九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

山間部の包括ケア構築に力 先を見据えた病床再編進む

広島県厚生農業協同組合連合会 吉田総合病院住元 一夫 病院長(すみとも・かずお)1979年広島大学医学部卒業、1988年同大学大学院医学系研究科外科系修了。県立広島病院外科医長、広島県厚生農業協同組合連合会吉田総合病院外科主任部長、同副院長などを経て、2002年から現職。  無医村が多かった一帯の医療環境を改善しようと、1943年に前身の病院が開設された広島県厚生農業協同組合連合会吉田総合病院。いま、高齢・過疎化が進む県北の安芸高田市で、地域の医療を支える。中山間地域の住民に寄り添うケア体制を、どう展望するか。住元一夫病院長に聞いた。 ―吉田総合病院を取り巻く環境を教えてください。  安芸高田市の高齢化率は40%に迫ります。国全体の25年先を歩んでいるといえるペースです。人口も毎年350人程度減り続け、2040年には、現在の3万人弱から2万人余りに減少する見込み。後期高齢者の割合は31%に達すると予測されています。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

Continue Reading

周術期医療を支える麻酔科医のさらなる育成を

大分大学医学部 麻酔科学講座北野 敬明 教授(きたの・たかあき)1984年年大分医科大学(現:大分大学医学部)卒業。米アルベルト・アインシュタイン医科大学モンテフィオーレ医療センター留学、大分大学医学部医学教育センター教授などを経て、2014年から現職。同附属病院集中治療部長兼任。  手術麻酔、集中治療、ペインクリニックの分野において、大分県内の診療、研究、教育を支えている大分大学医学部麻酔科学講座。北野敬明教授は、学生の教育、麻酔専門医の育成に取り組んでいる。 ―麻酔科学講座について教えてください。  大分医科大学(現:大分大学医学部)麻酔科学講座として1980年に開講されて以降、主に大分県内を中心に周術期医療を支えてきました。臨床では手術麻酔、集中治療、ペインクリニックを3本柱として、2018年度の手術件数は約5900件で、そのうち麻酔科管理症例数は約4000件です。2019年6月に手術設備の改修工事が完了して、手術室が11室から15室に増えました。 高度な手術に対応できるように内視鏡手術専用手術室1室、心臓手術対応手術室3室、ロボット手術対応手術室2室、ハイブリッド手術室1室、クリーンルーム手術室2室を備え、「TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)」を施術できるのは大分県内では当院だけです。また、手術部・集中治療部全体の配置も見直し、患者さんの搬送、移動がしやすいように動線にも配慮しています。 集中治療については、麻酔科の集中治療専門医が呼吸・循環だけでなく全身管理を主治医との共同で一元管理するクローズド集中治療室(ICU)方式で、フル規格の集中治療室8床を運営しています。2018年度は604症例の管理を行い、死亡率1・5%と高い救命率を保っています。 ペインクリニック部門は通常の外来を週3日、神経ブロックを週2日行っており、薬物療法だけでは治療できない痛み症例や緩和医療における痛みの緩和のための薬物療法、神経破壊法・脊髄鎮痛法などを実施しています。 また、近年設立された当院の緩和ケアセンターの運営においても、中心的な役割を担っています。 ―人材育成・専門医研修プログラムについて。 大分大学医学部麻酔科学講座のメンバー  2006年から2016年における、日本の全診療科別医師数の増加率では、麻酔科医がおよそ150%と上位にいますが、もともとベースになる麻酔科医の数が少なかったこともあります。2008年から2014年の医療施設調査では全身麻酔件数も121%増加しています。ただ、麻酔科医も都市部に集中する傾向があり、まだまだ中小都市地域では、絶対数は不足しています。 優れた医師の育成は、先輩医師すべての重要な使命です。現在、医局には55人のスタッフが在籍し、着実に成長しています。新たに専攻医として研修を積む医師にも麻酔、集中治療、ペイン、救急など多様で優れたキャリアパスを提供できる環境を整えています。 専門医の研修プログラムについては、九州管内の麻酔科医で協力し、九州全体で育てていこうという意識があります。新しい専門医制度と同時にシーリング(専攻医の定数上限)が設定されたことにより、各県の大学病院が連携したプログラムが2020年度から始まる予定です。 ―今後の展望について教えてください。  現在、大分大学医学部医学科の定員は110人です。その中から少しでも麻酔科に興味を持つ学生に、麻酔科医としてのやりがいを伝えていきたい。 周術期チーム医療の中で、麻酔科医は患者や各科の期待に応える「縁の下の力持ち」「手術室の内科医」的な位置付けにあります。この仕事にやりがいを見つけることができる人に対して積極的にアプローチしていきたいと思います。 団塊世代が後期高齢者となる2025年をピークに、その先の10年から15年後には医療ニーズが劇的に変化することが予想されます。医療界の人材の育成、教育に携わる者として、中長期的な視点も必要ではないかと考えています。 大分大学医学部 麻酔科学講座大分県由布市挾間町医大ケ丘1―1☎097―549―4411(代表)http://www.med.oita-u.ac.jp/anesth/

