明けましておめでとうございます。本年は、いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。令和の時代の新たな幕開けにふさわしい、すばらしい年になることを期待しています。
私たち国立大学病院長会議は、42の国立大学法人に設置された45の病院が会員として参加している組織で、わが国における医学・歯学の医療の進歩・発展に寄与することを目的に活動しています。国立大学病院が診療・研究・教育という重要な使命を果たすためには、安定的な経営基盤の確立が不可欠です。しかしながらここ数年増収減益の傾向が続いており、経営は厳しさを増しています。
そういった状況のなか、2019年10月に消費税が10%に引き上げられました。ご存じのとおり社会保険診療は非課税となっています。一方、仕入れ時には医療機関が消費税を負担するため、診療報酬により補填(ほてん)される仕組みとなっていますが、特に特定機能病院において補塡不足が確認されています。
建物や設備など高額な消費の多い病院ほど顕著です。2019年の消費税増税に合わせて診療報酬も改定されました。その影響について今後も検証していきますが、診療報酬での補填には限界があると言わざるを得ません。
厳しい状況下でも安定した経営を持続していくため、当会議では2016年より医療材料・医療機器等の一部を共同で調達しています。2018年度は需要が多く汎用(はんよう)性の高い医療材料や機器について共同調達品目の対象を拡大した結果、約5億円の費用を削減しました。今後も対象品目を見直しながら費用削減にしっかり取り組んでいきます。
また、2024年に迫った医師の働き方改革への対応も大きな課題となっています。大学病院で働く医師は診療に加え、研究と教育も行っています。研究・教育は医学部など病院の外で行われるほか、兼業として地域の医療機関で診療に従事しており、労働時間の管理が困難です。医師の働き方改革を進めるにあたっては、大学病院で働く医師の特殊性を鑑みて、議論を尽くさなければ、研究の衰退、ひいては医療の発展の遅れが懸念されます。
これから急激な人口減少の局面を迎え、医療需要も変貌していきます。地域の医療提供体制の再編など、大学病院を取り巻く環境を真剣に考える時です。社会が急激に変化するなかであっても、国立大学病院に期待される役割を継続して果たすため、積極的に情報を発信し活動していきます。
最後になりましたが、皆さま方のご多幸を祈念いたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。