産業医科大学 学長 東 敏昭

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明日が見えにくい世界の中で

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 新年、明けましておめでとうございます。昨年40周年を迎えた本学への皆さまから賜りましたご厚情、ご指導に感謝いたします。また、本年も引き続きご支援、ご鞭撻をいただければと存じます。

 古典の一節によれば、文物が昇華熟成するという「収穫後の段階」を示唆し、時には「滅びる意」を内包するともいわれた戌年には、新たな世界の構図、摩擦が生まれました。今年いのしし年は、干支では己との組み合わせで、いかに分離するものをまとめるかが肝要な年と言います。歴史的に地震、台風などの天災が多い年でもあり、注意と準備を心がけるべきとの伝もあります。

 働き方改革が法制度化し、日本の企業文化、社会活動に大きな変革を迫っています。これを好機ととらえ、社会全体の生産性、生活満足度の向上につながることが期待される一方、技術革新や国際情勢の変化、気候変動が日本人の生活に大きな影響を及ぼすと予測されています。さまざまな立場の人が、先が見えない中でそれぞれの価値観を認め合い、生きがいをもって活躍できる安心の仕組みを維持する必要があります。働き方改革を健康寿命の延伸につなげる努力が必要です。

 日本人の健康観、死生観ももう一度見直すべき時期と考えます。悪性腫瘍をもちながら亡くなるまで現役であった将棋の大山康晴十五世名人は「将棋指しの健康は、盤の前に座って考えられること」、女優の樹木希林さんは「病を悪、健康を善とするだけなら、こんなにつまらない人生はないわよ」との言葉を残しています。それぞれの置かれた状況でよりよく生きること、また、生きていくことができる仕組みを創らなければと思います。

 産業医科大学は、こうした技術革新に基づく産業構造の変化、働き方改革、少子高齢化の中で、新たな健康障害を予防する研究の促進に加え、現場での問題解決ができる産業保健専門職への実務能力向上のための教育・研修事業を充実させています。日本での知見、講習・研修での蓄積をもとに、広くアジアの産業医学・産業保健の中核機関として世界保健機関協力機関としての機能も充実させたいと考えています。

 これからも、政策目的大学として、地域の中核医療機関として病院機能の向上を進め地域医療への貢献を果たしながら、国内外での国際的な産業医科大学の存在感を一層高めたいと思っています。皆さまには、今後も本学の事業について、一層のご理解、ご支援をいただければ幸いです。

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