Continue Reading

日本医師会 会長 横倉 義武

 明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、令和初の新年を健やかにお迎えになられたこととお喜び申し上げます。 平成の時代を振り返りますと、われわれは戦争のない平和な時代を過ごすことができたことに感謝する一方で、阪神・淡路大震災や東日本大震災、2016年熊本地震などの大地震、さらには豪雨や超大型台風などの自然災害が相次ぎ、多くの国民が被災されたことを忘れるわけにはまいりません。 犠牲になられた方々のためにも、平成の教訓を令和の時代に生かすべく、日本医師会では、被災地に派遣する日本医師会災害医療チーム(JMAT)を立ち上げ、随時その機能強化を図りながら、「被災者健康支援連絡協議会」参加団体等の関係機関との連携強化に取り組んでまいりました。 さらに、これからの災害対策には、行政、介護、福祉などの幅広い「多職種連携」が必要になります。加えて、地域包括ケア、医療・介護連携を中心としたまちづくりと地域社会のつながりがその礎となるものと考えます。今後も、医師会組織の緊密な連携に向けた施策を強化しながら、引き続きこれらの取り組みの推進に、全力を尽くしてまいります。 社会変化、技術革新に合わせ医療も適切な変容を  新たな時代に引き継がれたわが国の大きな特色に、人類史上かつてない超高齢社会の到来があります。人口の減少や過疎地域の拡大、所得や生活環境の格差など、複雑な環境変化が絡み合い、社会全体が模索を続ける中で、医療も適切な変容を遂げていかなければなりません。 政府は「人生100年時代」に向けて全世代型社会保障への改革を進め、子どもからお年寄りまで、切れ目のない社会保障の構築を目指しておりますが、そのためには、現在の医療を分かりやすく国民に示し、納得の得られる給付と負担に関する国民的合意へと導いていく必要があります。 依然として日本人の死亡原因のトップを占めているがんですが、2006年に「がん対策基本法」が成立し、同法に基づく基本計画が策定、数次にわたり見直され、全国どこでも質の高いがん医療を提供できるよう、がん診療連携拠点病院の整備や多職種連携等が進められてきました。 これにより、がんに関わる1人当たりの医療費は、特に後期高齢者において2000年当時よりも低下しており、対策法の制定による適切な整備の重要性が明らかになりました。 また、65歳以降の傷病別り患数を見てみますと、がんよりも脳血管疾患や高血圧性疾患、心疾患といった循環器系疾患が多くなっております。この対策として、2018年末には「成育基本法」とともに、「脳卒中・循環器病対策基本法」も成立しました。本法の目的は、循環器病の予防推進や迅速かつ適切な治療体制の整備を進めることで、健康寿命の延伸と医療・介護の負担軽減を目指すことにあります。 現在、介護保険で要介護5と認定される要因の30%は脳卒中後遺症と言われています。脳卒中は発症から4時間以内に抗凝固療法を行えば、後遺症の発症を軽減することができますので、早期に対応できる連携システムを整えることができれば、後遺症による長期療養者を減少させることも可能となります。基本計画の策定に向けて、これから具体的に動き出しますが、全国各地で推進していく必要があると思っております。 われわれ医師は従来、診断・治療に重点を置いてきましたが、今後は予防・教育や再発重症化予防、見守り、看取りにおいても重要な役割を果たしていかなければなりません。