼ばれる病院に

 院長就任から4カ月余り。女性登用に積極的な京都民医連だが、実は女性院長は、中川院長が第一号だ。当初はかなりの緊張があっものの、ようやくリズムをつかんだ。

 夢は「医療と介護に取り組む『地域住民と共に生きるための伴走者』」。院長として地域の医療機関との連携を密にしようと、地域にできるだけ出ていくことを大切にしている。「〝あすかいさん〟と患者さんに親しんでもらえるようになりたい」という。

 息抜きの一つは食堂でのランチタイムのおしゃべり。女性医師の悩みに耳を傾けながら、いずれ次の世代を支えてくれる立場に育っていくことを願う。

公益社団法人 信和会 京都民医連あすかい病院
京都市左京区田中飛鳥井町89 ☎075―701―6111(代表)
http://www.shinwakai-min.com/kyoto2hp/

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