全国自治体病院協議会 会長 小熊 豊

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 新年あけましておめでとうございます。新型コロナウイルス感染症(コロナ)の対応に翻弄(ほんろう)され、感染拡大防止と経済活動の活性化という二つの命題に振り回された年が終わりました。コロナによってどれほどの方が健康を害され、経済的打撃、生活破壊をかぶられたのでしょうか。ワクチンの実用化、治療薬の開発が進み、一刻も早く日常の生活、New Normalが訪れることを願い、今年こそがターニングイヤーになってほしいと期待してやみません。

 2020年、わが国では、コロナにより医療の在り方に関わるさまざまな審議会、検討会が中断しました。コロナ収束後まで無理かと心配していましたが、9月ごろからウェブ会議を併用して急ピッチで開催され、コロナを契機として医療計画の6事業目に、「新興感染症等の感染拡大時における医療」の項目が追加され、検討されることになりました。

 感染症法や地域医療構想との整合性を図りつつ、平時には個々の医療機関、圏域で、感染対策や検査体制、病室などの整備、機能分担・連携体制の検討を進め、感染拡大時には、PPEなどの十分な供給に加え、圏域内での人材確保・支援体制、宿泊療養施設・即応病床などの確保などを、国、都道府県、医療機関などが一体となって迅速に進めることになりました。

 従来の感染症法とは次元の異なるレベルで、また、平時の効率的な医療体制の構築を目指した地域医療構想に、さまざまな不確定要素を有する未知の感染症対策が加わることになります。

 大変な課題となりますが、今回のコロナの経緯を十分に解析し、今後に備えた対策を立てなければなりません。中でもPPEの十分な供給と、重症患者への対応可能な設備・機器の整備、連携体制の構築、医療スタッフの確保・教育が重要と考えます。

 就労人口の減少、経済的問題などが絡み、余力(余裕)のある体制構築は難しいと考えますが、平時から有事(非常時)への機動的な対応が可能となる医療体制の構築が不可欠と思います。治療の拠点となる医療機関でも院内感染が多発し、医療体制の逼迫(ひっぱく)を経験しました。拙速に陥らず、確実に、さまざまな事態を考慮した上で、最適の新興感染症体制を目指す必要があると考えます。

 PPEすら不足し、自らの危険性を顧みず、過酷な就労環境のもと懸命に治療に当たった全ての医療関係者、保健行政、介護関係者の方々に敬意を表しつつ、2021年がこうした課題の解決につながることを望み、新年のごあいさつに代えさせていただきます。

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