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「働き方」を模索しつつ意欲的に急性期を追求

「働き方」を模索しつつ意欲的に急性期を追求


院長(やじま・ひろし

1979年奈良県立医科大学医学部卒業。
米ハートフォード病院留学、市立奈良病院副院長兼四肢外傷センター長、
奈良県立医科大学臨床教授などを経て、2015年から現職。

 奈良市が開設し、公益社団法人地域医療振興協会が運営する公設民営病院。公的役割と民間マインドを兼ね備える病院として存在感を示している。2015年から病院運営を担う矢島弘嗣院長が描く病院像とは。

―地域での役割や、救急医療の現状について。

 奈良県には五つの医療圏があり、奈良市は単一で奈良医療圏。ここは割とすみ分けができている地域です。3次救急は県の拠点である奈良県総合医療センター(県総)が対応。2次救急は、市の南北を走る24号線より西は県総、東は当院で担当することが多いですね。地域の私立病院は、急性期から回復期まで法人内で完結できる存在として役割を果たしています。

 当院の特長は、総合診療科。コモンディジーズの診断・治療だけでなく、ERの機能も持ち、救急搬送の初期対応に当たります。専門医は10人ほどですが、専攻医や研修医のアシストも整えて、受け入れを強化しています。

―黒字経営を続けているそうです。強みや、今後力を入れたい分野は。

 公的病院として採算が取りにくい部門を担う分、利益を出す科でカバーすることが不可欠です。

 まずは、整形外科と外科、消化器内科はしっかり人員を確保して集中的にやる。整形には人工関節センターや四肢外傷センターがありますが、最も患者さんが多い脊椎の需要を満たすために、脊椎センターもつくりたいと考えています。外科はロボットの導入を検討中。準備して2020年度中には入れたいですね。

 再建形成外科とも標榜する形成外科も強みです。研修の基幹施設として人材育成にも取り組んでいます。常勤医は2020年春で4人になる予定です。乳房や頭頸部に腕を振るえるので、乳腺外科や耳鼻いんこう科は助かっていますね。

 放射線科には高度な機械があるものの常勤は1人。もう1人いれば強度変調放射線治療(IMRT)や頭頸部がんにも対応できるので、ぜひ補完したい。

 あと足りないのは血液内科ですね。緩和ケア病床は8床。チームで、がん医療をサポートしています。

 最終的に全部はできませんので、得意な分野をいくつか持って助け合えばいい。奈良市民は大阪の病院に行くことが多かったのですが、県総と当院でカバーすれば県外へ出る人は減ります。

 2019年12月、ようやく地域医療支援病院に指定されたところです。今後は開業医への受診が進み、外来の数は減るでしょう。その分、高度医療に力を発揮したいですね。

―働き方改革への考えは。

 地域医療構想と働き方改革、専門研修におけるシーリング。厚労省がこの三つを同時にやろうとする意味が、ようやく分かってきました。働き方改革を本格的に進めるには医師の数が必要で、それには急性期を集約するしかない。医師が100人以上いる病院は責任を持って救急を全部取る、そうでない病院は回復期を担う、というすみ分けが進むのではないでしょうか。

 救急医療にとって働き方改革は足かせになりかねませんが、幸い当院は総合診療科がERを担っていますし、350床に対して常勤は約120人、研修医も16人いる。今後も急性期に対するニーズをすくい取る方向性は変わりません。

 医師の働き方改革については、ワーキンググループが発足したばかり。副院長を筆頭に研修医、専攻医、医長、部長、私も入って、半年から1年かけて練る予定です。

 どうすれば今の給料を維持できるのか、サービスの質を下げずに効率化できるのか。それぞれが、わがこととして考えないと意味がありません。本格的に取り組めるよう、医師が多いメリットを生かしつつ、患者さんへの理解も促しながら進めていきます。

市立奈良病院
奈良市東紀寺町1―50―1
☎0742―24―1251(代表)
http://www.nara-jadecom.jp/

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