社会福祉法人恩賜財団済生会支部済生会兵庫県病院 山本 隆久 院長

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100年の想いを胸に地域と共に歩む未来へ

【やまもと・たかひさ】
1977年神戸大学医学部卒業、同附属病院。済生会中津病院、三田市民病院などを経て、2012年から現職。

 大正時代、人々がひしめき合う下町に産声を上げて1世紀。時代は移り変わっても、「施薬救療」の精神は変わらず今に至る。地域の急性期医療を担うとともに、周産期医療にも献身し、母子の安心を守る病院。ここで30余年をともに積み重ねてきた山本隆久院長に思いを聞いた。

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―今年5月で100周年の節目を迎えます。所感や現状を。

 恩賜財団済生会の設立は1911年。その8年後に神戸市葺合区(現:中央区)に誕生した当院は、済生会の中でも歴史のある病院です。

 今の場所に移転して28年、大変な時代もありましたが、理念を忘れず地道に取り組んできました。県をはじめ、市や周辺地域の方々の支えがあって、今日を迎えることができたと思っています。

 ここ北区には公立病院がないため、当院には公的病院としての使命がある。ベッド数は268床と多くはないものの、2016年に地域医療支援病院の認可を受け、ほとんどの科で急性期医療を展開しています。

 北区での主要診断群別シェアでは新生児、小児、女性で50%以上で、整形外科や呼吸器、消化器、眼科、循環器もシェアが高い。特に呼吸器外科は北摂地域にほとんどないので、役割は大きいですね。

―周産期医療で強みを発揮しています。

 地域周産期母子医療センターとして、地域の中心的役割を担っています。母子医療は六甲山以南に集中しており、以北には豊岡まで施設がないため、いかに厳しくとも、ふんばりどころですね。

 一つの特長は、NICUやGCUを持ちながらもBFH(赤ちゃんにやさしい病院)に認定されていること。BFHの思想は母子同室、母乳育児ですからNICUとはちょっと相反する部分がありますが、安全に出産してもらうことを第一に、母と子の信頼関係を確立するための取り組みを進めています。

 産後うつが問題になる中、妊産婦のメンタルヘルスケアも始めました。自殺や虐待を防ぐ観点からも重要ですので、積極的に進めていきたいですね。

 問題は新生児搬送です。今は当直医が迎えに行っているのですが、その間はここが手薄になる。救急車でこちらへ運ぶにも、向こうに人手がありません。連携施設・救急隊と協議を重ね、解決していきたいと思っています。

 小児科も地域の中心的な役割を期待されていますが、小児の一次救急は六甲山を越えて海側のHAT神戸まで行っているのが現状。入院となるとまた戻ってきたり、他区に転院したりと、大変な思いをされている。地域性を考慮して、急を要する場合はここで受けていますが、2次救急輪番体制と合わせ、課題が山積です。なんとかしなくてはと、各方面に働きかけつつ、討議しているところです。

―今後の取り組みや展望を聞かせてください。

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 今後、優秀な人材の確保・育成を図りながら、この地域の基幹的病院機能を維持・発展させることが社会的責務だと考えていますが、立地しているのは圏域の境。患者比率でいうと市内が57%で、43%は圏域外の三田市や西宮市などです。今後は、神戸、三田、西宮を合わせた独自の地域医療提供体制も考える必要があると思っています。

 昨年7月の集中豪雨では病院に被害はなかったものの、交通網がまひして内科医は11人中1人しか出勤できませんでした。緊急時に六甲山を越えて患者搬送するにも身動きできない。しかも北区にある各病院の自家発電は7〜8時間しかもちません。備蓄体制を見直しましたが、災害対策においても、三田を含めた地域全体の連携強化は必須です。

 よりよい医療を次世代につなぐためには、長期的な視点で、広い視野に立って議論する必要があります。力を合わせて構想を練っていければと願っています。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 済生会兵庫県病院
神戸市北区藤原台中町5-1-1
TEL:078-987-2222(代表)
http://saiseikai.info/


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