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「公園化構想」を推進 精神科病院をもっと身近に

「公園化構想」を推進 精神科病院をもっと身近に

独立行政法人国立病院機構 菊池病院
院長(わたなべ・けんじろう)

1980年熊本大学医学部卒業。同附属病院、
宮崎県立宮崎病院、国立病院機構熊本医療センター精神科部長・同統括診療部長などを経て、
2019年から現職。

 院長に就任した2019年、病院を公園化するテーマパーク構想を打ち出した。根底にあるのは、精神疾患に対する偏見などさまざまな障壁を取り除く意味での「バリアフリー」だ。この理念が周囲に共感の輪を広げており、着々と完成への道筋を歩んでいる。

─公園化構想の理念は。

 一言で言えば「バリアフリー」、精神科への見方に対するバリアー(障壁)を取り除きたい。精神科の患者さんは決して特別な存在ではありません。今は、誰もが認知症やうつ病といった、精神的な問題に関わる可能性があります。しかし、精神科病院には、どこか「行きたくない」と思われてしまうバリアーがある。それを取り除きたいという思いが出発点です。

 このバリアーは治療においても、非常に大きな問題となっており、来院が遅れることで重症化してしまうケースも少なくありません。精神科も早期発見・早期治療が基本。軽度の症状なら寛解も早いのですが、進行してしまうと、社会的な問題が発生してしまう可能性もあります。

 そこで病院をテーマパークのような公園にし、「菊池病院は誰でも遊びに行ける公園だから、ちょっと行ってみよう」と、気軽に来てもらえる場にしようと考えたのです。例えば、その公園で病院職員と関わることで悩みを打ち明け、次に外来に来てもらうようにする。診察して、必要なら入院し、きちんと治療して家に帰る。そのような段階を踏まえながら、治療が進められたら理想的ではないでしょうか。

─実現に必要なことは。

 「遊びに行きたくなる」くらいの場所に変わる必要があります。私が赴任した当初は、雑木林に囲まれてうっそうとしていましたが、今は外から見ても開放的になっているのではないかと思います。明るく気持ちの良い雰囲気を大切に、この病院に来るだけで、ストレスが和らぐような病院を目指しています。

 現在の進行状況は、全体の構想の中で考えると半分ほどです。20年ほど放置されていた花公園は今、職員が花を新しく植え付け、整備を進めています。ほかにも、バーベキューなどができるキャンプ場やグラウンドゴルフ場の開設、外周1キロの遊歩道の整備などを進めています。

 ただ、公園化に関しては、国立病院機構からの予算がつきません。そうした中で職員が協力を惜しまず、構想に共感いただいた地元の建設会社がボランティアで重機やトラックを出し、雑木の伐採や運び出し、草の除去などを積極的にしてくださっています。こちらが申し訳なくなるくらい、ありがたいことが起こっています。

─ヘリポートも設けられました。

 公園化構想の一つとして、当初は体の疾患を併発している患者さんが急変した際にすぐに救急病院に搬送できることを目指し、整備する予定でした。ところが地元消防署から依頼があり、近隣住民の方が緊急搬送される際のランデブーポイントとしての役割も担うことになったのです。

 当院は公的病院として、重症心身障害児の療養をはじめ民間の精神科病院では対応が難しい患者さんを受け入れているため、救急病院と民間病院をつなぐ機能も負っています。ヘリポートは、このような役割を具現化する手段になると期待しています。

 ヘリポートのもう一つの設置理由に、災害対策もあります。災害発生時に被災地から精神科の患者さんを搬送するという活用が考えられ、数十人単位での患者さんの受け入れを想定しています。実際、熊本県内は2016年の地震に加えて、2020年7月には、豪雨災害も発生し、多くの被害がありました。今後、災害拠点精神科病院の指定に向けても、取り組んでいきたいと思っています。

独立行政法人国立病院機構 菊池病院
熊本県合志市福原208
☎096─248─2111(代表)
https://kikuchi.hosp.go.jp/

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