プロジェクトチーム制で組織の動きを活性化
医療と地域社会が融合した「メディカル・エコタウン」の創造が土浦協同病院のミッションだ。2018年4月より病院長を務める酒井義法院長は、院内外のさまざまな側面で「コミュニケーションの円滑化」を進めてきた。
―特徴を教えてください。
当院の医療を担うのは救命救急センター、総合周産期母子医療センター、そしてがんセンターの、三つのセンター機能です。
救命救急センターは1990年に開設。2016年3月の新病院オープンに合わせて拡充し、救急医療の強化を目指しました。2017年の実績として救急車搬入数は7807件、救急外来の受診者数は4万5297件。救急車の受け入れ台数は茨城県で最多です。
ドクターカーの出動も増加傾向にあります。コンパクトなサイズの車種の採用で機動力を重視。現場への急行、あるいは搬送途上の救急車と当院の医療チームが合流し、積極的に病院前救急に取り組んでいます。
地上型ヘリポートから救急エリアへの搬送もスムーズです。ドクターヘリはもちろん、自衛隊の大型ヘリの受け入れも可能な仕様としました。災害時には広域ネットワークの一部を担うことも想定して有事に備えています。
―さまざまな院内プロジェクトを進めていますね。
今年、「日総研接遇大賞」を受賞しました。各部署を横断したメンバーで構成された接遇委員会が中心となった取り組みです。医師を主な対象として、実際の投書に基づいた診療場面の「良い例・悪い例」をロールプレーイング研修で学ぶものです。
患者さん、院内、地域の開業医の先生方とのコミュニケーションをより円滑にしたいという目的のもと、病院全体のプロジェクトとしてスタートしました。
従来、当院のような大病院はセクションごとの活動は活発であるものの、部署間のコミュニケーションは必ずしも最重要視されていない傾向にありました。
例えば管理加算の内容によっては、取得を目指すとき、医事課や庶務課だけでなく医師、看護師、メディカルスタッフが参加した方がスムーズに進むケースがあります。ただ、それぞれの業務がある中で、なかなか時間を合わせて集まることは難しかった。
そこで、プロジェクトを成功させるためのメンバーを選出する「プロジェクトチーム制」を取り入れました。ある目的のために多職種が連携して、情報を共有し、ちゃんと会議室で問題点を討議する。そして、知恵を出し合って解決を目指す。コミュニケーションを活性化させる上で、大きな効果があったと思います。
もともとポテンシャルはあったのですね。それを引き出すきっかけとしてのプロジェクトチーム制です。日総研接遇大賞受賞という結果として現れたことで、モチベーションもさらに高まっています。
―今後は。
三つのセンターを軸に急性期、高度急性期医療を推進します。同時に、地域包括ケアシステムを確立していくためにも、地域の先生方との顔の見える関係を維持していきたい。
副院長として地域医療連携の責任者だった頃、2年間で100カ所を超える診療所などを訪問しました。当院の良い点、悪い点などをヒアリングして、ときには厳しいお言葉をいただくこともありました。
そうした声に対して私たちが変わる努力をすることで、垣根が取り払われていったと感じます。実際、紹介率はおよそ40%から90%近くになり、逆紹介率も30%ほどから60%に迫ろうとしています。
土浦市では、行政も積極的に参画した地域連携の会が活動しています。これから、ますます医療機関の機能分化、多職種との関わりが必要となります。共に支え合うパートナーとして地域医療に貢献していきたいと思います。
茨城県厚生農業協同組合連合会 総合病院 土浦協同病院
茨城県土浦市おおつ野4-1-1
TEL:029-830-3711(代表)
http://www.tkgh.jp/