愛媛県看護協会 会長 小椋 史香

You are currently viewing 愛媛県看護協会 会長  小椋  史香

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大により世界の経済や生活が一変した年でした。医療従事者は、感染防止対策と対応に追われ、感染リスクや風評被害によるストレス、業務の増大など、忍耐と苦悩の1年でした。

 このような環境下において、地域における感染症や災害への対応強化と看護職の人材確保の重要性を痛感いたしました。また、クラスター発生時における感染管理認定看護師・看護管理者の活躍、最後の砦(とりで)として派遣された自衛官看護師の活躍などにより看護の価値を高め、看護力の発揮が人々の健康を守る証しとなりました。

 辛丑の年は「痛みを伴う衰退と新たな息吹が互いに増強し合う年」「ニューノーマル時代」と言われています。看護界においても、IT技術やロボットの活用によるコミュニケーション、ベッドサイドケアの変化、面会方法、教育・演習、会議の在り方など、さまざまな変革を余儀なくされます。

 日本看護協会と都道府県看護協会は、常に連携し、個人の力では解決できない看護を取り巻く課題を組織の力で解決し、看護を発展させ、社会に貢献する活動を行っています。愛媛県は人口減少と高齢化が著しく、医療の地域偏在や交通網の制約が顕著な地域です。これまで重点課題として取り組んできた①地域包括ケアシステムの推進②看護職が働き続けられる働き方改革の推進③看護職の人材育成および役割拡大に継続して取り組む覚悟です。

 さらに、2020年の課題と新しい時代の変化を加味し、次の3点に注力したいと思います。一つは、人材育成のための環境整備です。新型コロナウイルス感染症の影響で、臨地実習が思うように経験できなかった看護学生が卒業します。臨床現場での教育体制の整備と「共育」風土の醸成が重要です。新人看護師の離職率が高い当県としては、教育現場と臨床の連携を強化し、人材の育成と定着を図りたいと考えています。

 二つ目は、感染症や災害への対応強化です。西日本豪雨災害、新型コロナウイルス感染症を経験し、コミュニティーを中心とした体制整備のさらなる推進が必要と感じています。住民の安全と安心をもたらす体制強化に努めます。三つ目は、看護職の確保対策です。離職時の届け出制度を努力義務にとどめることなく、根本的改革が必要です。日本看護協会とともに看護職の資格管理・活用基盤の構築に取り組みたいと考えています。

 最後に皆さまのご多幸とご活躍を祈念し、新年のごあいさつとさせていただきます。

記事に関する感想・コメントはこちらから

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前