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「医療と療育」の両立で社会との架け橋を

「医療と療育」の両立で社会との架け橋を

宮城県立こども病院 今泉 益栄 理事長・院長 (いまいずみ・ますえ)
1979年東北大学医学部卒業。同大学院小児医学講座小児腫瘍学分野助教授、宮城県立こども病院血液腫瘍科部長、成育支援局長などを経て、2018年から現職。

高度な専門医療からリハビリテーション、在宅まで一貫して支えられる体制がある。「医療と療育。その二つを両立させることが大切です」と強調するのは今泉益栄理事長・院長。子どもたちへの支援はどうあるべきか。未来につながるキーワードを探った。

―特徴を教えてください。

 先天性の心疾患に対する手術をはじめ、脳血管疾患、肺や腸の疾患、泌尿器領域の疾患など、さまざまな先天奇形に対応できるのが当院の強みの一つ。内科系、外科系、そして麻酔科やリハビリテーション科、発達診療科などを含む総合系を合わせて27の診療科が連携して、子どもたちの診断と治療に当たっています。

 子どもの疾患は実に多様ですから、多面的にとらえる必要があります。1人の患者に複数の診療科が関わることが多く、また、心と体はどんどん成長します。新生児病棟から一般病棟に移り、いずれ学校に通い始める。そうした時間の経過とともに、必要な医療や環境も変化していくのです。

 病気を克服することだけが最終的な目標ではありません。目指すのは、自立して社会の一員となり、これから先の長い人生を過ごしてもらうことです。

 医療の技術が今ほど高度でなかった時代は、命を救うことが最優先でした。しかし、友だちとの遊びや学校での勉強などを通して社会性を身に付けたり、家族との関係を築いたりする機会は、病院で長く過ごしている間に失われてしまう。退院後に取り戻そうとしても、簡単ではありません。

―大切なのは。

 「医療と療育」を重視した環境が必要です。当院では、入院治療中の子どもたちができるだけ家庭に近い環境で療養生活を送れるよう「成育支援局」を設置。チャイルド・ライフ・スペシャリスト、子ども療養支援士、保育士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、在宅看護師など10を超える職種が所属し、子どもとご家族を支えています。

 温かい雰囲気をつくる上で、ボランティアの方々の存在はとても大きいですね。案内業務などのほか、プレイルームで子どもの遊び相手になったり、おもちゃを修理したり、独自に広報誌を発行したり。実にアットホームな活動で、地域で暮らしているような空気を持ち込んでくれます。

 2003年の開院から間もない頃、ボランティアの登録人数は120人ほどでした。一時期は登録が伸び悩んだのですが、東日本大震災で「絆」が見直されたこともあって、現在はおよそ260人。登録数は伸び続けています。

―成人診療科への移行についてどう感じていますか。

 小児医療の一つの傾向として、医師と子ども、その親との結びつきが非常に強くなることがあります。関係性が深すぎて、成人期の疾患も小児科の医師が診察し続ける。そのために医療機関が新たに子どもを受け入れることが難しくなることもあります。年齢や状態に応じてしかるべき医療へと移行する必要があります。

 親がいつまでも子どもに付きっきりでいることはできないのです。いざというときには、自分の病気のことを自分の口で伝えなければなりません。

 ただ、病気のことを説明しても、すぐに理解するのは難しいでしょう。例えば血友病のように、世代によって治療で経験してきたことや、イメージが大きく異なる疾患もあります。患者の年齢に合わせて、言葉を選んで伝えることが重要だと考えています。

―今後は。

 より良い療養環境の構築に向けて、2020年度に新生児病棟の改装なども予定しています。
 派手な言葉ではありませんが、やはり継続こそ力だと思います。病院が持続することでいろんな人が集まり、次の前向きな一歩につながる。私が最も大事にしていきたいことです。

宮城県立こども病院
仙台市青葉区落合4─3─17
☎022─391─5111(代表)
http://www.miyagi-children.or.jp/

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