琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座 高橋 健造 教授

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皮膚疾患診断もAI活用で劇的に変化する

【たかはし・けんぞう】
1986年京都大学医学部卒業、同皮膚科入局。米ジョンス・ホプキンス大学留学、京都大学皮膚科講師、琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座・皮膚科准教授を経て、2016年から現職。

 自己免疫性皮膚疾患の治療、研究に力を注いできた琉球大学の高橋健造教授。2018年度スタートの多施設共同研究「皮膚疾患画像ナショナルデータベースの構築とAI活用診療支援システムの開発」にも、15大学の一つとして参加している。

―膠原病、角化症など自己免疫疾患の診療に力を入れられています。

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 膠原病について言えば、患者数や重症度に地域差はありません。ただ、大学病院のシステムや規模により、どの診療科が中心になって診療するのかが変わります。琉球大学医学部附属病院では、皮膚に症状がある膠原病は、当科が積極的に診ています。

 角化症は、遺伝性と炎症性に分かれます。患者数は少ないけれど一定数いる。尋常性乾癬(かんせん)に代表される炎症性角化症については、近年、新薬が登場。背景に肥満がある疾患で、沖縄は〝肥満県〞であることから、重症度が高い傾向にあります。

 炎症性疾患は皮膚腫瘍と異なり、進行や治療にパターンがありません。患者さんの状態によって治療のタイミングも異なるため、臨機応変に対応しなければならない。幅広い知識なども必要になります。炎症性疾患の診療に取り組むことは、皮膚科医育成という面でも大きな意味があると思います。

―難治性の角化症「ダリエー病」については、京都大学時代、外用の治療薬になり得る薬を発見し、特許も取得されました。

 ダリエー病は、ATP2A2遺伝子に変異が起こることで生じる、比較的頻度が高い優性遺伝性の皮膚疾患です。思春期以降に潰瘍やびらんなどが顔や胸など特有の部位にでき、悪化すると悪臭を伴います。

 特許につながった研究は、ダリエー病の原因遺伝子が同定された2003年ごろから始めました。表皮角化細胞内のカルシウムチャネルにある正常なタンパクの量が減少することで発症するとわかったのです。

 両親のどちらかのゲノムの位置に異常があるだけで症状が出る。逆に言えば、非常にシンプルな発生原因なので、両親のいずれかが必ず有する健常な残存遺伝子の発現量を上げることによって、タンパク量を健常な人に近づければ症状を改善できることが予想されました。

 私は萌芽研究、基盤研究を経て、ダリエー病の病態を改善する可能性がある治療薬を探し始めました。広範な薬剤をスクリーニングした中で、カンナビノイド作動薬とバニロイド作動薬の2系統の薬を発見。カンナビノイド作動薬が過角化を抑制し、角化細胞の細胞増殖を抑制する効果も確認するに至りました。

―皮膚疾患画像ナショナルデータベースの構築も進んでいます。

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 厚生労働省は、2016年から人工知能(AI)を活用した画像診断のための基盤整備を進めています。皮膚科に関しては2018年にスタート。日本皮膚科学会と全国15大学が実施機関です。

 10万画像を目標に、大量で多種類の皮膚疾患の画像を収集。国家的なデータベースを作成する狙いです。データベースができれば、それを活用した診断補助システムの開発へとつなげていくことになります。現在は、画像と診断名などを登録している段階です。AIが学習するための基本となるデータですので、診断名には特に注意しています。

 これまでの「画像診断」は、遠隔診断システムを指していました。診断するのは、皮膚科医。画像や臨床データ、経験をもとに、診断していました。

 AIを活用した診断補助システムができれば、診断のスピード、確度が上がり、医療はドラスティックに変化するでしょう。システムが複数の可能性を提示するのを受けて、医師が適切な判断ができるようになると思います。医師の負担を軽減する意味でも、AIによる補助は必要になってくると思います。

琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
TEL:098-895-3331(代表)
http://www.hifuka.med.u-ryukyu.ac.jp


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