日本医療法人協会 会長 加納 繁照

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 新年明けましておめでとうございます。年末にかけて新型コロナ感染が急拡大し医療崩壊ギリギリの状況で新年を迎えました。

 第2波まで多くの民間病院ではマスクやPPEなどが不足し、一部の民間病院を除き新型コロナ対応を見送らざるを得ない状況となりました。しかし一般救急患者は、院内感染防止対策の徹底で極力受け入れし、役割分担したことが医療崩壊を回避し、地域医療を守れた要因の一つと考えています。反面、その影響は大きく経営的に大きな打撃を受けたのは事実です。

 第3波では重症患者が多く病床逼迫(ひっぱく)など以前とは異なる状況のため、各病院は新たな対応を求められることになりました。私ごとですが加納総合病院(急性期、回復期、療養のケアミックス)では、行政の要請に応じ重点医療機関にもなり、回復期リハ病棟1棟を新型コロナ受入病床として提供しました。

 年間5000件内外の救急搬送を受け入れているため、急性期の機能を維持しつつ、回復期一部を整備し、大阪府が求める医療提供体制の一翼を担うようにしました。結果、病床確保料としての補助を受けられることで、その補償額と通常運営との差額が損益上の後ろ盾となります。

 公的病院のような補助がない民間病院にとって新型コロナ受け入れは負担が大きく、afterコロナを見据えた経営的な判断として少しでも貴重な収入を得ることも大切になります。

 日本は、病院数の8割、病床数の7割、救急搬送受入数の6割を民間病院が占めており、特に高齢者人口が増加する都市部では、その割合が高くなっています。afterコロナを展望すると、既に「人生100年時代」に入っていることを思い起こさなければなりません。高齢者は私が唱える「輪廻転『床』」、すなわち発症、治療、リハビリ、社会復帰を繰り返しながら人生を楽しむことになりますから、まさに「治し支える医療」の中心として地域密着型民間病院の本領を発揮する本番を迎えるのです。

 地域の高齢者を守る役割ができるのは、やはりコロナ禍と同じく、小回りが利く地域密着型、2次救急、ケアミックスタイプの中小民間病院が中心だと考えています。公的病院が統合し、巨大病院を造る動きがありますが、集約効果のある医療機能の巨大化以外その役割を担うことはできません。都道府県に数カ所あれば十分でしょう。

 民間病院が「輪廻転『床』」を通して地域医療を担い続けられるよう提言してまいりますので、本年もよろしくお願いいたします。

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