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「全人的に診る」 小児科医を育成

「全人的に診る」 小児科医を育成

京都府立医科大学  
家原 知子 教授(いえはら・ともこ)
1990 年京都府立医科大学医学部卒業。
社会保険神戸中央病院、京都第二赤十字病院、京都府立医科大学
小児科学教室准教授などを経て、2021 年から現職。

 小児がん、代謝・内分泌、アレルギー、腎臓病など幅広い専門領域を持ち、多くの関連病院と連携する京都府立医科大学小児科学教室。2021年9月に就任した家原知子教授は、どのような小児科医を育てていくのだろうか。


幅広い視野と専門性

 大学院生まで含めると50人以上。京都府のみならず滋賀県、福井県、兵庫県、大阪府に多くの小児科医を輩出してきただけに人材育成への期待は高い。「幅広い視野と専門性を兼ね備えた人材育成が特徴です。お子さんの場合は患部だけをみていても診察はできません。家庭環境など背景までも考慮できる、全人的な医療を行う必要があります」

 小児科医を目指す人材が多く集まるものの、専攻医の各都道府県別・診療科別の採用数上限、いわゆるシーリングで、京都府は年間に9人という制限を受けた。「これまで年間に10人程度の入局があったのですが、京都大学と分け合うので、半分以下になっています。100年以上の歴史がある同教室は、関連病院も多く、若手の医師はこれらの病院で多くの経験を積んでいます。人材の輩出ができないことは大きな問題です」。都道府県ごとの考え方に対して、今後疑問を呈していきたいと語る。


陽性妊婦受け入れ

 小児がん拠点病院であり、総合周産期母子医療センターを持つ京都府立医科大学附属病院には、コロナ禍であっても難治性小児がん、重症心臓病の患者、重症新生児などが集中。ほぼ満床の状態が続いた。「全人的医療と高度な専門家集団によるチーム医療を実践することは、コロナ禍であっても変わらずに続けました」

 さらには、第1種感染症指定医療機関であり、自身が感染対策部部長であったことから、第5波では対応に追われた。新型コロナの陽性妊婦の受け入れ、出産の際には、新型コロナ感染が拡大する直前に改修した感染症対応のNICU2床が活躍したという。

 「出産は待ってくれまん。産院や京都府のコントロールセンターから要請があれば、即座に受け入れました。出産後、母子は別室ですが、看護師がタブレットを使ってお子さんの様子を見せるなど、きめ細かに対応。お母さんが、『コロナに打ち勝つことができました』と、笑顔で退院されたのが印象的でした」


シームレスな 移行期医療を

 小児がんは、白血病をはじめ多くが治る病気になっている。そのため、放射線治療や抗がん剤治療による後遺症に苦しむことがないよう、臨床試験を重ね、適切な治療を導き出した。この結果は、米国国立がん研究所がん情報サイト(PDQ)でも引用されている。

 さらに、20年以上前から、患者の長期フォローアップの体制も整えてきた。今後も、移行期医療とのスムーズかつシームレスな連携を強化していきたいと語る。 「小児がんでは、どのように治るかが重要になってきています。みんなと一緒に学校に行く、成人して仕事に就く、そして結婚して子どもを授かるという『妊孕性(にんようせい)』にも着目しています」

 がんの治療によって失われる可能性がある精子や卵子を保存し、それらを使って子どもを授かる仕組みづくりを進めている。「小児科から成人の診療科への移行期医療も順次進めています。成人した患者さんには『昔の主治医に会いたくなったらいつでも訪ねてきて』と伝え、安心して移行できるよう努めています」

 小児科医へと導いてくれた恩師からいつも掛けられていた言葉は「仕事は楽しんでやりや」の一言。「若い人たちが楽しみながら仕事ができ、ステップアップできる環境づくりをしていくことが、私の使命です」

京都府立医科大学
京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465 ☎️075-251-5111(代表)
http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/ped/

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