「確実な診断」を生命線に総合力と専門性を磨く
1982年川崎医科大学卒業。熊本大学医学部附属病院、水俣市立総合医療センター内科医長、国立療養所熊本南病院研究検査科長などを経て、2010年から現職。
地域に根付いて70余年、安心して生活できる菊池市を目指し、急性期医療、亜急性期医療に取り組む。
―菊池中央病院の特徴を。
地域の中核病院として、軽症から重症まで、あらゆる医療に取り組んでいるのが特徴だと言えると思います。内科系、外科系、救急も含めて、「まずは診る」というのが基本的なスタンスです。
診療科目は、内科、外科、整形外科など計13あり、基本的な診療科のほかに脳神経外科、形成外科といった特色ある診療科も有しています。肺炎、骨折、脳卒中、心不全など、今後、さらに増加すると見込まれている高齢の患者さんに対応できる診療科をそろえているのが強みです。
―地域の医療機関との連携については。
開業医の先生方との連携は、これからの課題です。安心して頼っていただく病院になるためには、マンパワーの充実が必須。内科系を中心に、医師を増やしていきたいですね。
ファーストタッチを担当する医療機関であるわれわれは、「確実な診断」が生命線です。診断をした上で、医師が自分の技量を見極め、必要があれば高度急性期病院などに転送します。各診療科の医師は、総合診療力と専門性を磨き、あらゆる患者さんに対応できるよう準備しています。
それでも判断に迷う場合には、高度急性期病院の専門の医師に転送したほうが良い状態かなどを電話で相談することもあります。地域医療の努力で不必要な転送を減らすことは、医療資源の有効活用にもつながります。現在は搬送されるうち90%超の患者さんを当院で治療。転送の必要が出る患者さんは数%です。
―どのような医師に来てほしいですか。
当院の医師の平均年齢は、60歳前後。若い医師に、ぜひ当院に来てほしいですね。特にプライマリ・ケアを学びたいと思っている人にとっては、良い環境だと思います。
専門医制度が変わり、臓器別専門医と同格で「総合診療専門医」が位置づけられました。これまでの臓器別専門医は、都市部の高度急性期病院で症例数を積まなければ専門医の資格取得が難しかった。しかし、新専門医制度になって、その流れも変わりつつあります。高齢化もあって「全人的に診る」医療の需要が高まっています。
当院には、小児から高齢者まで幅広い年代の患者さんがお見えになりますし、外来でも病棟でも、多彩な疾患、状態の方を診ることが可能です。総合診療の力を養うのに、適した環境だと言えるでしょう。
私は日本内科学会の総合内科専門医、日本プライマリ・ケア連合学会のプライマリ・ケア認定医と指導医、日本病院総合診療医学会認定総合診療医の資格を有しています。「なんでも診る」という気概を持った医師が来てくれ、育てていくことができたらうれしいですね。
―チーム医療も大事にされていますね。
私は、この病院の医療安全委員会の委員長も務めています。医療安全の命は、なんといっても、チーム医療です。チーム医療のメリットは「医療の質の向上」「医療安全の向上」「医療者の負担の軽減」。チーム医療と聞くと、わずらわしいと感じる人もいるかもしれませんが、実は、職員も患者さんも「みんなが楽になる」方法なのです。
厚生労働省が旗を振る以前から、チーム医療は当院でも経験的に実施されてきました。けっして特別な医療ではありません。一つの問題や患者さんに関わる人が、問題を共有し、お互いに理解・尊重して進める医療です。
チームの核になるのは患者さんで、チームリーダーになるのが医師です。医師はメンバーと目線を合わせ、コミュニケーションを図り、一人ひとりの力を引き出していく。リーダーの力量が試されると思います。
医療法人信岡会菊池中央病院
熊本県菊池市隈府494
TEL:0968-25-3141(代表)
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