九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

次代の医師を育成し地域医療の充実を目指す

熊本大学大学院生命科学研究部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座折田 頼尚 教授(おりた・よりひさ)1996年岡山大学医学部卒業。米ピッツバーグ大学客員研究員、癌研究会附属有明病院(現:がん研究会有明病院)、岡山大学医学部附属病院(現:岡山大学病院)などを経て、2017年から現職。  近年、入局者が増えつつあるという熊本大学大学院生命科学研究部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座。地域への医師派遣も順調だ。科研費を獲得し、頭頸部がんの研究にも力を入れていきたいと語る折田頼尚教授に、現状と展望を聞いた。 ─医局について。  鎖骨より上、頭蓋底以下を守備範囲とし、耳や鼻、喉の領域、アレルギーやがんといった幅広い疾患を診療しています。 聴覚、嗅覚、味覚などの身体感覚は、患者さん本人にしか分かりません。耳鳴り一つ、その感覚を患者さんが適切な言葉で医師に伝えるのは難しく、症状をつかむのも大変です。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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「医工連携」で高精度かつ安全なロボット手術を探求

九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野江藤 正俊 教授(えとう・まさとし)1986年九州大学医学部卒業。米ピッツバーグ大学外科研究員、熊本大学大学院医学薬学研究部泌尿器病態学分野教授などを経て、2015年から現職。同大学先端医療イノベーションセンター長、同大学病院先端医工学診療部長兼任。  保険の適用対象が拡大され、手術支援ロボットを利用した手術の症例数が増加している。九州大学は、手術支援ロボット「ダビンチ」を国内でも先駆けて導入し、積極的に活用してきた。同大学泌尿器科学分野の江藤正俊教授に、ロボット手術の現状と展望を聞いた。 ─ロボット手術の現状は。  2019年年9月に最新の手術支援ロボット・ダビンチXiを導入し、2台体制になりました。2018年4月の診療報酬改定で、ロボット手術の保険適用が外科や婦人科領域に拡大しました。 これによってダビンチ1台では厳しい状況になっていたのですが、2台体制になって手術の運用が非常によくなりました。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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客観的な指標を得て患者に向かい合う

熊本大学大学院神経精神医学講座竹林 実 教授(たけばやし・みのる)1992年広島大学医学部卒業。同附属病院精神神経科助手、米国立衛生研究所・薬物依存研究部門客員研究員、国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科科長などを経て、2018年から現職。  気分障害、認知症、児童・思春期を三本柱に、エキスパートがそろう熊本大学大学院神経精神医学講座。竹林実教授は、「客観性」「精神医学と脳科学の融合」を掲げ、人材育成に力を注いできた。新たなメンバーが加わるこの時期に「人材育成」をテーマに話を聞いた。 ―講座における教育の特徴を聞かせてください。  県外での研修を積極的に勧めている点が、特徴の一つと言えると思います。  当講座は、県内の研修関連病院以外に、佐賀県にある国立病院機構肥前精神医療センター、千葉県にある国立国際医療研究センター国府台病院とも連携プログラムを組んでいます。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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地域医療への貢献と将来的な医療の発展を両立

熊本大学大学院生命科学研究部 眼科学講座井上 俊洋 教授(いのうえ・としひろ)1997年熊本大学医学部卒業、2006年同大学大学院博士課程修了。高千穂町国民健康保険病院、米デューク大学リサーチフェロー、熊本大学助教、同講師などを経て、2019年から現職。  熊本大学眼科学講座の第11代教授となって1年が経過した井上俊洋氏。眼科医療を通じて県民のQOL向上を目指し、地域医療に貢献するとともに、優秀な眼科医の育成、最先端の研究成果による医学の発展に向けた取り組みを行っている。 ―この1年を振り返ると。  教授に就任してから1年間を通じた行事が一回りしました。まず1、2月に医学部の入学試験があり、初めて面接を担当。限られた時間の中で医師としての適性を判断するのは難しい面があります。しかし、将来の日本の医療を支えていく人材を選抜するという意味ではとても責任のある、重要な仕事です。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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1年間、耕してきた畑に新しい種をまいていきたい

