産業医科大学医学部 眼科学 近藤 寛之 教授(こんどう・ひろゆき)
1988年千葉大学医学部卒業、虎の門病院眼科レジデント。米マイアミ大学研究員、
九州大学遺伝情報実験施設研究生、福岡大学眼科講師などを経て、
2010年産業医科大学医学部眼科学准教授、2013年から現職。
周産期医療の現場では医療の進歩により救命できる未熟児が増えた。一方で、重症の未熟児網膜症は増加している。九州・中国地方から患児が集まる産業医科大学医学部眼科学の近藤寛之教授に、予防治療や網膜剝離手術など最新の動向を聞いた。
―未熟児網膜症の概要を教えてください。
低出生体重児(未熟児)に起こる目の病気です。早産の影響で未完成な網膜に起こる頻度が高く、網膜剝離による視覚障害が起こります。未熟児の網膜は未完成であり虚血(酸素不足)状態のため、VEGF(血管内皮増殖因子)と呼ばれる物質が過剰に産生されます。VEGFが新生血管と呼ばれる病的な組織の発生を誘導し、出血や網膜剝離を引き起こします。