「女性が働くこととは」
先だって、ある市議会の定例会で、女性市議が生後7カ月の長男を抱いて出席し、問題となったのをご記憶のことと思います。議会規則で議員以外は傍聴人とみなすとし、傍聴人は議場に入ることができないとしていることから、まかりならぬとなったようですが、果たして、乳児が傍聴人の範疇に入るかとなると疑問の余地は残るでしょう。この場合、規則制定の主旨には、そもそも、含まれていないと考えるのが妥当でしょう。規則とは絶対的なものではなく、運用の妙こそ期待すべきことのように思われます。
ところで、男女共同参画が叫ばれて久しいところですが、出生数が2年続けて100万人を割り、統計を取り始めてから最少となった前年を、さらに、昨年は下回ったと報じられており、少子化必至社会にあっては、女性の社会参加は喫緊の課題以外の何物でもないところです。それは、お産と育児という女性にとってのハンディをどうカバーし克服するかにかかっています。就労により得る賃金が保育費でほとんど消えてしまうようでは本末転倒であり、保育費の負担軽減の制度化は当然としても、それと同時に、母親が乳児を連れて働ける就労環境の多様性も望まれるところです。かつて、タレントのアグネス・チャンさんが勇敢にもチャレンジしましたが、受け入れられ難かったようです。赤ちゃんを連れたお母さんと一緒に働く受容性が周りの人々に備わって欲しいものです。
私ども医療の現場においても望まれることであり、女性医師が産後早期に現場復帰できることになれば、医師としてのモチベーションも保たれ、研鑚意欲が阻害されることはなくなるでしょう。赤ちゃんを背負った白衣姿が奇異なものではなく、当たり前のこととして受容される日のあらんことを。