熊本大学大学院生命科学研究部 整形外科学講座宮本 健史 教授(みやもと・たけし)1994年熊本大学医学部卒業。同附属病院整形外科、慶應義塾大学医学部整形外科特任准教授、東京大学医学部整形外科客員研究員などを経て、2019年から現職。慶應義塾大学医学部整形外科学先進運動器疾患治療学Ⅱ特任教授兼任。  熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座に着任し、2020年4月でちょうど1年を迎える宮本健史教授。東京から17年ぶりに戻ってきたこの1年を振り返るとともに、新たな取り組みについて話を聞いた。 ―教授としての1年間は。  出身は熊本大学なのですが、2002年から東京で活動していました。2019年に戻ってきて、教授として大学の医局はもちろん県内の関連病院、開業医のもとへあいさつに回りました。初めてお目にかかる方も多くいたのですが、地域が抱えている問題や、現在、お考えになっていることなど、さまざまな意見、要望を聞くことができました。 熊本県内では、多くの熊本大学整形外科の同門の先生方が活躍されています。同門の医師が熊本大学の教授に就いたということを、とても喜んでくださっていると、実感しました。 地域の関連病院の人事担当の方にお聞きすると、医師本人のことよりも、お子さんの教育環境や親ごさんの介護といったご家族の都合で、「この地を離れたい」、あるいは「ここに定着したい」というご希望が意外に多く、驚いています。 医師の人事というものはとても難しく、要望を伝えられずに、黙々と頑張っていらっしゃる先生にも目を向けていかなければなりません。医師の公平で適正な配置については、地域の皆さんと一緒に考えるべき問題だと思います。私はその調整役としての責務を果たしていきたいと思います。 ―医局の運営について。  17年間といっても、たかが17年。人もそうですが、整形外科という医療領域の中では、そう大きく変わるものではありません。さらに、医療レベルも、地域格差はないと感じています。 ただし、医療技術は、日々進化しています。例えば手術ナビゲーションシステムの採用といったことも、今後の整形外科では考えなければならないでしょう。ただし、ミーハー的に新しい技術に飛びつくわけではありません。その技術が既存のものと比べ、本当に良いものかどうかを検証していく必要があります。その上で、患者さんをご紹介いただく地域の関連病院や開業医の先生方にフィードバックし、理解していただく必要があると感じています。 一方、大学病院には果たすべき使命があります。合併症の患者さんや骨軟部腫瘍といったほかの施設では扱うことができない悪性腫瘍など、重篤な患者さんを受け入れていかなければなりません。その使命を果たすためには、高い医療技術を持った、ほかの診療科とのネットワークが必要になります。ほかの診療科と連携して、難しい症例の手術に対応できる体制を整えることも、私が果たすべき役割の一つだと感じています。 ―就任前の1年間、教授が不在でした。  実は、前任の教授の退官や教授不在などがあり、しばらく当講座では大学院生を受け入れていませんでした。これからは、大学院生を積極的に受け入れ、研究などに取り組み、中心的な役割を担ってもらいたいと考えています。 本人たちの勉強になるのはもちろん、医局スタッフも指導をする役割が与えられることで、医局全体のレベルアップにつながります。数年後には学会や論文発表など、熊本大学から外部へ、発信力を高めていきたいと思います。 ―新しい取り組みも始められています。  2019年に取り組み始めたことがあります。現在の専門研修プログラムでは、医師は大学内だけでなく、地域の関連施設でも指導を受けるようになっています。 そこで、次年度から専攻医として、熊本県内の関連施設に加えて、関東など県外の医療機関と連携し、研修を受けることができるプログラムをつくりました。すでに希望者も募り、4月から関東の施設に行くことも決定しています。 東京の大学病院にいたころ、地方にいる優秀な人材を、なぜもっと活用しないのだろうかと感じたことがありました。 外の景色を見ているからこそ、見えてきたものがあります。どちらかが良いということではなく、熊本の良さとほかの地域の良さを融合させるようなことができないか。どちらも経験している私のような人間が、もっと自ら発信していかなければならないと、この1年、実感してきました。そこで、考えたのがこのプログラムです。 もっと熊本ができることを伝えたい思いもあります。関東の医療機関と熊本の人材との連携づくりに、ぜひ一役買っていきたいと思っています。 ―1年たって、いよいよ本格的に始動ですね。  就任からの1年間、しっかり時間をかけて畑を耕してきました。次年度からは、少しずつ種をまいていく時期だと思います。 地域の中での連携、関東との連携、大学としての研究の拡充、医局員や大学院生の育成など、種をどのようにまいていくか。熊本市内、天草、水俣、人吉、さらには福岡県の大牟田市まで回って、期待の大きさを感じています。また、多くの病院から、「麻酔科医が不足して手術ができない」といった現状も聞くことができました。17年というブランクを埋めつつ、そのみなさんの期待を裏切らないよう気を引き締めて、取り組んでいきたいと思います。 熊本大学大学院生命科学研究部 整形外科学講座熊本市中央区本荘1―1―1☎096―344―2111(代表)http://kumadai-seikei.com/

