独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター
中根 博 院長(なかね・ひろし)
1987年九州大学医学部卒業。
米アイオワ大学留学、国立嬉野病院(現:国立病院機構嬉野医療センター)、
国立病院機構福岡東医療センター統括診療部長、同副院長などを経て、
2020年から現職。
私は、2003年に当院に内科医長(脳血管内科)として赴任し、その後、臨床研究部長、統括診療部長、副院長を経て、2020年4月に院長を拝命しました。私の強みは、当院での勤務が長いことから、気軽に相談できるスタッフが多いこと、院内のさまざまな業務内容を知っていることだと思います。半面、どっぷりと当院に漬かっておりますので、当院の問題点に気づきにくいことが弱みだと思っています。
当院は、福岡医療圏と北九州医療圏の中間に位置する、549床の規模の大きな公的医療機関です。急性期医療を主体としていますが、重症心身障害児病棟、結核病棟といったセーフティー系といわれる病床も有しており、また、第1種、2種の感染症指定医療機関でもあるという、多面的な性格を持っています。
ここ10年の間に、すべての病棟、外来管理棟を新築、改築。医師数は倍になり、赤字が続いていた収支も2019年度黒字化しました。そのような背景を引き継いだ私の役割は、先輩院長たちに整えていただいた当院の資源を有効に活用して、地域医療に貢献することだと思っています。
地域医療構想の中で、当院は急性期医療を中心とした高度医療を担うことが期待されています。 救急医療に関しては、質の高い医療を提供することを目標に、時間内は救急専門医常勤2人、非常勤1人、診療看護師1人で対応。時間外は5人のスタッフと研修医1人が対応しています。
また、放射線科医の協力のもと、タブレット端末を介した24時間対応の画像診断支援体制を整えました。おかげさまで、徐々に救急車の搬送件数が増加。重症度の高い、高エネルギー多発外傷事例も搬送されるようになってきました。しかし、「断らない医療」の文化がまだ十分ではありません。これをしっかりと根付かせたいと考えています。
当院は、幅広く診療科を有していますが、中でも呼吸器内科・外科は、当院の看板診療科です。前身が結核療養所であったこともあり、さまざまな疾病の患者さんが、粕屋医療圏に限らず、近隣の医療圏から多数来られています。
また、超高齢社会を迎え、今後増加が予想される、脳神経疾患や循環器、腎臓、整形外科疾患に対しては、緊急の血行再建術やPCI(経皮的冠動脈インターベンション)、手術、透析が迅速にできる体制を整備しています。そのほか、患者さんが多い消化器疾患は消化管、肝・胆、膵疾患の専門チームを配し、外科と連携をとりながら、24時間体制で緊急内視鏡や外科手術を行っています。
こういった救急医療を進めていくと、一定の頻度でインシデントやアクシデントが発生してきます。重要なのは、事例が発生した時にいかに対処するか。当院では、早期報告、早期対応をモットーに、医療安全管理室が院内をフットワークよく動いて情報を収集。室長の副院長が発生早期から関わることにしています。この取り組みは、職員からの信頼と患者さんの満足度を高める上で大切なことと考えており、今後も質を維持しながら継続したいと思っています。
在任中の目標は、病院機能評価を受審することです。今や受審が当たり前という中で、当院はまだという状況です。患者さんからのクレームに対して、逐次、担当部署に連絡して改善を図っていますが、国立病院機構が行っている患者満足度調査では、いつもあまり良い評価を受けていません。 内部の者が考えて行うだけでは限界を感じており、外部機関の目で当院のサービスレベルを評価していただくことが、当院の医療の質を改善させるきっかけになると思っています。
地域の中で期待される医療を提供し、患者さんに「ここに来て良かった」と感じていただける、質の高いサービスを提供できる病院になることを目指していきたいと思います。
独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター
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