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「こども病院」ならではのケアで母と子に安らぎを

「こども病院」ならではのケアで母と子に安らぎを


院長(なかお・ひでと)

1978年神戸大学医学部卒業。同附属病院、
兵庫県立淡路病院(現:兵庫県立淡路医療センター)、姫路赤十字病院などを経て、
1994年県立こども病院入職、2017年から現職。

 国内2番目の小児専門病院として開設され50年。小児がん医療、小児心臓、小児救命救急の各センターと総合周産期母子医療センターの機能を併せ持つ。ここで四半世紀を歩んできた中尾秀人院長が抱く思いとは。

―こども病院が母体の総合周産期母子医療センターです。役割は。

 リスクに対応した周産期管理や治療を行うだけでなく、状況に応じて最善の選択ができる環境を整えています。主たる使命は五つ。一つ目は、超早産児の医療。妊娠28週未満や体重1000㌘未満の超低出生体重児に、長期的展望に立ったケアを行います。赤ちゃんが大人になる過程において円滑に成人期医療に引き継げるよう、移行期医療の見通しを立てます。

 在宅酸素療法や在宅人工呼吸管理などの医療的ケアが必要となる赤ちゃんもいます。地域や家庭で過ごすには多くのサポートが必要ですから、各時期に適切に受けられるようコーディネートしなくてはならない。その出発点としての役割も大きいですね。

 二つ目は、ハイリスク多胎児の医療。胎児期早期から一貫して周産期管理を行います。リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)の発達で三つ子や四つ子は減っているものの、50人に1人は多胎児。特有の問題が顕著なため、関連部門と協力して解決しています。

 三つ目は、出生前診断例を含む先天疾患がある子の包括的・集学的医療。外科的治療も含めて、最善の時期の選択を考慮します。

 四つ目は、いわゆる予後不良児のターミナルケア。染色体異常や致死的疾患がある子に対する緩和医療も含みます。ここで大切なのは、何が最善か、多様な選択があることへの理解を深めること。医療的ケアの子を家庭でみるのも強制ではいけない。親御さんが追い詰められないよう、さまざまな方法を示したいと考えています。

 五つ目は、地域との連携。子どもが生活する地域の施設に橋渡しを行います。退院時には、ご両親の了解のもと保健所にサマリーを配布。近くのかかりつけ医を紹介します。

 同じ悩みを持つ家族同士のピアカウンセリングを案内する場合も。押し付けにならないよう、時間の経過やタイミングを計るなど経験も必要です。

―胎児に疾患が見つかった場合や、出生後の家族に対するケアは。

 チーム医療の出番です。医師だけでなく臨床心理士や遺伝カウンセラーなどの意見も交え、生活につながる情報を提供します。ただ、今の医療はガイドラインやマニュアルで一定の質を保証しますが、個人の考えや価値観を尊重することとの両立は難しい。ご家族にとって大事なのは、その子が助かるかどうか。思いを理解しつつ、背景も考えて相談に当たります。

 たとえ、子どもが亡くなった場合であっても、ご家族には、その時にとった方法が最善の選択だったと思ってもらいたい。1分1秒を延命する医療とは違う価値観です。ご家族が状況を受け入れられる環境づくりに留意し、グリーフケアにつなげていきたいと考えています。

 課題は、マンパワー不足。これに尽きます。産科医、小児科医の不足は深刻です。現状では、より集約化を進めるしかない。人口集積地と過疎地で、医療供給体制を同じように整えるのは困難で、分娩の場所や搬送方法の再編を考えるのが現実的です。

 疲弊し、他の部門に移る医師もいます。しかし、喜びの多い領域であることも事実です。しっかりと評価し、報酬という形で頑張りに応えることで、立て直せると信じたい。さらには子どもの未来を守るため、AIやIT技術の活用を進めるなど、手を打っていくしかありません。

兵庫県立こども病院
神戸市中央区港島南町1―6―7
☎078―945―7300(代表)
http://www.hyogo-kodomo-hosp.com/

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