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健康長寿の社会づくり 脳アミロイド血管症を研究

熊本大学大学院 生命科学研究部脳神経内科学講座井上 泰輝 特任助教(いのうえ・やすてる)2004年熊本大学医学部卒業。済生会熊本病院脳卒中センター、国立循環器病研究センターなどを経て、2017年から現職。  ニュースなどで取り上げられるアルツハイマー病の発症要因となるタンパク質「アミロイドベータ」は、脳出血などを起こす脳アミロイド血管症という病気の発症要因でもある。その脳アミロイド血管症の研究で、2019年度日本医師会医学研究奨励賞など、数々の賞を受賞している井上泰輝特任助教に、病気の概要と現在の研究について話を聞いた。 ―脳アミロイド血管症とは。  タンパク質の一種であるアミロイドの中にはいくつか種類があり、その中のアミロイドベータは、最初は単量体ですが、次第に凝集し、線維のナイロンのようなものになります。「アミロイド線維」とも呼ばれ、難溶性で、全身のさまざまな臓器に沈着し、機能障害を引き起こします。  アミロイドが原因となる疾患を「アミロイドーシス」と言います。脳内で起こるアミロイドーシスの一つ脳アミロイド血管症は、脳の血管にアミロイドがたまり脳出血などを引き起こします。同じ脳のアミロイドーシスであるアルツハイマー病の実に90%が、脳アミロイド血管症を発症しています。  アミロイドベータは脳内で産生され、血管を通して脳の外へ排出されます。しかし、加齢によって排出されにくくなり、やがて脳の血管に沈着し、脳アミロイド血管症を引き起こします。脳血管にアミロイドが沈着するのが、脳アミロイド血管症、脳の神経細胞に沈着するのがアルツハイマー病です。 ―治療法は。  アルツハイマー病は病気の全容が解明されていませんが、脳アミロイド血管症も同様に研究段階で、予防や治療法は未確立です。私は脳アミロイド血管症に関心を抱き、10年近く診療と研究に携わっています。研究では、健常者と脳アミロイド血管症の患者さんの脳血管組織から網羅的にタンパク質のデータを取り、コツコツ一つずつタンパク質の違いを調べました。  その中で解糖系酵素が患者さんの脳血管に多く共存していることが次第に分かってきました。アミロイドは単量体で分泌されるのですが、次第に凝集し、溶けにくいアミロイド線維になっていきます。この過程で解糖系酵素を添加すると、アミロイド線維ができにくくなることを見つけました。解糖系酵素がアミロイド線維そのものを「分解」しているのか、線維になることを「阻害」しているのかについては、まだ分かっておらず、現在も研究を進めています。  もう一つ驚いたことに、脳アミロイド血管症に罹患(りかん)したマウスの脳に、解糖系酵素を7日間ゆっくり連続投与したところ、脳そのものにダメージを与えることなく、認知機能が改善しました。研究段階ですが、これには大きな可能性を感じました。 ―今後の目標は。  私は、医師である以上、病態の解明はもちろんですが、患者さんにとって有効な治療法を早く確立させたいと思っています。ただ、新薬の開発は治験などに膨大な時間がかかります。  そこで、既存薬または治験は終わっていても世に出ていない薬などから、脳アミロイド血管症に有効な薬を見つけ出していくドラッグ・スクリーニングと呼ばれる方法も取り入れていきたいと考えています。何千、何万もの種類の薬から、有効なものを探し出すことは非常に大変な作業ですが、実現したいと思います。  アルツハイマー病と脳アミロイド血管症は、表裏一体の病気です。逆に言えば、脳アミロイド血管症の研究がアルツハイマー病の解明につながるかもしれません。  脳神経の病気は患者さんご本人だけでなく、ご家族や介護者の精神的な負担になり、ひいては社会的な損失にもつながります。高齢化社会において健康長寿を目指した社会づくりの一翼を担うことは、研究の大きな目標の一つです。 熊本大学大学院 生命科学研究部脳神経内科学講座熊本市中央区本庄1―1―1☎096―344―2111(代表)http://kumadai-neurology.com/

