特色を前面に 人材確保に力注ぐ

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愛知医科大学医学部 外科学講座(呼吸器外科)
福井 高幸 主任教授(ふくい・たかゆき)
1998年浜松医科大学医学部卒業。
国立名古屋病院(現:国立病院機構名古屋医療センター)、愛知県がんセンター、
名古屋大学医学部附属病院呼吸器外科病院准教授などを経て、2021年から現職。


 5月に愛知医科大学の外科学講座(呼吸器外科)の主任教授に就任した福井高幸氏。専門分野の特色を生かした人材確保を目指している。実現に向けた手法や、教育面で重視している姿勢はどのようなものなのだろうか。


人材確保が最優先WLBも向上図る

 2003年に開設された外科学講座(呼吸器外科)の2代目の主任教授に就任した。現在のスタッフは6人。手術数の増加をはじめとした診療の充実と同時に、若手医師の確保を喫緊の課題に掲げている。

 人材確保のために今後、主に取り組んでいきたいと考えているのが、呼吸器外科のやりがいを周知することと、ワーク・ライフ・バランス(WLB)の向上を図っていくことだ。

 「当大学の特徴として、女性の医学部生が比較的多いことが挙げられます。彼女たちに当科の魅力などをアピールすることで、人員を増やす足掛かりにしたいと思っています」

 キャリア形成の上では結婚や出産などのライフイベントを考慮する必要があるが、人員を多く確保して補い合う青写真を描いている。産休や育休中のスタッフがいても、他のスタッフで負担なくカバーできるよう、コンスタントに人員を増やしていくことを目指す。

 そのために必要なのが、呼吸器外科の魅力や特性を前面に押し出していくこと。福井氏は、魅力を「命に関わる臓器を扱い、専門性が高いこと」と捉えており、「肺がん患者も増えており、今後も呼吸器外科医が果たすべき役割は大きい」と話す。

 WLBの向上のためには、プライベートの時間が確保できることが重要だと考えている。福井氏自身も、愛車のカスタムや機械式時計の収集、写真撮影、アクアリウム、読書など多趣味。コロナ禍前は星空の写真の撮影にのめり込んでおり、中でも沖縄の石垣島で撮った天の川の写真がお気に入りだと言う。


低侵襲手術が強み特任教授が支える

 診療面では、単孔式の胸腔鏡手術と、ダビンチを使ったロボット支援下手術について、ともにコンスタントに症例数を確保していることが強み。「どちらの手術にも対応していることは、患者さんはもちろん、人材確保の面でもアピールポイントになる。さらに症例数を重ねていきます」と語る。

 それを支えるのが、2人の特任教授の存在だ。沼波宏樹氏はロボット手術、矢野智紀氏は胸腔鏡手術をそれぞれ得意としている。双方の手術経験を積んだ福井氏を含めて、3人が20年以上の豊富な臨床経験を持っている。


同志を増やし「去る者を追う」

 強みと魅力を打ち出してスタッフを増やし、どのような教育を施していくのか。

 「患者さんを救いたいという気持ちはもちろん大事ですが、それだけではいけない。手術での技術が高ければいいというわけでもなく、がん全体に対する知識と、自分で新しいエビデンスをつくろうというリサーチマインドも必要です」。自身はその思いを原動力とし、愛知県がんセンターや名古屋大学などで知識と技術の両面を習得するために研さんを積んできた。

 組織を率いる上で、「離脱者を一人でも減らしたい」という思いを持ち、相談しやすい雰囲気づくりを重視している。「『来る者は拒まず、去る者は追わず』、と言いますが、私はどんどん受け入れ、去る者は追いたい。その人の個人的な問題であれば仕方ないですが、辞める理由が組織にあるのなら、改善した上で全力で引き留めます」と力を込める。

 同じ志を持った仲間を増やしながら強靱(きょうじん)な集団をつくり、愛知県の呼吸器外科医療をさらに前に進めていく。

愛知医科大学医学部 外科学講座(呼吸器外科)
愛知県長久手市岩作雁又1-1 ☎0561-62-3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/15.html

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