地域包括ケアシステムのリーダーたる病院を目指す
1979年大阪医科大学卒業、同第3内科入局。1987年同大学大学院博士課程単位取得退学(医学博士)。北野病院、大阪医科大学勤務を経て、1996年から医療法人誠和会倉敷紀念病院院長、2012年から理事長。
倉敷第一病院の経営を譲受し、倉敷紀念病院と2病院を経営する形になった医療法人誠和会。老健施設や有料老人ホームをはじめとする多様な入所・通所の介護施設や健診事業体を有し、倉敷第一病院ならびに隣接の社会福祉法人ますみ会とともに「誠和会・ますみ会グループ」として地域の医療と介護を担っている。
―改めて事業統合の目的は。
倉敷市の中西部に位置する当院は、もともと倉敷第一病院と距離的に近く、診療圏が隣接しています。どちらもケアミックスの病院ですが、内科を中心として回復期から維持期、在宅期に向けた医療と介護を包括的に提供している当院に対して、倉敷第一病院は外科、整形外科などの一般急性期に軸足を置いています。
二つの病院が一体となることで、診療圏を拡大するだけでなく、一般急性期から回復期、維持期、在宅期以降のすべてを包括した医療グループとして、より医療の充実を目指すというのが、大きな目的です。
当院が創立50周年を迎え、病院改築の時期に差し掛かっていたことも、背景にあります。今後の地域の医療ニーズを考えた際に、二つの病院を合わせて俯瞰(ふかん)的な視点から病床機能の再編を図ることにより、建築コストの適正化を図りたいという狙いもありました。
現在、倉敷紀念病院が194床、倉敷第一病院が191床で、単純に合計すると病床数だけで385床という規模になります。
2025年をピークに、大都市以外の地方では医療ニーズが減少すると言われています。またAIの導入など医療の在り方も大きく変わるでしょう。特に設備投資に関しては、いま必要な医療を提供しながらも将来を見据えて適正なサイズに合わせて病院を再構築していく必要があります。
―今、感じるメリットは。
外科系の診療で、必要に応じて倉敷紀念病院から倉敷第一病院へと患者さんに移っていただいたり、倉敷第一病院から麻酔科医や看護師を派遣していただいたりしています。当院は内科系の病院ですので、以前は手術への対応が難しかったのですが、一般的な外科分野に関しては法人内で対応できるようになりました。
また、完全には治らない人やハンディキャップを持って生活の現場に帰る人を「元気にする医療」を、二つの病院が補完しあい、システマティックに提供する役目も大きいでしょう。
一般に統合というと統一して平均化するイメージがあるかもしれませんが、それは目指すところではありません。それぞれ病院の歴史や役割や機能、風土の違いを大切にしながら、補完しあってアウトカムの最大化を目指すのが望ましい姿であると考えています。
―これから目指す方向を。
地域の皆さんがどんな形で来られても、医療も介護も幅広く受けられる「ワンストップソリューションの誠和会」を目指しています。
地域包括ケアシステム、つまり利用者さんを中心とした医療・介護を考えた際、生活者視点の体制づくりが不可欠で、基本的に「ほぼほぼ在宅、時々病院、時々施設」という形になるでしょう。そのかなりの部分を、われわれで対応できるように準備しているところです。
当グループには特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人ますみ会があり、二つの病院の病床にグループの介護系ベットを合わせると約800床になります。施設介護から在宅介護、在宅医療まで含めて幅広い医療・介護を展開していく中で、医療・介護のトータルマネジメントが私たちの目標です。
今後は、高度医療を担う病院との連携はもちろんのこと、地域の施設などとも密接に連携を図りながら、倉敷西部圏域の地域包括ケアシステムを構築していきたい。リーダーシップを発揮する存在になれるよう、機能を充実させていきたいと思います。
医療法人誠和会 倉敷紀念病院
岡山県倉敷市中島831
TEL:086-465-0011(代表)
http://www.seiwakai-net.or.jp/