救急、災害を含めぬくもりある医療で支える
1985年東京慈恵会医科大学卒業。富士市立中央病院、日赤猿島病院、東京慈恵会医科大学附属病院などを経て、1999年宇佐高田医師会病院外科、2010年から現職。
宇佐市・豊後高田市の患者を多く受け入れる宇佐高田医師会病院。開業医と連携を図りながら、二次救急、災害時の医療拠点という地域医療に欠かせない使命も果たしている。機動性を備えたチーム医療を念頭に、ヘリポートの設置なども計画。公的病院の役割を担う、新病院開設の構想も見えてきた。
―医師会立の病院として、どのように位置づけられていますか。
開業医の先生方が患者さんを診る中では、診断に迷うことや、治療が困難な場合などもあります。無床診療所の医師がかかりつけ医の場合には、入院を要する患者さんの紹介先も必要です。開業の先生方が、何の心配もなく診療に当たることができるよう、バックアップしていくことが役目の一つではないかと思っています。
開放型の病院ですので、外科手術が必要なときは、患者さんは当院に入院していただき、かかりつけの外科の先生に手術をしていただくこともあります。連携が大きな強みの一つです。
―中核病院の役割を担うと言うことですね。
少し離れた中津市には市民病院がありますが、この地域(宇佐市、豊後高田市)には公立病院がありません。その代わりとなっているのが当院です。
地域に根差した中核病院の重要な役割として、救急や災害時の対応があります。災害拠点病院ですので、この地域が被災した際の医療拠点となるだけでなく、他エリアでの災害時にDMAT(災害派遣医療チーム)など医療チームを派遣するのも使命です。
2016年の熊本地震の際にはDMATが3日間、看護師のチームも1週間、被災地に入りました。
大分県は、南海トラフ地震の被害想定で、1万7000人の死者が予想されています。宇佐市も最大震度6弱、最大4メートルの津波が襲うとの想定です。
地震が発生し、津波が襲ってくるときに、真っ先に考えなければならないのは生命を守るということです。そのための知識、態勢を備えておくことが欠かせません。
当院のDMATは、常に講習を受けて準備しています。また、日本救急医学会のICLS(医療従事者のための蘇生トレーニング)講習会を院内外の医療者を対象に開催し、地域全体の救命技術の向上に努めています。
―今後は。
当院は築40年近くが経ち、古く手狭になっています。国道沿いから少しではありますが離れていますし、病院までの道は、緩やかではありますが坂になっています。高齢の患者さんが歩いて来院するにはきつい。そこで交通の便を考え、ここから数百メートル離れたフラットな場所を選び、建て替えの検討を進めています。まず今年は構想を練り、2020年設計、2021年に着工という段取りです。
新病院には、ヘリポートを整備したいと考えています。ドクターヘリが離発着できれば、災害時はもちろん、救急の際、北九州や別府、大分などにある高度急性期病院への患者搬送にかかる時間が大幅に短縮できます。救命率アップに大きく貢献するでしょう。
医師会立の病院ですので、今後もスタンスは変わりありません。医師会の先生方のバックアップが基本です。先生方が不安なく診療に当たれるよう、「何かあったら私どもがお引き受けします」という姿勢は堅持していかなければと思っています。さらに、災害に迅速に対応できる病院でなければという思いも、やはり強いですね。
高齢化率が高まる中で患者数が増えている心臓血管疾患に対応できるよう、循環器内科の医師を増員したい。心臓血管外科、脳神経外科と連携し、放射線科の医師も加わると、さらに充実した診療ができると思います。
今後も、当院のモットーである「肌のぬくもりある医療」を提供し、地域に貢献していきたいですね。
宇佐高田医師会病院
大分県宇佐市南宇佐635
TEL:0978-37-2300(代表)
http://www.utihp.jp/