九州大学 総長 久保 千春

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 新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 本年2018年は戌(いぬ)年です。戌は、干支(えと)の意味として"勤勉で努力家"とのことですので、それを見習ってやっていきたいと思います。

 昨年も国内外で政治、経済、災害、紛争などさまざまなことが起こり、不安定な時代を迎えております。九州では、昨年7月の九州北部豪雨災害で大きな被害を受けました。今なお、復旧途上ですが、九州大学では「災害調査・復旧・復興支援団」を結成して、支援を行っております。

 私は、九州大学総長に就任し4年目を迎えました。「九州大学アクションプラン2015-2020」を策定し、以下6つの項目を推進しています。今年はそれぞれの取り組みをしっかりと進め、九州大学をさらに大きく飛躍させる1年にしたいと思います。

1.世界最高水準の研究とイノベーション創出

 学術研究としては、エネルギー分野のカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所や水素エネルギー国際研究センター、最先端有機エレクトロニクス研究センター、味覚・嗅覚センサー研究開発センター、アジア研究、久山町研究などさまざまな分野で先端研究が行われています。これらを世界的な研究教育拠点となるように発展させ、イノベーションにつなげるようにしたいと思います。エネルギー研究機構を立ち上げていますが、今年も、国内外からの研究者を交えてエネルギーウィークを1月末に開催します。

2.グローバル人材の育成

 12番目の学部として51年ぶりに、新学部「共創学部」が本年4月に開設されます。現代の世界が直面しているさまざまな問題や課題、例えば、地球温暖化や自然災害、紛争や越境する環境汚染など、を解決するために必要とされる人材を育成することを目的にしています。国際的なコミュニケーションに必要となる英語能力の向上のための語学教育および海外留学、問題を俯瞰して捉える広い視野と教養の涵養や具体的に課題解決するために必要な専門能力を養成するカリキュラム、実践的な恊働学習で定員は105名、4つの方式による入試が行われます。

3.先端医療による地域と国際社会への貢献

 九州大学病院は、都道府県がん診療連携拠点病院に指定されており、がんセンターにてがん治療情報を収集・登録しています。腎臓、膵臓などの脳死下臓器移植、生体肝移植では、全国でトップクラスであり、ロボット支援手術や内視鏡外科トレーニングセンターなどの先端医療も行っています。国際医療部を新設し、国際遠隔医療教育ネットワークシステムを構築したり、外国人患者受け入れ医療機関認証を取得しています。

4.学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり

 2005年から始まった伊都キャンパスへの移転は、本年に最終ステージを迎えます。農学系総合研究棟、人文社会科学系総合研究棟、新中央図書館が完成し、10月からは人文社会学系・農学系の学生・教職員も移動します。272㌶ある広大なキャンパスでは、自動運転バスの社会実証実験を始めており、多様なエネルギーの使用組み合わせを把握する実証実験にも取り組んでいます。

5.組織改革

 基幹総合大学としてのさまざまな政策課題に機動的かつ重点的に活用できるように制度やガバナンスの改革を引き続き行っていきます。

6.社会と共に発展する大学

 企業や自治体との組織対応型連携事業を推進し、共同研究や受託研究をさらに伸ばしたいと思います。昨年2月、九州経済連合会の麻生泰会長との共同代表として「九州・大学発ベンチャー振興会議」を立ち上げましたが、地元企業や経済団体と一緒に大学発のベンチャーを支援していきたいと思います。九州大学は、次世代アントレプレナー育成事業に採択され、また、昨年6月に「起業部」が誕生しています。ビジネスプランコンテストでは賞を受賞しており、学生起業家育成にも力を入れていきたいと思います。

 九州大学は、研究、教育、社会連携などの多様な活動を推進し、地域と共に栄え、市民の誇りとなる大学となるよう、努めて参ります。今年も皆様のご支援・ご協力をお願い致します。

 本年が幸多く、飛躍の年となることを祈念しまして、新年のご挨拶と致します。

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