日本医療法人協会 会長 加納 繁照

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 新年明けましておめでとうございます。

 本年は診療報酬改定が行われます。2019年末、その改定率が決定しました。本体部分は0.55%の引き上げ。働き方改革に関する0・08%を除いた人件費などに充当する部分は0.47%の引き上げとなりました。薬価は約1%の引き下げとなり、全体では4回連続のマイナス改定となります。ただ、働き方改革に充てる0・08%に関しては、2次救急病院への支援につながる内容となり、さらに基金の部分での補てんも考えられています。

 2019年9月、公立・公的病院で再編統合の検討要とされた424病院が公表されましたが、調整会議の議論では、地方・へき地と都市部を分けて考えるべきであります。 総人口が加速度的に減少する地方・へき地では、どの市町村にも公立病院を置くことが可能なのか、集約化しなくてよいのかの検討が必要であります。

 一方、これから高齢者が急増する都市部では、民間病院が急性期医療を積極的に支えているケースが多く、民間病院をいかに上手に活用するかが主眼となります。そもそも、人生100年時代の高齢者医療は、病院と在宅との間で小生が唱える「輪廻(りんね)転『床』」を繰り返すのに必要とされるケアミックス型の地域密着型急性期病院が主体であり、まさしく民間病院が得意とする領域であります。

 ここで最近、都市部での地域医療の崩壊を招きかねない公立病院の巨大病院化の動きを懸念します。複数の病院が統合・再編することで、合計病床数が減るとはいえ、1病院で見ると、もとの病院よりも巨大化しているケースはいくつもあります。収支報告で黒字とされていても、実は巨額の繰入金があり、実質的には赤字であり、その額が再編前より増えているという病院もあります。

 公立・公的病院の再編に当たっては病院規模の妥当性、周囲の病院に与える影響を十分に議論しなければなりません。 

 大阪府においては、これらのことを考慮して、大阪方式として病院間調整会議において、公立病院の繰入金の状況について、過去4年分の繰入金の状況、繰入金算定項目の明示を求められることとなりました。

 また、救急搬送受け入れ実績等の評価についても、規模が大きな病院ほど上がる実績値だけでなく、実績値を各病院の急性期・高度急性期の病床数の合算で割った値とし、病床単位での実績数も評価の対象としました。

 本来は、民にできることは民に任せるのが基本であります。公立・公的病院の再編に当たっては、将来の医療ニーズを鑑みて、病院規模の妥当性、周囲の病院に与える影響を十分に議論し、公立病院の無理な拡張による地域医療の崩壊を防止せねばなりません。

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