そうした意味で、各地域で地域医療に従事する「かかりつけ医」は、学校医や産業医としての役割を果たすだけではなく、ICTやAI、再生医療、ゲノム医療など、医学における技術革新にも対応していかなければならず、日本医師会といたしましては、引き続き「かかりつけ医機能研修制度」の一層の充実を図るとともに、かかりつけ医のさらなる普及・定着に努めてまいりたいと思います。 日本の経験をもとに国際貢献に取り組む  さて、私は2019年10月、ジョージアで開催された世界医師会(WMA)トビリシ総会において、世界医師会長を退任し、3年間にわたるWMAでの会長職を無事終えることができました。その任期を全うできましたのも、皆さま方の温かいご理解と力強い支えによるものであり、厚く御礼申し上げます。 在任中は、日本の優れた医療システムを世界に発信し、世界中の人々の健康水準向上に寄与すべく、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進に努め、WHOとの覚書の締結、「Health Professional Meeting 2019」の開催、国連総会NCDs、UHCに関するハイレベル会合、G20岡山保健大臣会合への出席等、WMAを代表した活動を行ってまいりました。 また、地域医療のあり方としての、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムや疾病対策、健康増進、高齢社会への取り組みについて紹介したほか、トビリシ総会では、長年議論されてきた安楽死の問題が取り上げられ、WMAとして安楽死に反対する意思を明確に表明した修正案が採択されました。 さらに、同年11月にはワーク・ライフ・バランスをテーマに国際会議を開催し、医師の燃え尽き症候群やWell-beingなどが各国共有の課題として認識されました。ここで得られた知見が、今後の働き方改革の議論に資することが期待されます。WMA会長としての役割は終えましたが、これからも日本の経験を通じた医療の国際貢献に取り組んでまいりたいと考えております。 医療界がスクラム組んでオリ・パラの成功を目指す  昨年9月には、ラグビーワールドカップ2019がわが国で初めて開催され、日本列島が熱狂と感動の渦に包み込まれました。「ONE TEAM」という、この競技の熱いコンセプトが、多くの国民の心をわしづかみにしたことに、ラグビー経験者の一人として、万感胸に迫る思いをいたしております。 開催期間中、日本医師会では開催地の医師会との連携の下、訪日外国人を含む200万人を超えるファンがスタジアムを埋めることによる万が一の事態に備え、CBRNEテロを含むマスギャザリング対策等に取り組むなど、万全の体制を整えて参りました。幸い大きな問題はなく、大会を終えることができました。ご協力いただきました多くの方々に感謝申し上げます。 そして、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックを迎えますが、東京都医師会を始め開催地の多くの先生方を中心に、医療界がスクラムを組んで、大会の成功に貢献してまいる所存でおりますので、引き続きのご支援・ご協力のほど、お願い申し上げます。 令和の時代も医師としての高い倫理観と使命感を礎に、人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指してまいりますことをお伝えし、年頭のごあいさつとさせていただきます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Continue Reading