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あらゆる疾患に対応できる呼吸器外科医を育てたい

熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器外科学分野鈴木 実 教授(すずき・まこと)1989年千葉大学医学部卒業。米テキサス大学留学、千葉県がんセンター呼吸器科、千葉大学医学部附属病院呼吸器外科などを経て、2010年から現職。  熊本大学大学院呼吸器外科学分野が実施する肺がんの手術件数は年々増え続けており、2018年は225症例。外科医不足、若手医師の育成が課題となっている。その現状について、鈴木実教授に話を聞いた。 ―肺がん手術の現状は。  国内では呼吸器外科の手術の約50%が肺がん手術です。私たち熊本大学大学院呼吸器外科学分野も、肺がん手術の割合が手術全体の6割を占めています。 比較的早期で見つかったものは低侵襲手術、局所進行性の肺がんは開胸手術で行い、その割合は8対2くらいです。肺がんと診断された人の約6割は、手術ができないステージ3期後半から4期。手術ができる人の多くは1期です。 早期の小さな肺がんはレントゲンで見つかりにくいため、発見が遅れることが多くあります。CT検査をすればよいのですが、日本人にはあまりなじみがありません。今後は、CT検査を住民検診などに取り入れていく必要があるのではないかと思っています。 地域連携においては、県内の呼吸器外科がある施設にはすべて、私たちの教室から医局員を派遣していますので、県内の肺がん手術はほぼフォローできていると思います。他の施設からも派遣の要請がきており、呼吸器外科医が足りない状況です。 ―外科医不足への対応は。  熊本大学医学部医学科の定員は、1学年115人。その中で熊本県出身者は毎年30人程度です。この人たちは熊本に残る傾向にありますが、ほかは他県に出てしまいます。その30人も内科や眼科、整形外科など各科に分かれますから、呼吸器外科に入局してくるのは、毎年1人か2人です。 一方で、当院の肺がん手術の年間症例数は、年々増え続けています。働き方改革の推進で時間的な制限もありますから、現在は、手術室を2部屋使い同時進行で手術を実施。医師はどちらかが早く終われば、もう一方の手術に入るような対応をしています。 長期的に見れば、熊本大学の呼吸器外科専門医は年々増えてきています。現在、研修生や大学院生として学んでいる人たちが育ってくれば、医師の数が充実し、関連病院への医師派遣なども、よりスムーズになるでしょう。 2020年は当大学病院に手術室が増設される予定です。全科ができるだけ効率よく手術ができるよう、手術室の有効利用について、相談していく予定です。 ―呼吸器外科医の魅力は。  呼吸器外科の手術は、どんなアプローチでどのくらいの範囲を切除するかなどが症例によって異なります。患者さんは高齢者が中心で、高血圧や感染症などの合併症がある人も多いため、幅広い疾患を診るスキルも必要です。 術者の技量を問われる場面が多くプレッシャーも大きい。その中で、やりがいを感じる場面は多くあり、それが呼吸器外科医の一番の魅力だと思います。 ―医師の育成は。  若手医師にはできるだけ早いタイミングで手術を経験してほしい。そのために「見る・練習する・手術する」の三つの段階を踏んでもらうようにしています。 まず、胸腔鏡手術でモニターに映し出される術野を見ること。それによって術者の手術手技を学びます。次に人の模型やウエットラボでの練習。その後、先輩医師の指導を受けながら手術に臨んでもらいます。 特に意識しているのは学生に手術の魅力を伝えること。外科医不足の流れを止めるには、それが大切だと思っています。 今後も、さまざまな疾患に幅広く対応する力と専門性を併せ持った呼吸器外科医を育てていきたいですね。増加する肺がん患者のために社会貢献という意識も持って頑張ってほしいと思います。 熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器外科学分野熊本市中央区本荘1─1─1☎096─344─2111(代表)http://kumadai-thoracic.com/

