年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年も大阪府北部や北海道胆振東部での地震をはじめ、西日本を中心とした平成30年7月豪雨、台風による暴風雨などの大規模な自然災害が発生し、多数の死者・行方不明者が出るなど甚大な被害をもたらしました。被災された方々に謹んでお見舞いを申し上げます。このような自然災害は身近に起こりうるものと考え、「居安思危」の戒めをさらに実感した年でもございました。
大規模災害発生時に、市民の皆さまや会員医療機関をいかに守っていくか、他の都市で発生した災害に対して、どのような援助が可能か、医師会の果たすべき役割について追求し、行政や関係団体の皆さまのご協力も賜りながら、強固な医療救護体制を構築したいと考えております。
医療界に目を向けますと、昨年6月に「働き方改革関連法案」が成立し、医師については、医師法による応召義務などの特殊性を踏まえ、改正法施行後5年の猶予期間が設けられました。与えられた猶予期間で熟議を重ね、国民全体の理解と協力を得て、地域医療を崩壊させることのないよう万全を期していただきたいと願っております。
海外情勢においては、米国トランプ政権の「アメリカ・ファースト」に基づく政策展開が世界各国に混乱をもたらし、各地域における安全保障上の勢力均衡が不安定となり、貿易や環境保全に関する国際的な協調体制が危ぶまれております。米国を中心としてきた戦後国際秩序が揺れ動く中、世界経済をけん引してきたユーロ圏や日本の存在感が薄れる一方、中国やロシアの国際的な影響力が増大してきたように思えます。
このような国際情勢の中、本年6月に福岡市においてG 20財務大臣・中央銀行総裁会議が予定されております。この会議が世界経済の安定かつ持続可能な成長に向けて、さらには、日本経済の発展に寄与し、社会保障の充実につながるよう、新たな年号への移行とともに期待したいものです。
最後になりますが、本年が明るく活気のある社会を創る年になるとともに、皆さま方にとりましても幸多き年でありますよう心より祈念申し上げます。