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「プラスワン」のチームで 子どもたちに笑顔を

「プラスワン」のチームで 子どもたちに笑顔を


廣部 誠一 院長(ひろべ・せいいち)

1983年慶應義塾大学医学部卒業。
東京歯科大学市川総合病院、国立栃木病院(現: 国立病院機構栃木医療センター)、
米マサチューセッツ総合病院、都立清瀬小児病院などを経て、2018年から現職。

 清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院、府中病院小児科が移転統合し、2010年に開設した「東京都の小児医療の拠点」。2019年8月、闘病中の子どもとその家族の療養環境を向上させようと「」を導入した。廣部誠一院長は「患者参加のチーム医療に貢献してくれている」と言う。

─まずセンターの特徴を教えてください。

廣部誠一院長(以下、院長) 当院を訪れた子どもたちの目に最初に飛び込むのはどんぐりのオブジェ。この土地を象徴する武蔵野の森に棲む動植物のイメージをセンター全体に取り入れました。「森のホスピタル」として不安を軽減し、快適に過ごせる環境づくりに努めています。

 理念は五つ。強みは「こころとからだを総合した医療」です。

 子どもたちは成長する中で心の病気が身体症状を、身体疾患が原因で精神症状を呈することがあります。心の領域を専門とするリエゾンチームが早期介入し、心身の架け橋となる医療を提供しています。

 診療面の柱の1本は救急医療です。一般的によく見られる症状を訴えていても、その裏側に重症例が隠れている。そんな子どもは少なくありませんから、ERですべての患者さんを受け入れ、トリアージによって緊急度を判断しています。重症例の広域搬送においては、香港から患者さんが搬送される例もあります。

 また、周産期医療の領域において、隣接している多摩総合医療センターの産科部門と連携。超低出生体重児などを中心に受け入れています。

 大事なのは命を救うことだけでなく、「QOLの質をいかに高く維持できるように治療するか」だと思います。その実現のためにチーム医療のさらなる確立を目指しています。

─「ファシリティドッグ」導入の経緯や効果は。

ファシリティドッグ・ハンドラーの大橋真友子氏(右)とファシリティドッグ「アイビー」

院長 「常勤」でファシリティドッグ「アイビー」が働いています。東京都では初めての導入で、全国的にも3例目です。

ファシリティドッグ・ハンドラー・大橋真友子氏(以下、大橋) アイビーは現在、二つの病棟を担当しているほか、周術期の口腔機能管理のQC活動を進める「森の歯医者さん+ワン」チームで活動しています。

 アイビーの歯を磨く様子を見せて、子どもたちも積極的に歯磨きに取り組めるよう後押ししています。磨き残しをチェックしてみると、アイビーの活動が始まって以降、子どもたちがだんだん効果的に歯磨きをできるようになっていることが分かりました。

院長 私は「いつも笑顔で仕事をしましょう」と呼びかけています。私たちが心掛けることで、子どもたちの笑顔を引き出せると考えているからです。でも、勤務中に常に笑顔でいることは簡単ではありません。そこで動物介在療法を取り入れることにしたのです。

大橋 アイビーが感染症を媒介しないように、子どもたちがアイビーと触れ合う前後での衛生管理を徹底しています。これは日々の手洗いの習慣化などにつながっているようです。

院長 アイビーがいてくれるだけで、誰もが無条件で笑顔になります。子どもたちには治療に対する前向きな気持ちが生まれ、アイビーの話をきっかけにして、子ども、ご家族、職員、みんなのコミュニケーションが活発化していくのを実感しています。

 アイビーの存在がどんな影響を与えているのか。データとして蓄積し、いずれ医療としてのエビデンスを示すことができたらと考えています。

東京都立小児総合医療センター
東京都府中市武蔵台2─8─29
☎042─300─5111(代表)
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/shouni/

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