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円滑なチーム医療で高度な診療を

熊本大学大学院生命科学研究部 乳腺・内分泌外科学講座山本 豊 准教授(やまもと・ゆたか)1991年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。米ロズウェルパークがん研究所留学、熊本大学医学部附属病院(現:熊本大学病院)高度医療開発センター乳癌(がん)分子標的治療学寄附講座特任准教授などを経て、2015年から現職。  患者が増加している乳がんをはじめとする乳腺診療全般、そして甲状腺・副甲状腺の外科的治療を行っている熊本大学乳腺・内分泌外科。いかにしてスペシャリストの育成に取り組んでいるのか。熊本大学大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科学講座の山本豊氏に聞いた。 ―乳がんに対しての診療方針は。  最近は、乳がん一つにしても、原因や必要とされる医療、患者さんのニーズが非常に複雑化しています。いくつかのチームが、症例ごとに協力し合いながら対応しています。 例えば、遺伝性乳がんの場合には、医師だけで対応するのではなく、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなどでつくる「家族性腫瘍診療相談チーム」と一緒になって当たることになっています。 患者さんやそのご家族の取り巻く環境を考慮しながら、遺伝子検査をすすめるべきなのか、若い方で今後の妊娠や出産を希望する場合どのような解決方法があるのか。話し合いながら決めていくことになります。 熊本大学には、他にも緩和ケアのためのチームなどがあります。これらのチームは重なり合っており、私たちが橋渡し役となって、何かあれば即時に協力し合う形になっています。患者さんに適切な医療を提供するために、何をするべきか。お互いにコミュニケーションを取って、それぞれの役割をきちんと果たしていく。それが本質ではないかと思います。 ―熊本県の現状は。乳がん治療の今後についても教えてください。  人材不足が課題です。熊本県では、患者さんの数に対して、その診療に当たる医師が不足しています。しかも専門医の資格を持つ医師の年齢層が上がってきていることも問題になりつつあります。若い人たちに、この分野に興味を持ってもらえるよう努力しなければと感じています。 乳がんの治療成績は、全体として良くなっています。しかしながら、現在の標準治療では十分な効果が得られない方もいます。治療の効果が得られやすい人、得られにくい人の違いについて原因を調べ、治療法改善のために、これまでの患者さんから提供していただいた豊富なデータと腫瘍や血液などの検体を用いて研究を進めています。 また、乳がんの早期発見についても、乳がんにかかりやすい人、かかりにくい人には特徴があります。乳がんのかかりやすさには遺伝的な要因に加え、生活習慣や環境も大きな影響があります。一律に2年に一度のマンモグラフィー検査を受けなくても、乳がんのかかりやすさに応じた検診の仕方や新しい精度の高い検診方法を開発したいと考えています。 ―最後に教室の人材育成の特徴は。  乳腺と甲状腺などの内分泌臓器の外科治療に特化した分野です。 乳腺・内分泌外科は、ベースは外科になります。この分野での専門医を目指す場合のカリキュラムとしては、まず外科医としてのトレーニングを経て、サブスペシャルティとして専門医のコースを選択する流れになっています。 外科専門医、乳腺専門医、内分泌外科専門医、がん治療認定医などの資格取得が可能です。現在、教室に在籍し、実働している医師は6人。全員がいずれかの資格を取得しています。 熊本大学は、乳腺や甲状腺に対して熱心に取り組んでおり、学生にもこの分野に関して、多くの講義の時間を設けて教育しています。 地域の関連病院とも連携しながら、専門医を育てること。それが大学の役割です。乳腺・内分泌分野について、研究も含めて深く学べる環境があることは、熊本大学の強みの一つだと思います。 熊本大学大学院生命科学研究部 乳腺・内分泌外科学講座熊本市中央区本荘1―1―1☎096─344─2111(代表)http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/breast/

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