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「全人的に診る」医師を育て地域医療を守る

「全人的に診る」医師を育て地域医療を守る

宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野
教授(あまの・まさひろ)
1986年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。
宮崎県立延岡病院皮膚科医長、米フロリダ州マイアミ大学皮膚科留学、
宮崎大学医学部皮膚科准教授などを経て、2015年から現職。

 皮膚の状態から内臓疾患が発見され、命をつなぐ患者が増えているという。全人的な医療が期待されている皮膚科医の役割を伝え、専門性の高い医師を育てたいと話す天野正宏教授に、宮崎県の皮膚科が直面している現状や地域医療のあり方について聞いた。

―教室について。

 「皮膚を通して全身を診る」。皮膚だけではなく、内科系疾患をはじめとして全身の病気を診ていく皮膚科医であることを大切にしています。

 例えば、皮膚筋炎という膠原病の場合、皮膚症状としてまぶたや顔の一部、胸元などが赤く腫れぼったくなるなどの症状が現れます。さらには筋力の低下や疲れやすくなる、関節炎や肺炎を併発するなどもあります。

 皮膚筋炎から、胃がんなどの悪性腫瘍が見つかることも少なくありません。皮膚を通して内科系疾患を早期発見できれば、患者さんの幸せにつながります。全身症状の一つとして皮膚に表れてくる症状を見逃すことがないよう、「全身を診る」という気持ちを、医局員全員で共有しています。

―研修医の流出が課題。若手医師確保は。

 研修医は、県内に50~70人程度。その中で皮膚科医を志望するのは、年に1~2人です。多くの若手に皮膚科医を目指してほしいと思う一方で、現実としては救急や内科、外科など、患者さんの命に直結する科を希望してほしいとも思います。

 皮膚科を回る学生には、担当医をつけてマンツーマンで指導します。外来、病棟、手術室を駆け回り、皮膚科をまるごと体験してもらう。研修医には、実際に多くの患者さんを担当してもらっています。

 皮膚科は、皮膚を通して患者さんの回復が目に見えて実感できます。ただ、最初の診断が間違うと、それに続く検査や治療も誤り、いつまでも治らないという深刻な問題に直面します。そのためにも、まずはしっかりと診断できる力を身に付けていくよう指導しています。

 今はまだまだ人手不足。特に15年目、40代以降の医師が足りないですね。宮崎は、専門医資格を取りしばらくして開業する医師が多いという現実があります。大学病院の勤務は大変なこともありますが、もう少し若い世代との間をつなぐ中堅の医師を増やして、後進の育成につなげたいですね。

―宮崎県における皮膚科の地域医療の現状は。

 大学自体が人手不足で、地域に常勤医を出せずにいるというのが現状です。その中で、県北の県立延岡病院には、2人の医師を週に2日の非常勤として派遣しています。少しでも患者さんが安心して診察を受けられるように、派遣する医師は固定しています。

 県南の県立日南病院へも、週に2日、非常勤で医師を派遣しています。宮崎市内から車で約1時間と比較的近いので、患者さんの紹介もスムーズです。

 1977年に医学部に皮膚科が開講し、初代・井上勝平教授のご尽力により、地域との病診連携が非常にうまくいっています。

─今後の目標、展望は。

 まずは人手不足の解消、そして中堅の医師を増やし、県内の主要な地域に常勤を派遣できる体制を整えることです。さらに大学病院として、しっかり診断ができ、患者さんが安心して治療を受けられる医師を多く育てていくことです。

 皮膚科は、患者さんを「全人的に診る」ことができる科です。新しい治療法や新薬の開発も進んでおり、これまで治癒が難しいと言われていた皮膚疾患も治せるようになってきています。

 若い世代が皮膚科に興味を持ってくれるよう、そして患者さんの皮膚をしっかり診て、話をじっくり聞いて、患者さんに寄り添える医師が育つよう、これからも取り組んでいきます。

宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野
宮崎市清武町木原5200
☎0985―85―1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/derma/

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