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「医療はインフラ」 より良い地域医療の実現へ

「医療はインフラ」 より良い地域医療の実現へ

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院
三角 隆彦 院長(みすみ・たかひこ)

1981年慶應義塾大学医学部卒業。平塚市民病院、済生会宇都宮病院、
済生会横浜市東部病院副院長・心臓血管外科部長などを経て、2011年から現職。
慶應義塾大学医学部客員教授兼任。

 、重症外傷、最先端のがん治療、災害時の医療に貢献する済生会横浜市東部病院。その根底にあるのは、現状に満足しない姿勢だ。「医療とはインフラである」と語る三角隆彦院長に、横浜市東部地域におけるこれからの医療体制について聞いた。

─院長就任から10年目になります。

 開院と同時に副院長に就任し、この病院と共に13年間、歩んできました。院長に就任した2011年は、病院の体制が整い始めた頃。以降、病院の柱である高度医療、救急医療、そして「常に一歩先の医療」の実現に取り組んできました。

 がん治療では、手術支援ロボット「ダビンチ」、腫瘍にピンポイントで照射できる放射線治療装置「サイバーナイフ」を導入。心臓弁膜症治療では、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を導入し、確実に実績を積み重ねています。

 救急・災害医療では、県内外で発生した災害に対応するための訓練や研修を経た「神奈川DMAT指定病院」の指定を2011年に受けました。

 2014年からは、24時間365日重症外傷救急搬送を受け入れる「横浜市重症外傷センター」としての役割も担っています。

─現在の取り組みについて教えてください。

 高度な医療機器の導入に当たっては、現場の医師からの「このような医療を提供したい」という声が元になっています。

 導入した医療技術をしっかりと生かしていくには、資金だけでなく、医療者の教育も欠かせません。技術習得のための医師の海外留学をサポート。TAVIの導入の際には、循環器内科医を1年間オランダへ、計2人派遣しました。重症外傷に対する高度な救急医療を学ぶために、救急科専門医が米国に留学。その時の経験が、「重症外傷センター」の設立につながっています。

 より高度な医療、先進的な医療を、横浜市東部地域で提供できる病院へと発展できたのは、ある程度の規模があり、教育に投資できる余裕があったからです。病院経営を取り巻く状況は年々厳しくなってきています。今後も同じように取り組めるよう、考えていく必要があります。

─地域における役割は。

 当院は急性期病院であるため、患者さんはいずれ回復期や慢性期の病院へ転院、あるいは、在宅に戻ります。ところが、横浜市は全体的に病床が不足しており、転院できない患者さんも少なくありません。

 地域包括ケア病床も、まだ十分ではなく、地域全体の医療・介護体制の調整が、急務だと考えています。回復期リハビリ病床、慢性期病床は、周辺地域に少しずつ整備されてきていますが、横浜市東部地域ではまだ不足しているのが現状。東部地域全体で考えていくべき課題でしょう。

 私は「医療はインフラ」だと考えています。例えば、鶴見区を中心とした双方向の情報ネットワークシステム「サルビアねっと」では、地域の病院、クリニック、薬局、介護施設をつなげています。ここでは、参加の同意を得られた住民の方の電子カルテや受診履歴、過去の薬の処方歴、アレルギーなどの情報共有を行っています

 地域の病院や介護施設などがしっかりと連携し、患者さんの経過に応じた医療や福祉が提供されて、初めて安心して生活できると思います。

 「健全な病院経営」が叫ばれていますが、決められたルールの中では、なかなか難しい。その中で当院がこの地域で担うべき役割は何なのか、私ができることは何なのか。横浜市では医療機関がお互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、質の高い医療を提供してきました。これからは地域とさらに協力し、より良い仕組みづくりに努めていきたいと思います。

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部 神奈川県済生会横浜市東部病院
横浜市鶴見区下末吉3─6─1
☎045─576─3000(代表)
https://www.tobu.saiseikai.or.jp/

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