福岡大学病院 病院長 岩﨑 昭憲

 明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては健やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。 福岡大学病院長に就任し初めての年始を迎えました。2019年は、一世一元により平成から新元号「令和」になり、2020年は東京オリンピック開催が予定され大きな出来事がめじろ押しです。また医療に目を向けると、今春からの診療報酬改定は大学病院にとって期待と不安が交錯する年初でもあります。医師らの人件費や技術料に当たる「本体部分」が0.55ポイント増加、一方で薬価は1%、全体でもマイナス改定のようです。また医療情勢は、今後、団塊の世代が後期高齢者となり疾病構造や受療行動が変化することや、働き方改革関連法(時間外労働の上限規制、有給休暇取得の義務化等)を受けて各医療機関の共通課題になっています。 勤務軽減に、他職種へ一部委譲するタスクシフティングなどが提案されていますが、思うように運営できているものは少なく、まだまだ今後の課題です。診療報酬に働き方改革を後押しするための費用0・08%が見込まれ、少し明るい兆しもあります。これら社会情勢のなか私たちは、「人にやさしく、業務に厳しく」を掲げた取り組みを行いたいと思っています。 福岡大学病院の対象医療圏は、福岡市西部・南部地区の約100万人であり、地域医療の中核機関として高度医療を安全に提供するさまざまな創意工夫を行っています。 可能な限り施設・設備充実をはかるとともに、病院組織改編や多様な施設との連携推進に取り組んでいます。絆病院や連携医療機関登録を増やすための地域連携室の強化や、大学関連の医療機関である福大筑紫病院、福大西新病院、博多駅クリニックとも緊密な医療協力を行っています。まさに2019年の流行語大賞にもなった「ONE TEAM」です。 また新本館建設は、基本設計が終わり2023年竣工に向けて順調に準備が進んでいます。 大学病院内ではさまざまな業務が増えていることもあり、副院長の補佐職を倍増させました。この中には、大学病院機能の一つである教育、研究を意識した増員も含まれています。私たちには優秀な医療職を育て社会に送り出す責務があります。また専門性の高い人材を育てることは、ひいては特定機能病院としてのレベルを維持することにつながります。 多様化するがん医療、掲げてきた「断らない医療」の継続や救急医療体制の充実、ロボット支援手術や移植医療などの高度先進医療を安定的に提供し、さらなる飛躍の年にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

Continue Reading

奈良県看護協会 会長 平 葉子

 あけましておめでとうございます。本年も、皆さまにとって、すばらしい年となりますように心からお祈り申し上げます。 さて、「団塊の世代」が後期高齢者となる2025年が5年後に迫り、今後はさらに、85歳以上の人口が大幅に増加する2040年を見据え、医療・看護に取り組まなくてはなりません。 これまで、奈良県は400床以上の大病院が4施設しかないため、他県に比べ救急医療体制が取りにくい状況がありました。半面、中小規模の病院が多く、医師の散在が問題となっていました。 しかし、これからの超高齢社会の医療は、高度急性期の医療は広域的に確保されていればよく、むしろ、近隣住民の生活全体を支える、地域型の病院が重要になると言われています。 高齢者は複数の慢性疾患と加齢による虚弱を抱え「とことん治す」ことはできません。「この治療を受けることで楽に暮らせるようになるか?」という視点で診療し、訪問看護と連携し、入退院を繰り返しながら、充実した人生を最期まで送れるように支援することが求められます。 幸い、奈良県では、地域医療構想の「奈良方式」を掲げ、構築を進めています。それは、大病院と、中小規模でも緊急で重症な患者を受け入れ、救急医療や高度医療に責任を持って対応する「断らない病院」と、軽度急性期の患者や、在宅患者・施設入所者の状態悪化時に速やかに受け入れ、また元の生活に戻れるように支援する機能を持つ「面倒見のいい病院」に機能分化することです。 また、この二つは、互いに連携を強化して、県民の医療ニーズに応えていきます。これからの時代にマッチした、この「奈良方式」は、全国から注目されています。 これまで、施設入所者は状態が悪化しても受け入れてもらえる病院が少ないため、わざわざ夜間になるのを待って救急車を呼び、受け入れ病院を探していました。しかし、その間、長く待たされて状態が悪化したり、高度急性期病院に搬送され、本人の望まない高度医療を受けるケースもありました。 この「奈良方式」による機能分化が進み、人手のある昼間のうちに、近くの「面倒見のいい病院」に受け入れてもらい、食事や排せつの自立、生活リハビリなどで、また元の暮らしができることを期待しています。 看護協会では、高齢者が状態によって療養の場を移動しても、途切れることなく看護を引き継いでいけるように、地域ごとの病院、診療所、介護施設、訪問看護、行政保健師などのネットワークを強化していきたいと思っています。

