アートや四季で演出 心身の両面に癒やしを
1974年順天堂大学医学部卒業。岡山大学病院、津山中央病院などを経て、1988年医療法人小畑内科医院(現:医療法人仁聖会小畑醫院)開院。2017年から現職。
自然豊かな地に建つ瀟洒(しょうしゃ)な建物のコンセプトは「美術館」。小畑尚宏理事長は「体だけでなく心も癒やしたい」と話す。
◎四季が身近な環境
前身の「小畑内科医院」が開院したのは1988年のことだった。糖尿病を中心とする内科全般の診療を展開している。
日々の診療を続けてきた中で、小畑理事長は患者の高齢化が進行するとともに、リハビリテーションの必要性が増していくことを強く感じるようになったという。「これからの医療にはリハビリが不可欠だ」。そう確信した。
しかし、建物を改築して新たにリハビリスペースを設けるには、敷地のスペースを考えると難しかった。そこで移転を計画。2017年3月、この地で診療が始まった。
「美術館」をコンセプトに、美しい空間を作り上げた。赤を基調とした館内を、藤田嗣治、ベルナール・ビュフェら、著名な画家の絵画が彩る。
建設場所として選んだこの丘陵地は、かつてゴルフ場だったそうだ。大きくとられた窓から屋外に目を向けると、実に恵まれた環境に立地していることが分かる。小畑理事長は「四季の移ろいを感じてほしい」と話す。
◎負のスパイラルを断つ
筋肉が弱ると転びやすくなる。転ぶのがこわいから外出を控えるようになる。ますます筋力が低下し、転倒のリスクが高まる―。
負のスパイラルを予防するために、積極的な声かけとリハビリへの誘導を欠かさない。
リハビリで使用する機器の中には、オリンピック選手クラスのトレーニングにも使用される本格的なマシンもある。また、インストラクターの指導を受けながらの歩行訓練が可能な院内プールも備えている。
「転ばずに歩けるようになれば自信がつきます。そうすると自然に、また外に出たいと思えるようになります。良い循環を生み出したいですね」
血液透析は月曜日から土曜日まで。透析中に教材ビデオを見ながら足などを動かす「透析リハビリテーション」を推奨している。透析は長時間に及ぶ。筋力低下の一因だが、透析中のリハビリよって血液の循環を促進し、透析の効率を上げるのが狙いだ。
◎この地域に恩返しを
小畑醫院では「専門性」を高めることにも力を入れている。「フットケア外来」では、フットケア指導士の資格を取得した看護師が、糖尿病血行障害、巻き爪に対する「ペディグラステクノロジー」など、さまざまなケアに対応している。
また、糖尿病治療では多職種による「生活習慣病チーム」が、食事・運動指導のほか、糖尿病の発症予防や合併症の予防にも取り組んでいる。
「ハードも医療設備も十分な環境が整ったと思っています。小回りの利く対応で、誰もが受診しやすい身近な医療機関として親しんでもらいたい。そんな診療所の良さと、質の高い医療の両立で地域に貢献したいと考えています」
早期発見、進行予防が2本柱だ。スタッフが一丸となって一人一人の患者を支えるチームワークも強みとしている。
「かゆいところに手が届く医療施設でありたいですね。地域に根差した医療を提供していきたい」と小畑理事長は語る。
2018年3月に「方舟(はこぶね)」を開設した。津山市で2カ所目の病児保育施設。発熱や急病で通園、通学できない生後7カ月〜小学6年生までの子どもが主な対象だ。
病気でなくても、さまざまな事情で「預かってほしい」という相談にも応じる。開設以降、利用者はほとんど途切れていない。
「開業して30年、当院はこの地域の方々に育ててもらいました。今度は当院が恩返しをしていきたいと思っています」
医療法人仁聖会 小畑醫院
岡山県津山市大田452-6
TEL:0868-27-2111(代表)
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