鹿児島県看護協会 会長 田畑 千穂子

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特定行為研修制度の新たな展開

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 新しい年を迎え、皆さまに謹んでお慶びを申し上げます。

 鹿児島県看護協会は、会員1万2850人(2018年11月現在)で、県内で就業している看護職は3万2550人で、保健師915人、助産師598人、看護師2万1463人、准看護師9574人(2016年12月末現在)で、人口10万人当たりでは全国2位となっています。しかし、本県は28の有人の島々を含む南北600kmという地理的な特徴が故に、離島・へき地における看護職の確保が深刻化しております。人材確保への画期的な魔法の杖はありませんが、日本看護協会が掲げる"看護の将来ビジョン" の実現に向け、今年も会員とともに取り組んでまいります。

 さて、2025年問題に向けた県の地域医療構想に基づき、地域包括ケアシステムの構築を推進する中で、訪問診療や訪問看護等の充実、医療機能を内包した施設系サービス等の在宅医療提供体制の充実が課題となっております。中でも、特定行為研修制度の普及と理解促進や研修受講者の確保が求められております。昨年度、本県は「地域医療を支える看護師特定行為シンポジウム」を看護協会、鹿児島大学病院看護師特定行為研修センター、県医師会、行政とともに開催しました。各医療機関における研修修了者の活動状況を共有していくために「看護師のタスクシフトを考える」と題し、150人の参加がありました。今年も特定行為研修制度の普及・理解促進に向け、関係団体とともに取り組んでまいります。

 2018年8月現在、九州における特定行為研修指定機関は12機関(全国87機関)、研修修了者は108人(全国1041人)で、鹿児島県28人、福岡県24人、大分県23人、長崎県17人、沖縄県6人、宮崎県4人、熊本・佐賀県3人でした。厚生労働省は、特定行為研修を修了した看護師の計画的な確保のための方策として、① 医療関係団体等による特定行為研修の取り組みの推進、② 都道府県における計画的な取り組みの推進、③ 特定行為研修制度の認知度の向上を目指しております。一方、日本看護協会は2020年からスタートさせる「新たな認定看護師制度」に向け、外部有識者を含む委員会で検討を重ね「新たな認定看護師制度設計」「認定看護分野」について決定しました。統合分野は二つで、緩和ケア・がん性疼痛看護が「緩和ケア」へ、救急看護・集中ケアが「クリティカルケア」となります。また、名称変更は9分野で、「がん薬物療法看護」「小児プライマリケア」「生殖看護」「在宅ケア」「呼吸器疾患看護」「心不全看護」「脳卒中看護」「腎不全看護」「摂食嚥下障害看護」となります。この新たな認定看護師制度への移行で、議論の一つに資格の期限がありましたが、結果、永続となりました。今後も、特定行為研修を含む「新たな認定看護師制度」の動向には関心を寄せていく必要があります。

 最後に、あらゆる場で求められている看護職です。住み慣れた地域で最期まで暮らせるような社会の実現に向けて、県民の皆さまのニーズに応えられる職能団体としてさらに貢献したいと考えております。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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