Continue Reading

秋田県医師会 会長 小玉 弘之

 明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、令和時代の初めてとなる新年を健やかにお迎えになったこととお喜び申し上げます。 2019年は、5月に新天皇のご即位、また、9月ラグビーワールドカップと国中が大いに沸いた一年でありました。 その一方、2018年の西日本豪雨災害からの復旧、復興がなされない中で、9月から10月にかけての台風、大雨により千葉県、長野県、福島県、宮城県を始め広範囲にわたる地域が甚大な被害に見舞われたことは非常に残念なことでありました。被災された地域の医療機関の一日も早い復旧、復興を願うばかりであります。 さて、ご承知の通り医療界は、社会構造・環境の変化に対応を余儀なく求められております。少子高齢人口減少の進行による生産年齢人口の減少いわゆる各産業の担い手不足、社会保障制度の支え手不足がその主たる原因となっていると考えます。少子化の改善には、一説によると60年掛かると言われておりますが、まずは、団塊の世代すべてが後期高齢者になる2025年、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年に向けての対応が求められております。人口構造の変化によって、疾病構造の変化、患者数の減少、医療従事者の確保困難などは必ず押し寄せるものであり医療界としても迅速な対応が求められるのは論をまたないと思います。 本会では、2019年4月公表の「医療グランドデザイン2040」の具現化と地域医療構想調整会議の補完のため、9月より県内3地区で県医師会、郡市医師会、病院代表、自治体首長、住民代表を構成員とする「地域医療の将来を考える懇談会」を延べ9回開催しました。調整会議の最大の欠点は、決定権の無い代表者の会議で、本来医療の主役である住民が参加していないことと考えておりましたので、上記の構成となった訳であります。懇談会では、本会の考えはあえて提示せず、2040年の各自治体の人口動態データのみを示し、人口減少による社会に及ぼす影響について説明した結果、自治体の意識の醸成が図られ、住民が身近な医療があることの大切さを理解していただいたことが大きな成果であったと思います。これから私たち医療人は、医療の主役は住民であることを常に肝に銘じ、医療資源に限りがあり、住民のための住民によるものであることを共通認識することが上手な医療のかかり方につながると考えております。 県医師会長と日医常任理事の二足のわらじを履きながらの1年6カ月。日医横倉義武会長をはじめ多くの皆さまのご理解、ご支援に感謝しつつ、残された任期をしっかりと期待に応えるべく会務に向かいたいと考えておりますので、引き続き皆さまのご鞭撻、ご支援をお願い申し上げて新年のごあいさつといたします。

Continue Reading

埼玉県医師会 会長 金井 忠男

 明けましておめでとうございます。謹んで新年のお喜びを申し上げます。 2018年の西日本豪雨、台風、地震と大きな災害の発生を踏まえ、埼玉県医師会では、2019年初めから災害時医療の見直しを行いました。さらなるJMAT編成を郡市医師会にお願いし、派遣JMATそして被災地JMATが組織的に活動できる体制もつくりました。2019年も台風19号による洪水被害がありました。今後の台風はさらに大型化し勢力も大きくなると思われます。災害時保健・医療のさらなる充実が必要です。 わが国の平均寿命は延び続けており、毎年最上位国に近い状況です。そして、健康寿命も上位国ですが、平均寿命と健康寿命には大きな差があり、予防医療の推進・普及が重要と考えられています。当県では多くの地域で健康長寿への取り組みが行われており、誇るべきことであると思います。 日本は世界で最初に超高齢社会を迎えた国です。加齢とともに医療ニーズは増加し、生産人口の減少と相まって現役世代への負担が増えてきました。その中にあっても、健康で心豊かな生活を長く送るために、必要な医療・介護を安心して受けられる安定的な体制が必要です。 2000年に世界保健機関(WHO)は、わが国の皆保険制度は総合評価で、世界で最も優れていると認めました。しかし、現在の保険制度を維持していくことが財政面から困難になってきたと、近年言われています。そのため負担と給付について見直す議論がされています。 負担増については、後期高齢者医療制度での窓口負担の引き上げや受診時窓口定額負担などで、給付の見直しでは、医療用医薬品で既に一般医薬品として薬局で販売されている薬品の一部についての給付の見直しなどです。 高額医薬品や高度先進医療の保険適用、そして超高齢社会での医療需要の増加などで財源が不足してきたことから、医療保険制度の見直しが議論されていますが、国民の財産と言ってよい皆保険制度は堅持しなければなりません。 人口動態や社会経済の変化により、過去にも自己負担割合の変更はあり、部分的な給付割合の変更もありました。 国民皆保険制度を持続可能なものとするため、国民的議論が必要と考えます。健康で長生きすることはすべての人々の願いです。健康の維持増進に心掛けるとともに、しっかりとした社会保障制度の維持のため皆で考える時だと思います。 最後になりましたが、皆さまにとって幸多い年となりますことを祈念し、新年のごあいさつといたします。

Continue Reading

“連携は「口」から” キーワード掲げて事業推進

社会医療法人仁寿会 加藤 節司 理事長(かとう・せつし)1986年東邦大学医学部卒。1992年島根医科大学(現:島根大学医学部)大学院単位取得後退学、医学博士。広島市立安佐市民病院、医療法人(現:社会医療法人)仁寿会加藤病院病院長などを経て、2011年から現職。  在宅復帰支援としての介護・医療サービスの強化に努める社会医療法人仁寿会。地域包括ケアシステム構築を目指して重ねてきた具体的な取り組みや、連携を円滑にするために力を入れてきたことなどについて加藤節司理事長に聞いた。 ―2012年に在宅医療連携拠点事業に指定されました。  国の在宅医療連携拠点事業をお引き受けして、改めて在宅で医療や介護を提供していく上での課題が山積していると感じました。しかし、私たちには専門職や地域の仲間がおり、彼らと協力すれば地域包括ケアシステムをつくることが十分可能であると分かったことは大きかったですね。 この事業では〝連携は「口」から〟というキーワードを掲げました。話すことがコミュニケーションの基本というところと、人の尊厳である食の自立をサポートしていくという二つの意味での口です。 具体的には、口腔機能について医療介護従事者の観察法を確立し、それを学んだ人にローカルライセンスを付与するという口腔ケアサポーター制度を創設しました。歯科医師会の協力を得て、座学と実習を組み合わせてサポーターを養成。口腔機能のケアにつなげていきます。 2013年からの3年間は県の在宅医療介護連携推進事業に移り、2015年に県の後期高齢者歯科口腔健診制度がスタートしました。歯科口腔だけでなく、嚥下(えんげ)の力と栄養状態もカバーする健診で〝連携は「口」から〟のキーワードと偶然合致するものでした。 ―事業主体が国から県に。  国から県、そして市町村へと降りてきました。そのなかで市町村ごとにバラバラになってしまうのは、〝連携は「口」から〟という活動を途切れさせることになると懸念しました。 そこで、培ってきたレガシーを残そうと邑智郡食事栄養支援協議会を設立。この協議会を核に、口腔ケアサポーター制度の継続とともに歯科口腔健診の事後措置のフローを策定し、診断からリハビリまでの体制を地域で構築しました。 これらの事業を通じ、連携に最も重要なのは自分たちの健康なのではないか、と思い至りました。自分たちが心身ともに健康であれば、より学んで成長できる。成長できると、より良くつながることができる。 すると、患者さんの生活の質が向上し、患者さんも自分たちもともに満足できる。それがさらなる健康につながっていく、という具合に好循環が生まれると考えました。 自分たち自身で目標を設定し実現を図る「目標管理制度」や「心の健診制度」などの職員の「健康」と、資格取得といった職員の「成長」への支援が重要です。 また、「つながる」という面でも、「田舎で学ぶ専門職医療教育プログラム」という医薬看栄養などの学生に合同で学んでもらう独自のカリキュラムを用意。学生、専門職の良いお手本を目指しています。 ―「ホワイト500」(健康経営優良法人)にも認定。  最初に仕事と子育ての両立支援に取り組む企業を対象とする「くるみん」に認定され、その後に島根県知事表彰制度「しまねいきいき雇用賞」を受けました。 その頃はまだ本当にそんな賞に値することができているのかと自問自答していました。そこで、島根県医療勤務環境改善支援モデル事業を受託し、仁寿会版マネジメントシステムの制度化と運用によりPDCAによる改善を続けました。 昨年、経済産業省のホワイト500に認定されたときは、外部評価がいただけたことに大きな喜びを感じました。私たちはこれからもへき地医療分野の社会医療法人であるという自覚を胸に、目の前におられる一人ひとりの患者さんの善き人生に貢献することで地域社会を変えていきたいと思っています。 社会医療法人仁寿会(加藤病院内)島根県邑智郡川本町川本383―1☎0855―72―3220(代表)http://k-jinju.or.jp/

Continue Reading
Close Menu